ページ本文

東洋証券株式会社に対する行政処分について

平成30年12月21日
関東財務局
1.東洋証券株式会社(本店:東京都中央区、法人番号7010001051893)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の法令違反の事実が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(平成30年10月30日付)。
 

米国株式取引の勧誘に関し、虚偽表示又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

 当社においては、近年、米国株式市場が堅調に推移していることなどから、米国株式営業に注力してきている。今回検査において、平成25年9月から同30年2月までの間の米国株式営業の勧誘状況等を検証したところ、高齢顧客に対し、多数の営業員が、米国株式の乗換取引の勧誘に応じてもらうために、売却する米国株式の損益について、損失の額を実際の額よりも過少に伝える、又は、損失が発生しているにもかかわらず利益が発生している旨を伝えるなどといった虚偽表示や、誤解を生ぜしめるべき表示(※)を行っていた。

(※)誤解表示の具体例
 1株=1,000ドルの銘柄を1ドル=120円の時に買い付け(1,000×120=12万円で買付け)、その後、1株=1,300ドル、1ドル=100円の時に売却(1,300×100=13万円で売却)した場合、為替差損益を考慮した円ベースの損益は売却時の円換算額(13万円)から買付時の円換算額(12万円)を差し引いた額(1万円)となるところ、かかる利益額ではなく、ドルベースの利益(1,300-1,000=300ドル)を売却時のレート(1ドル=100円)で円換算した利益額(300×100=3万円)を伝えることにより、円ベースの利益額を過大に誤解させた。
 
 当社が行った上記の行為は、平成29年法律第37号による改正前の金融商品取引法第38条第8号(平成26年法律第44号による改正前は同条第7号)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
 なお、上記行為の背景として、当社においては、
(1)営業部門の責任者が、社内検査において、米国株式の取引に関し不適切な勧誘行為が行われている旨が何度も指摘されていたにもかかわらず、営業員に手数料目標の達成を強く求め、顧客の利益よりも収益獲得を優先する営業を是正してこなかった
(2)経営陣が、上記社内検査の結果を把握していながら、再発防止のための実効的な改善措置について、何ら指示しておらず、結果的に営業優先の企業風土を醸成していた
などの状況が認められた。
 
2.以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
 

業務改善命令

(1)顧客に対し、今回の行政処分の内容を十分に説明し、適切な対応を行うこと。
(2)外国株式の取引等の勧誘に関し、顧客が投資判断を正確に行うことができるよう説明態勢等の構築を図ること。
(3)投資者保護の観点から、適切な経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を構築するなどの再発防止策を策定し、着実に実行すること。
(4)全役職員に対し、法令遵守の徹底に係る研修を実施すること。
(5)本件に係る責任の所在の明確化を図ること。
(6)上記(1)から(5)について、その実施状況を平成31年1月21日(月曜)までに書面で報告するとともに、その後の進捗状況を当面の間、6ヵ月ごとに書面で報告すること。

本ページに関するお問い合わせ先

関東財務局 理財部 証券監督第1課

電話:048-600-1154(直通)

PDFファイルをご覧いただくにはAdobe Acrobat Reader(無償)が必要です。
ダウンロードした後インストールしてください。

Get Adobe Acrobat Reader