JC証券株式会社に対する行政処分について
平成30年7月24日
関東財務局
関東財務局
1.事実関係
JC証券株式会社(本店:東京都港区、法人番号1360001006967)(以下「当社」という。)に対する金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(以下「法」という。)第56条の2第1項の規定に基づく報告徴求等により、当社における業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
(1)増資に係る不適切な行為
当社は、平成29年10月、当社の名目上の資本金の額を法第28条第1項第3号ロに掲げる業務(以下「元引受業務」という。)を行おうとする場合の最低資本金額である5億円に増額することなどを目的として、親会社を割当先とする増資を実施し(以下、このようにして実施された増資を「本件増資」という。)、親会社から2億5684万円の払込みを受けた際(以下、このようにして払込みを受けた金額を「本件増資金額」という。)、会社法上必要とされる取締役会及び株主総会を開催していない。
また、当社は、本件増資について、取締役会及び株主総会が適法に開催された上で、適法に可決された旨の虚偽の記載がされた取締役会議事録及び株主総会議事録を作成している。
さらに、当社は、本件増資の翌営業日に、親会社に対する貸付け名目で、本件増資金額の大半につき、自らの業務に用いることなく、親会社に送金しており(以下、このようにして送金された金額を「本件親会社送金額」という。)、実効性に疑義のある増資となっている。
加えて、当社は、平成30年1月、親会社に対して、本件親会社送金額の返済を求めた際、親会社の担当者から本件親会社送金額に係る返済期限の実質的な延長要請を受けているところ、その際にも、当社は、取締役会を開催することなく、また、取締役間で親会社の与信能力、資金使途及びこれらに見合った貸付条件(返済期限、利率等)についての実質的な審査・検討をすることなく、上記要請を受けた取締役の判断のみに基づき、当該要請に応じている。
(2)貸付けに係る不適切な行為
当社は、平成29年10月、本件増資金額から本件親会社送金額を控除した金員を原資として、個人に対する貸付け名目での金銭の交付を行っているところ(以下、このようにして実施された金銭の交付を「本件貸付け」といい、また、その貸付先を「本件貸付先」という。)、当社は、本件貸付けに際し、本件親会社送金額と本件貸付けに係る貸付額の合計金額が、当時の当社総資産残高の約7割を占める状況にあったにもかかわらず、取締役会を開催することなく、また、取締役間で本件貸付先の与信能力、資金使途及びこれらに見合った貸付条件(返済期限、利率等)について実質的な審査・検討をすることなく、本件貸付先からの融資申込みを受けた取締役の判断のみに基づき、本件貸付けを実行している。
さらに、当社は、本件貸付けを実行した際、本件貸付けに係る条件を定めた金銭消費貸借契約書を作成していないほか、本件貸付け後の一定期間、本件貸付先が本件貸付けに係る利息を支払っていない状況において、本件貸付先に対する支払督促も一定期間行っていない。
加えて、当社は、本件貸付けについても、取締役会が適法に開催された上で、適法に可決された旨の虚偽の記載がされた取締役会議事録を作成している。
(3)当局に対する不適切な報告
当社は、当局から、本件増資に係る経緯に関する報告を求められた際、当局に対し、本件増資に係る取締役会及び株主総会が開催されていないことを秘して、本件増資の実施に先立ち取締役会等が開催された旨が記載された議事録を当局に提出している(なお、当社は、当該議事録を当局に提出した後になって、本件増資に関する取締役会も株主総会も開催していないことを認めるに至っている。)。
また、当社は、本件貸付けに係る経緯に関する報告を求められた際、本件貸付けに関する金銭消費貸借契約書は、実際には、本件貸付けの実行後数か月を経た時点で作成されているにもかかわらず、当局に当該事実を告げることなく、平成29年10月19日に締結された旨の記載がされた金銭消費貸借契約書の写しを当局に提出しているほか、本件貸付けの実施に先立ち取締役会が開催された旨が記載された取締役会議事録を当局に提出している(なお、当社は、上記の本件貸付けに係る金銭消費貸借契約書及び取締役会議事録を当局に提出した後になって、本件貸付けに係る金銭消費貸借契約書が本件貸付けの実行後数か月を経た時点で作成されたものであることのほか、本件貸付けに関する取締役会は開催されていないことを認めるに至っている。)。
(4)上記(1)から(3)のとおり、当社においては、
a.当社の発行済全株式を保有し、かつ、当時、当社の代表取締役を兼務する代表取締役が存していた親会社からの要請に対して、適正な意思決定手続や内容の十分な検討を経ることなく、一部の取締役の判断で、当該要請に応じ、親会社への送金等を実行するなど、金融商品取引業者として経営のガバナンスが機能していない
b.元引受業務を行うための最低資本金額を満たすことなどを目的として、会社法上必要とされる手続を履践することなく、実効性に疑義のある増資を行っているほか、重要な事実を告げることなく、虚偽の記載を含む書面(事後的に作成したものを含む。)を当局に提出し、報告を行うなど、関連法令等に従った業務の運営がなされておらず、コンプライアンスが機能していない
といった状況にあり、経営管理態勢、法令等遵守態勢及び内部管理態勢が全体として機能していない。
当社は、上記の状況に照らして、法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」及び法第29条の4第1項第1号ヘに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、よって、法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。
2.以上のことから、本日、当社に対し、法第52条第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
登録取消し
関東財務局長(金商)第3026号の登録を取り消す。
JC証券株式会社(本店:東京都港区、法人番号1360001006967)(以下「当社」という。)に対する金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(以下「法」という。)第56条の2第1項の規定に基づく報告徴求等により、当社における業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
(1)増資に係る不適切な行為
当社は、平成29年10月、当社の名目上の資本金の額を法第28条第1項第3号ロに掲げる業務(以下「元引受業務」という。)を行おうとする場合の最低資本金額である5億円に増額することなどを目的として、親会社を割当先とする増資を実施し(以下、このようにして実施された増資を「本件増資」という。)、親会社から2億5684万円の払込みを受けた際(以下、このようにして払込みを受けた金額を「本件増資金額」という。)、会社法上必要とされる取締役会及び株主総会を開催していない。
また、当社は、本件増資について、取締役会及び株主総会が適法に開催された上で、適法に可決された旨の虚偽の記載がされた取締役会議事録及び株主総会議事録を作成している。
さらに、当社は、本件増資の翌営業日に、親会社に対する貸付け名目で、本件増資金額の大半につき、自らの業務に用いることなく、親会社に送金しており(以下、このようにして送金された金額を「本件親会社送金額」という。)、実効性に疑義のある増資となっている。
加えて、当社は、平成30年1月、親会社に対して、本件親会社送金額の返済を求めた際、親会社の担当者から本件親会社送金額に係る返済期限の実質的な延長要請を受けているところ、その際にも、当社は、取締役会を開催することなく、また、取締役間で親会社の与信能力、資金使途及びこれらに見合った貸付条件(返済期限、利率等)についての実質的な審査・検討をすることなく、上記要請を受けた取締役の判断のみに基づき、当該要請に応じている。
(2)貸付けに係る不適切な行為
当社は、平成29年10月、本件増資金額から本件親会社送金額を控除した金員を原資として、個人に対する貸付け名目での金銭の交付を行っているところ(以下、このようにして実施された金銭の交付を「本件貸付け」といい、また、その貸付先を「本件貸付先」という。)、当社は、本件貸付けに際し、本件親会社送金額と本件貸付けに係る貸付額の合計金額が、当時の当社総資産残高の約7割を占める状況にあったにもかかわらず、取締役会を開催することなく、また、取締役間で本件貸付先の与信能力、資金使途及びこれらに見合った貸付条件(返済期限、利率等)について実質的な審査・検討をすることなく、本件貸付先からの融資申込みを受けた取締役の判断のみに基づき、本件貸付けを実行している。
さらに、当社は、本件貸付けを実行した際、本件貸付けに係る条件を定めた金銭消費貸借契約書を作成していないほか、本件貸付け後の一定期間、本件貸付先が本件貸付けに係る利息を支払っていない状況において、本件貸付先に対する支払督促も一定期間行っていない。
加えて、当社は、本件貸付けについても、取締役会が適法に開催された上で、適法に可決された旨の虚偽の記載がされた取締役会議事録を作成している。
(3)当局に対する不適切な報告
当社は、当局から、本件増資に係る経緯に関する報告を求められた際、当局に対し、本件増資に係る取締役会及び株主総会が開催されていないことを秘して、本件増資の実施に先立ち取締役会等が開催された旨が記載された議事録を当局に提出している(なお、当社は、当該議事録を当局に提出した後になって、本件増資に関する取締役会も株主総会も開催していないことを認めるに至っている。)。
また、当社は、本件貸付けに係る経緯に関する報告を求められた際、本件貸付けに関する金銭消費貸借契約書は、実際には、本件貸付けの実行後数か月を経た時点で作成されているにもかかわらず、当局に当該事実を告げることなく、平成29年10月19日に締結された旨の記載がされた金銭消費貸借契約書の写しを当局に提出しているほか、本件貸付けの実施に先立ち取締役会が開催された旨が記載された取締役会議事録を当局に提出している(なお、当社は、上記の本件貸付けに係る金銭消費貸借契約書及び取締役会議事録を当局に提出した後になって、本件貸付けに係る金銭消費貸借契約書が本件貸付けの実行後数か月を経た時点で作成されたものであることのほか、本件貸付けに関する取締役会は開催されていないことを認めるに至っている。)。
(4)上記(1)から(3)のとおり、当社においては、
a.当社の発行済全株式を保有し、かつ、当時、当社の代表取締役を兼務する代表取締役が存していた親会社からの要請に対して、適正な意思決定手続や内容の十分な検討を経ることなく、一部の取締役の判断で、当該要請に応じ、親会社への送金等を実行するなど、金融商品取引業者として経営のガバナンスが機能していない
b.元引受業務を行うための最低資本金額を満たすことなどを目的として、会社法上必要とされる手続を履践することなく、実効性に疑義のある増資を行っているほか、重要な事実を告げることなく、虚偽の記載を含む書面(事後的に作成したものを含む。)を当局に提出し、報告を行うなど、関連法令等に従った業務の運営がなされておらず、コンプライアンスが機能していない
といった状況にあり、経営管理態勢、法令等遵守態勢及び内部管理態勢が全体として機能していない。
当社は、上記の状況に照らして、法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」及び法第29条の4第1項第1号ヘに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、よって、法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。
2.以上のことから、本日、当社に対し、法第52条第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
登録取消し
関東財務局長(金商)第3026号の登録を取り消す。
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関東財務局 理財部 証券監督第1課
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