やまびこ投資顧問株式会社に対する行政処分について
令和8年4月7日
関東財務局
- やまびこ投資顧問株式会社(東京都中央区、法人番号9010001166954)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(令和8年3月13日付)。
当社は、主に株式会社産業と経済(東京都渋谷区、法人番号5011001046076、金融商品取引業の登録はない。令和4年12月に解散し、令和8年1月に清算結了している。以下「産業と経済社」という。)が四半期ごとに発刊する株式関連情報誌「オール株価チャンス」に広告を掲載し、同誌に綴じこんだ返信用はがきを送ってきた者に対して電話勧誘を行い、投資顧問契約の締結に至った顧客には、国内株式の投資助言を行っている。なお、産業と経済社は、同社の取締役であった山田晃氏(以下「山田氏」という。)が実質的支配者として「オール株価チャンス」等の監修を行っている。
そのような中、今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
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当社の実質的支配者が別会社にて行う無登録による投資助言業務に当社役職員が加担している状況等
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当社が実質的支配者に支配され、当該支配者が運営する別会社と当社が一体として経営されている状況
当社の役員は畑孝光代表取締役(以下「畑代表」という。)1名であるが、畑代表が入社した令和元年6月以前から、当社は、山田氏より当社の経営全般に関するアドバイスを受けていたところ、畑代表が当社代表取締役に就任した同2年3月には、山田氏の指示により、当社と同氏との間で経営全般に関するコンサルティング契約を締結したとしている。
そのような中、山田氏は、当社職員の人事・労務管理、経理処理の指示、助言銘柄の選定、当局対応の指示のほか、株主の決定など、当社運営のあらゆる重要事項に関与し、実質的な意思決定や業務運営を行っている状況が認められた。
また、産業と経済社が発刊する「オール株価チャンス」は、上場企業4,000銘柄程度に関する業績見通しや投資行動の方針及びタイミング等を解説する内容となっているところ、当社の営業活動は同誌に大きく依存していることを背景に、山田氏の監修のもと、同誌の大宗を占める部分を当社役職員が当社の業務の一環として認識の上、執筆している等の状況が認められる。
以上のとおり、当社は、当社の重要事項の意思決定等を通じて、コンサルティング契約上の立場を明らかに超えて山田氏により実質的に支配されている状況が認められ、産業と経済社とともに同氏の支配のもとで一体として経営されている状況にあると認められる。
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当社役職員が無登録による投資助言業務に加担している状況
産業と経済社は、「オール株価チャンス」の発刊のほか、ウェブサイト等を用いて「プラチナ会員」と称するサービス(以下「プラチナ会員事業」という。)を展開している。
プラチナ会員事業は、産業と経済社ウェブサイト等から誘導された者が申込みフォーム等による会員登録を行い、会費(6か月あたり20万円)の振込完了時点で契約の締結が完了となるところ、契約を締結した会員に対し、同社が週次でメール又はファクシミリにより、推奨銘柄や具体的な株価の目標値や株価に影響するような情報といった推奨銘柄に係る情報提供を行うサービスである。
プラチナ会員事業は、産業と経済社が、株式の価値の分析を行い、買い時の銘柄を会員へ伝達することの対価として報酬を受領する契約を顧客との間で締結の上、同契約に基づき投資助言を業として行っているものであることから、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第29条に基づく登録を受ける必要があるが、同社は無登録で投資助言業務を行っていると認められる。
そのような中、当社は、上記アのとおり、産業と経済社とともに山田氏の実質的支配のもと一体として経営されている状況であるところ、畑代表やコンプライアンス部長をはじめとする当社役職員は、産業と経済社の提供するプラチナ会員事業に係る勧誘チラシ等について、プラチナ会員事業の内容及び当該チラシ等の内容を把握した上で、当社業務時間中に通常業務の一環として、「オール株価チャンス」の郵送の際の封入作業を継続的に行っていた。
また、プラチナ会員事業に関して、当社のA営業員(山田氏の意向により令和4年7月に当社の100%株主となっている者。)が山田氏に対し、産業と経済社がプラチナ会員に推奨していた助言銘柄に関するIR情報や株価動向等について情報共有を行っている状況や、プラチナ会員事業に関する顧客誘導媒体についての改善提案をするといった業務支援を行っていた状況等も認められている。
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当社営業員が個人で無登録投資助言業務を行っていると認められ、当社がそのことを看過し適切な対応を取らずに放置していた状況
当社のB営業員は、少なくとも平成30年1月以降、金商法第29条に基づく登録を受けることなく、当社顧客を含む個人36名に対し、自身で選定した推奨銘柄に関して投資助言を行っており、その対価として総額約550万円をB営業員個人として得ていた。
なお、当社は、B営業員の無登録投資助言業務について、令和4年6月、上記36名のうち1名の当社顧客から訴訟提起されたことを契機として当該状況を把握するに至ったところ、畑代表は、B営業員に対し、事実確認として本人名義の預金通帳の写しの提出を求めた。しかしながら、B営業員は提出に応じなかったことから、畑代表はB営業員が他にも個人で投資助言を行っている顧客がいるとの疑念を高めていたにもかかわらず、追加の調査を実施せず、B営業員による無登録投資助言業務が継続されていたほか、当社は他の営業員でも同様の状況が発生していないかといった観点での実効的な内部監査も行っていなかった。
このように当社はB営業員が無登録投資助言業務を個人で行っていた状況を看過し、再発防止に向けた対応を行うことなく放置していた。
上記イの状況は、当社が、産業と経済社が提供するプラチナ会員事業の内容を把握していたにもかかわらず、当該事業について何ら疑問を持たず、他方、産業と経済社が金商法第29条に基づく登録を受けることなく金商法による保護が及んでいない顧客に対し、同法第28条第6項の「投資助言業務」を行うことに加担しているものである。
また、上記ウの状況は、B営業員が行う行為が金商法第28条第6項の「投資助言業務」に該当し、同法第29条に基づく登録を受けることなく、これらの業務を行うことは、同条に違反するものであるが、当該状況を当社が把握するに至ったにもかかわらずそのことを看過した当社の業務管理態勢は著しく不適切である。
当社における上記のような業務運営状況は、金商法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
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登録拒否要件に該当する者に政令で定める使用人として業務を行わせた上、当局に対しそのことを隠匿し虚偽の届出を提出等していた状況
当社は、平成29年9月、当該時点の当社の金融商品取引業者登録簿(以下「登録簿」という。)において、「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を行う者」として登録されていない者が、当社ウェブサイトに掲載されていた契約締結前交付書面において分析者・投資判断者(以下「投資判断者等」という。)として掲載されていたことから、当局より当該事実について確認を求められた。
これを受け、当社は、登録簿の該当部分について、変更届を失念していたとして、平成29年12月、同28年12月よりB営業員ほか4名を投資判断者等としている事実について、当局に対し遡及して変更届を提出した。その際、B営業員については、平成29年9月時点で投資判断業務に従事しなくなったとして、当社はB営業員の退任届をあわせて提出している上、当局に対し、B営業員はパート従業員として当社での勤務を継続するものの投資判断業務は行わない旨報告した。
なお、B営業員については、その当時、金商法第29条の4第1項第2号に規定する登録拒否要件に該当しており、本来であれば登録拒否要件に該当する者として「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を行う者」としての業務に従事できない状況であった。それにもかかわらず、当社はそのことを認識しながら、B営業員の退任届の提出後もそれまでと同様に投資判断業務を行わせていたことが、今回検査において認められたことから、当社は当局に対し事実を隠匿し、虚偽の届出及び報告を行っていたものである。
さらに、B営業員が登録拒否要件に該当していた事実について、A営業員はB営業員に対し、検査官へ口外しないように口止め等を行っていたことも、今回検査において判明している。
上記の状況は、金商法第29条の4第1項第2号に該当する者に投資判断業務を継続させていたことから、平成29年9月時点において同法第52条第1項第1号に該当していたものであり、当社は当該事実を認識していたにもかかわらず、当局に対しそのことを隠匿した上で同法第29条の2第1項第4号に係る事項について虚偽の変更届を提出したことは、同法第31条第1項に違反し、それにより登録拒否要件に該当する者を継続して当社の重要な業務に従事させていたものである。
このことは、登録制度をないがしろにする行為であることに加え、今回検査においても、当社株主の立場にもあるA営業員がB営業員に対して登録拒否要件に該当していた事実について口止め等を行うことで、当社は検査官による事実確認を妨げるよう謀ったものである。
このように、当社が当局に対する隠匿を繰り返すことで金融商品取引業の登録を維持していることは、同法第52条第1項第10号に規定する「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当するものと認められる。
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金融商品取引業に係る業務につき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していない状況及び金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
当社は、上記(1)アのとおり、山田氏による実質的支配を漫然と受け入れている中、営業を優先し、法令等遵守を軽視している状況となっている。また、山田氏の強い影響力のもと、畑代表の当社代表取締役としての権限は制限されている状況となっている。
こうした状況において、上記(1)イのとおり、山田氏が支配する産業と経済社により無登録による投資助言業務が行われている中、畑代表は何ら疑問を持つことなく、自身を含む当社役職員が当該業務に加担している状況を是認している。また、当社役職員においては、上記(1)及び(2)の重大な法令違反行為等を行っていたほか、法定の届出書の未提出等や畑代表自らが顧客カードの改ざんを行うなど法令違反行為等を繰り返し行っている状況にある。
上記のとおり、当社の業務運営の適切性の確保等に対する意識及び法令等遵守意識は著しく欠如している状況であることから、当社のコンプライアンスの最上位統括者である畑代表においては、金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となる十分な資質を有しておらず、その遂行に必要となるコンプライアンスに関する知識・経験を有しているとは認められないほか、コンプライアンス部長においても知識及び経験を有しているとは認められない。
また、畑代表は、令和2年3月の代表取締役就任以降も、上記(1)のとおり不適切な業務運営を放置していることに加え、畑代表自らが山田氏に意見具申することは困難な旨を自認しており、当社の唯一の役員である畑代表が主導して構築しなければならない当社の経営管理態勢等は著しく欠如している状況にあるところ、当社は、法令違反行為や不適切な業務運営をけん制・抑止する態勢となっていない状況にあるものと認められる。
当社におけるこのような状況は、金商法第29条の4第1項第1号の2に規定する「金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者」及び同項第1号ヘに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。
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以上のことから、本日、当社に対し、下記(1)については金商法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
記
- 登録取消し
関東財務局長(金商)第2868号の登録を取り消す。
- 業務改善命令
1) 全ての顧客に対し、今回の行政処分の内容を説明し、適切な対応を行うこと。
2) 現在、当社と投資顧問契約を締結している者との契約を適切に終了させること。
3) 上記1)、2)の対応状況について、令和8年5月7日までに書面により報告するとともに、上記期限にかかわらず、当局の求めに応じ随時書面で報告を行うこと。
- 登録取消し
本ページに関するお問い合わせ先
関東財務局 理財部 証券監督第2課
電話:048-600-1156(直通)

