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株式会社FPパートナーに対する行政処分について

令和7年8月6日

関東財務局

 関東財務局は、本日、株式会社FPパートナー(本社:東京都文京区、法人番号:8010001129227。以下「当社」という。)に対し、保険業法(平成7年法律第105号)第306条の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。

1.行政処分の内容

業務改善命令(保険業法第306条)

  1. 業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、以下を実行すること

    ①今回の処分を踏まえた経営責任の所在の明確化

    ②当社のビジネスモデルの特性に応じた適切な保険募集管理態勢の確立(顧客本位の業務運営の観点から、保険会社と保険代理店との適切な関係性の構築の推進に係る方針及び具体的な方策を含む)

    ③顧客に対する情報提供義務(保険業法第294条)、意向把握・確認義務(同法第294条の2)を着実に実施するための実効的な態勢の確立

    ④適切な保険募集を行うための法令等遵守態勢の確立

    ⑤上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化

  2. 上記(1)について、社外取締役又は社外監査役等に対し、現状における取締役会の機能発揮状況に係る課題認識、並びに業務の改善計画の進捗及び改善状況に係る実効性評価等について、意見を表明させること

  3. 上記(1)に係る業務の改善計画及び上記(2)に係る意見表明内容を、令和7年10月6日(月曜)までに提出し、業務の改善計画の内容についてただちに実行すること

  4. 上記(3)に係る改善計画の6か月毎における進捗及び改善状況並びに意見表明内容を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和8年4月末とする)

  5. 上記(3)で提出した改善計画及び上記(4)で報告した改善計画の進捗及び改善状況について、都度、当社ホームページでその概要を公表するとともに所属保険会社等へ必要な説明を行うこと

2.処分の理由

  1. 今回検査において認められた問題点及び経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化の必要性

     保険業法第305条第1項の規定に基づく立入検査の結果、保険代理店としての経営管理態勢、保険募集管理態勢について、以下のような問題が認められた。

     当社は、令和6年11月末時点で全国に174拠点、2,518人の保険募集人を有する、いわゆる訪問型(注1)の保険代理店としては業界最大手の乗合代理店であり、保険業法第294条及び同法施行規則第227条の2第3項第4号に基づき、複数の保険会社の保険商品のうち、あらかじめ選定した推奨商品の中から、顧客の意向を踏まえて特定の商品を説明する募集方法を採用している。

     (注1)保険代理店に所属する保険募集人が自宅や職場などを訪問し、保険募集を行うもの。

     このようなビジネスモデルにおいては、同法第294条の2に基づく意向把握・確認義務を適切に履行することが極めて重要であるが、当社においては、保険募集人がこうした義務を果たしているか否かが確認できる態勢が整備されていないことから、その適切性を担保できない状況にある。

     また、当社は、保険会社からの便宜供与の実績に重点を置いて推奨商品の選定を行っている。この点について、社外監査役から定性評価だけでは恣意的と捉えられかねない旨の指摘を受けていたにもかかわらず、少なくとも1年超にわたり具体的な対応を行っていない。

     こうした中、今回検査において、顧客の意向に合致しない商品を勧められたとする苦情や、顧客意向と異なる商品(収入保障のみを希望している顧客に変額保険を提案するなど)を推奨している事例が認められた。また、医療保障を希望している顧客に対し、同保障に対応した推奨商品のうち特定の保険商品のみを提案している事例が多数存在し、合理的な理由なく特定の保険会社を偏重して推奨していることが強く疑われる実態が認められる。

     以上を踏まえれば、当社においては顧客の適切な商品選択の機会が阻害されている蓋然性が高いと考えられ、訪問型の保険代理店として業界最大手であり、乗合代理店の中でも突出して毎年多くの新契約を獲得している当社のこのような実態は、乗合代理店ひいては生命保険業界における比較推奨販売に対する信頼性を著しく損なうものと認められる。

     このような点を是正するため、当社においては、経営陣による適切な関与の下、ビジネスモデルの特性に応じた保険募集管理態勢の確立を含む実効的な態勢整備に取り組む必要がある。

     しかしながら、経営陣は、こうした推奨販売におけるリスクを認識せず、保険会社からの便宜供与の実績を重視した保険募集管理態勢を構築しており、今後、当社による保険募集の公正を確保し、保険契約者等の保護を図っていくためには当局の関与が必要と判断した。
     

  2.  当社のビジネスモデルの特性に応じた適切な保険募集管理態勢を確立する必要性

     当社は、主に推奨販売を軸とした保険募集を行っているが、その推奨商品の選定については、個々の保険商品の優位性等よりも、各保険会社から当社に対する経営支援などの貢献度に重点を置いた上で、特定の保険会社の保険商品の販売推進を経営陣が強く指示している実態や、一部の支社長が独自のキャンペーンにより、特定の保険会社の保険商品の販売推進を行っている実態が認められた。

     また、当社は推奨商品群の選定に当たり、「商品優位性及び顧客への訴求力」も含めて検討する旨を社内規程に定めているが、取締役会等においてリーズ提供等の有無を理由として推奨商品の追加・除外を決定しており、商品優位性等を検討したことが確認できない。

     この点については、取締役会において、監査役から「商品比較表などによる客観的評価が必要である」との指摘があったにもかかわらず、その後特段の対応を行っていないなど、取締役会は、議事の中で出された意見に対する執行部門の対応状況に関するフォローアップを行う仕組みを構築していない。

     このような実態は、不適切な推奨販売を惹起しかねないリスクがあるにもかかわらず、経営陣はそのリスクを十分に認識しておらず、適切な保険募集管理態勢を構築することができていない。このため、当社においては、当社のビジネスモデルの特性に応じた適切な保険募集管理態勢を早急に確立する必要がある。
     

  3. 顧客に対する情報提供義務、意向把握・確認義務を着実に実施するための実効的な態勢を確立する必要性

     当社は、推奨販売を行う場合の義務や実務的な対応方法をマニュアル等に明示しておらず、募集システムにおいて推奨理由の説明の有無を必須入力事項としていないことに加え、保険募集人による推奨販売の適切性を確認・検証するためのモニタリングを行っていない。

     こうした中、当社は、令和5年3月より特定の保険会社と共同でキャンペーンを開始しており、同社の新契約獲得を目的とした営業推進を行った結果、同年11月の医療保険の新規契約について、医療保障を希望する顧客に対し、保険募集人が推奨商品の全てを提示した事例はなく、このうち2割は同社商品のみを推奨している。

     さらに、当社においては、推奨販売に関する苦情が少なくとも15件(注2)認められており、特に、以下の2件については、推奨理由の適切な説明が実施されていないことが強く疑われる。

     (注2)令和2年12月~令和6年11月に当社が受け付けた苦情2,636件のうち、特に不適切な推奨販売の疑義がある事案28件について事実関係を確認したもの。

    • 生命保険会社2社の商品を比較したいという顧客の意向に対し、保険募集人が両社の商品を提示せず、両社以外の生命保険会社の商品を推奨した上、その理由を説明したことが確認できない事案
    • 貯蓄性保険は不要とする顧客に対し、保険募集人の判断でドル建て一時払い終身保険を推奨しているにもかかわらず、その理由を説明したことが確認できない事案

     このような実態に照らすと、当社においては、顧客に対する情報提供義務、意向把握・確認義務を着実に実施するための態勢を早急に確立する必要がある。
     

  4. 適切な保険募集を行うための法令等遵守態勢を確立する必要性

     当社は、大半の保険募集人に対し、成果連動型の報酬体系を適用しており、当社が保険会社から受領した代理店手数料に一定の支給率等を乗じて算定した金額を、保険募集人の報酬として支払うこととしている。

     こうした中、当社においては、保険募集人が本人やその家族(同一生計)の契約を取り扱った場合に、当該契約に対して報酬を支払うことが、保険料の割戻し等に該当しないかどうかの検討が全く行われていない。

     このため、今回検査において、令和7年1月時点で有効な本人契約3,775件のうち3,765契約について、保険募集人に対し当社が受領した代理店手数料の一部が支払われており、保険業法第300条第1項第5号に違反している事実が認められている。

     さらに、取締役会は、所管部署に対して、各種規程や保険募集に関する法令等の遵守状況のモニタリング等を行わせることとしているが、多件数(例えば、1契約者が有効な生命保険契約を10件以上保有しているケース)・多額契約(例えば、契約者の年収等の水準に比して多額な保険料を支払っているケース)等といった不適切な募集に関するモニタリングを行う態勢を構築していない。

     こうした中、当社においては多件数・多額契約や短期間での乗換、解約を繰り返す保険募集人が複数存在するにもかかわらず、こうした実態を検知できていない。

     上記の状況に照らすと、当社においては、適切な保険募集を行うための法令等遵守態勢を早急に確立する必要がある。

本ページに関するお問い合わせ先

関東財務局理財部金融監督第4課

電話番号:048-600-1288

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