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株券等の大量保有の状況等に関する開示制度(5%ルール)の概要

5%ルールの目的は、大量保有報告書により株券等の保有状況を公開させることで、市場の公正性、透明性を高めるとともに、投資者の保護を一層徹底することにあります。
我が国の金融商品市場においては、経営参加、取引関係の強化等さまざまな動機で、企業の株券等を大量に取得するケースが多数見受けられますが、このような場合、株価が乱高下することが多く、こうした事実に関する十分な情報を持たない一般投資家が不測の損害を被るおそれがあります。このため、株券等の大量保有の状況に関する情報が広く一般投資家に開示されるような制度が必要と考えられ、平成2年12月から本制度が導入されました。

 

〔注意〕
 ここに記載している概要は、参考までにとりまとめたものですので、詳細は法令等及び記載上の注意(PDF形式:351.9KB)を確認してください。

 
〔凡例〕
法:金融商品取引法 

施行令:金融商品取引法施行令
府令:株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令

1.大量保有報告書の提出

大量保有報告書の対象有価証券〔法第27条の23第1項及び第2項、施行令第14条の4、施行令第14条の4の2、施行令第14条の5の2、府令第1条の2〕

大量保有報告書の対象となる有価証券は、金融商品取引所に上場している法人が発行者である株券等です。

大量保有報告書の提出義務者〔法第27条の23〕

大量保有報告書を提出する義務がある者は、対象株券等の保有者でその株券等保有割合が5%を超えている者(「大量保有者」)です。

なお、上場会社が自社株の取得や処分をする場合は、大量保有報告書の提出は不要です。

株券等保有割合の算出方法〔法第27条の23第4項〕
 (自己保有分の株式数+自己保有分の潜在株式数)÷(発行済株式等総数+自己保有分の潜在株式数)


保有者には、所有名義に限らず、次のような者が該当します。

 

  1. 自己又は他人の名義をもって株券等を所有する者〔法第27条の23第3項本文〕
    この場合、名義の如何を問いませんので、取得後に名義書換を行っていない株券等や、他人名義(口座)で取得した株券等を含み、処分後に名義書換を行っていないため引き続き自己の名義になっている株券等は含みません。
     
  2. 売買その他の契約に基づき株券等の引渡請求権を有する者〔法第27条の23第3項本文〕
    売買等は約定しているが株券等の引渡しを受けていない者や、信用取引で買建てている者です。
     
  3. 金銭の信託契約等に基づき、発行者の株主として議決権を行使することができる権限を有する者で、当該発行者の事業活動を支配する目的を有する者〔法第27条の23第3項第1号〕
    議決権を有しているとは、自らの判断で議決権の行使またはその行使について指図を行うことができることをいい、信託財産に属する株式の議決権を誰が有しているかは、信託契約書の条項で判断します。また、事業活動を支配するとは、融資関係、人的関係、取引関係等を通じて、結果的に事業に影響を及ぼすことをいいます。
     
  4. 投資一任契約その他の契約又は法律の規定に基づき、株券等に投資をするのに必要な権限を有する者
    〔法第27条の23第3項第2号〕
    投資一任契約に基づき投資権限を有している投資顧問会社や、未成年者が株券を保有している場合の親権者が該当します。

共同保有者とは

5%ルールでは、本人による保有のみではなく、本人と共同して議決権を行使することを同意しているような者や、夫婦等共同保有者とみなされる者が保有する株券等も合算して保有割合を判断します。

実質共同保有者〔法第27条の23第5項〕

共同して株券等を取得し、譲渡し、又は議決権の行使等を行うことを合意している者です。

みなし共同保有者〔法第27条の23第6項、施行令第14条の7〕

夫婦や、50%超の資本関係がある親子会社及び兄弟会社等です。

共同保有者がある場合の株券等保有割合の算出方法〔法第27条の23第4項〕
(自己保有分の株式数及び潜在株式数+共同保有者分の株式数及び潜在株式数)÷(発行済株式等総数+自己保有分及び共同保有者分の潜在株式数)

大量保有報告書の記載事項〔府令第一号様式(記載上の注意)〕

株券等の取得により保有割合が5%を超えることとなった場合は、財務局へ大量保有報告書を提出しなければなりませんが、その記載事項は概ね次のとおりです。
 
  1. 発行者に関する事項
    名称、証券コード、上場取引所名
     
  2. 提出者の概要
    名称、所在地、事業内容(個人の場合は氏名、住所、職業)
     
  3. 保有目的
    純投資、政策投資、重要提案行為等を行うこと等の目的及びその内容。
     
  4. 提出者の保有株券等の内訳
    株券等の種類別保有株数と、合計の保有割合を記載。
     
  5. 最近60日間の取得又は処分の状況
    最近60日間における株券等の全ての取引について、取引日、取引数量、単価等の内訳を記載。
    ただし、単価は、市場内取引分については記載不要。(相対取引及び立会外取引については、市場外取引に含まれるため単価の記載が必要。)
     
  6. 株券等に関する重要な契約
    報告対象の株券等に関する貸借契約、担保契約、売り戻し契約、売り予約その他の重要な契約、取決めを記載。
     
  7. 取得資金に関する事項
    自己資金・借入金の内訳
    借入先の名称、業種、代表者氏名、所在地、借入金額等
    なお、当該資金が銀行等金融機関からの借入れによる場合で、株券等の取得資金であることを明らかにしていない場合は、当該金融機関名は開示されません。

変更報告書の提出・記載事項〔法第27条の25第1項〕

大量保有報告書を提出後、株券等保有割合が1%以上増加または減少した場合、または大量保有報告書に記載すべき重要な事項に変更があった場合には、変更内容等を記載した変更報告書を提出しなければなりません。
なお、短期大量譲渡(法第27条の25第2項)に該当する場合には所定の様式での報告が必要となります。

訂正報告書の提出・記載事項〔法第27条の25第3項〕

大量保有報告書または変更報告書の記載に誤りがあったり、記載が不十分である場合には、訂正報告書を提出しなければなりません。
訂正報告書は、どの報告書の訂正かを明らかにし、訂正事項について、訂正前・後がわかる形で記載します。

報告書の提出先〔府令第19条〕

大量保有報告書や変更報告書の提出義務が生じた者は、提出者の住所地(所在地)を管轄する財務局長に報告書をEDINETにより提出しなければなりません(東海財務局の管轄区域は、愛知県・岐阜県・静岡県・三重県)。
大量保有報告書等については、平成19年4月1日以降、EDINETによる提出が義務化されていることから、紙面での提出があっても受理できませんのでご注意ください。

EDINETによる提出を行うためには、事前にEDINETコードの取得の手続きが必要となります。

 

提出にあたっては、各種操作ガイド等(「EDINET 開示書類等提出者のサイト」)をご参照ください。

報告書の提出期限〔法第27条の23第1項、法第27条の25第1項〕

大量保有報告書、変更報告書とも報告書の提出義務が生じた日(約定日)の翌日から5日以内となっています。
なお、この5日以内には土曜、日曜、祝日等は含まれませんから、通常の週の場合は、報告義務発生日の翌週の同一曜日が提出期限となります。
 

大量保有報告書等を提出しない者や虚偽の記載を行った者等への罰則等〔法第197条の2ほか〕

 

大量保有報告書又は変更報告書を提出しない者、虚偽の記載内容を含む大量保有報告書等(変更報告書及び訂正報告書を含む)を提出した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることがあります。(法第197条の2)

 

また、平成20年12月12日施行の金融商品取引法改正法により、大量保有報告書又は変更報告書を提出しない場合、提出期限までに提出しない場合、虚偽の記載内容を含む大量保有報告書等(変更報告書及び訂正報告書を含む)を提出した場合等について課徴金制度が導入されています。(法第172条の7、172条の8)  

 

なお、課徴金の減算制度については、証券取引等監視委員会に報告書を提出するなどの要件があり、財務局担当者への相談等では要件を満たさないことにご注意ください。詳しくは証券取引等監視委員会のホームページでご確認ください。(法第185条の7第12項)

2.大量保有報告書の縦覧

大量保有者から提出された大量保有報告書や変更報告書は、EDINETで提出後直ちに縦覧可能です。

3.報告書の様式

単独保有の場合の大量保有報告書及び変更報告書

単独保有により報告書を提出する場合
報告書の種類 指定様式(府令) 備考
大量保有報告書 第一号様式表紙、第1、第2

第2の7の【借入先の名称等】は株券等の取得資金である旨を明らかにしない借入金がある場合のみ必要(以下同じ)

変更報告書 第一号様式表紙、第1、第2 上記参照
変更報告書(短期大量譲渡)

第一号様式表紙、第1、第2

第二号様式

第一号様式の第2‐1‐(5)に代えて第二号様式により記載(以下同じ)

 

共同保有者がいる場合の大量保有報告書及び変更報告書

連名により報告書を提出する場合
報告書の種類 指定様式(府令) 備考
大量保有報告書 第一号様式表紙、第1、第2、第4

第2は提出者及び共同保有者各々全員分を記載

(共同保有者は委任状(Word版(Word形式:15.4KB)PDF 版(PDF形式:51.7KB))添付)

変更報告書 第一号様式表紙、第1、第2、第4

第2は提出者及び共同保有者各々全員分を記載

(共同保有者は委任状添付)

共同保有者については、第2は共同保有者のうち前回提出の報告書から記載事項に一切の変更がない者に係る保有状況を除く。第4は、これらの者を含めて合算記載すること。

変更報告書(短期大量譲渡の場合) 第一号様式表紙、第1、第2、第4
第二号様式

上記参照

 

各々が別々に報告書を提出する場合
報告書の種類 指定様式(府令) 備考
大量保有報告書 第一号様式表紙、第1、第2、第3、第4 第3は提出者以外の共同保有者の数だけ作成
変更報告書 第一号様式表紙、第1、第2、第3、第4 第3は提出者以外の共同保有者の数だけ作成
変更報告書(短期大量譲渡の場合) 第一号様式表紙、第1、第2、第3、第4
第二号様式
第3は提出者以外の共同保有者の数だけ作成

 

 

本ページに関するお問い合わせ先

東海財務局理財部統括証券監査官
〒460-8521 名古屋市中区三の丸3-3-1
電話:052-951-2545

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