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岩井コスモ証券株式会社に対する行政処分

岩井コスモ証券株式会社に対する行政処分

平成29年12月19日

近畿財務局
 

岩井コスモ証券株式会社に対する行政処分
 

1.岩井コスモ証券株式会社(本店:大阪市中央区、法人番号5120001077418)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、下記の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(平成29年12月12日付)。

○ 公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為及び当該情報の不適切な取扱い

 当社において、当社のアナリストが作成したアナリスト・レポートについて、下記(1)から(4)までの問題が認められた。

(1)一部の顧客に対して公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為
 平成29年2月から同年3月までの間に当社が公表したアナリスト・レポートのうち、レーティング情報として新たに最高位のAランクを付与し、当社単独でカバレッジを開始した6銘柄について、勧誘等の状況を検証したところ、複数の営業員(少なくとも6部店、8営業員)が、一部顧客(延べ26名)に対して、アナリスト・レポート公表後には株価が上昇する可能性が高いと強調するなどして、公表前の同レポートに記載される銘柄のレーティングや目標株価等の情報を用いて株式の買付けを勧誘していた。

(2)アナリスト・レポートに記載される情報の取扱いが不適切な状況
上記(1)の背景として、当社では、遅くとも平成18年10月から今回検査基準日(同29年4月3日)に至るまで長期間にわたり、アナリスト・レポートの公表前に、同レポートに記載される銘柄のレーティングや目標株価等の情報を社内放送や社内イントラネット等を通じて全営業員に伝達・周知し、営業員が顧客に当該情報を用いた勧誘を行うことを容認するなど、アナリスト・レポートに記載される情報の取扱いが極めて不適切なものとなっていた。

(3)内部管理態勢が不十分な状況
アナリスト・レポートの管理の適切性等をチェックすべき関連部署は、上記(1)のような不適切な勧誘が容易に行われる状態であったにもかかわらず、上記(2)の状況について問題認識を有することなく長期間にわたって容認しており、内部管理態勢は著しく杜撰なものとなっていた。

(4)経営陣による不十分な態勢整備
経営陣は、営業態勢については積極的に整備する一方、法令等遵守態勢や内部管理態勢については規制環境の変化や規制の趣旨を十分に踏まえた実効性のある態勢を整備してこなかった。

  当社における上記のような業務運営状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

2.以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

○ 業務改善命令
(1)本件に関連する行為について、全容を解明した上で、その責任の所在を明確にするとともに、発生原因を特定すること。
(2)上記(1)により明らかとなった内容(関連する行為の全容、責任の所在及び発生原因)を踏まえ、実効性のある再発防止策を策定し、これを確実に実施・定着させること。
(3)本件が関係者の法令等遵守意識が希薄な中で長期間にわたって行われたものであることに鑑み、遵守すべき法令等諸規則の意義や本質を改めて確認し、法令等遵守意識を根本的に改め、その上で、経営陣が率先して法令等遵守に取り組む姿勢を明確にし、全社的な法令等遵守意識及び健全な企業文化を構築するなど、経営管理態勢・内部管理態勢の抜本的な見直しを行うこと。
(4)役職員の法令等諸規則の理解及び遵守意識を徹底するための研修等を実施すること。
(5)上記(1)~(4)について、その実施状況を1か月以内に書面で報告すること。

本ページに関するお問い合わせ先

財務省近畿財務局 理財部証券監督第1課 TEL: 06-6949-6367

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