平成27年度「地域密着型金融に関するシンポジウム」の開催結果について
最終更新日:2016年5月27日
北海道財務局において、地域密着型金融の取組みに関する知見・ノウハウの共有化を図ること等を目的として、以下の通り、地域密着型金融に関するシンポジウムを開催しました。
1.開催日時・場所
- 平成28年3月29日(火曜日) 13時30分から16時
- 札幌第1合同庁舎 2階講堂
2.参加者の概要
約120名(地域金融機関、士業団体、商工団体、中小企業支援機関等)
3.議事要旨
(1)開会挨拶
北海道財務局長 齋藤 修
(2)政務官挨拶
内閣府大臣政務官 牧島 かれん
(3)基調講演(下線部をクリックすると配付資料をご覧頂けます)
『北海道経済の将来に向けて 新幹線のある時代』(PDF形式:51KB)
北海道大学大学院経済学研究科長・経済学部長 吉見 宏 氏
講演概要
- 「北海道」と言えば北海道という「島」をイメージしがちだが、「経済」と言った時に「島」の部分だけを考えてしまうと北海道経済を小さくしてしまう。即ち、北海道の経済範囲は東北を含めてもっと広くあるべきで、そのためのツールの1つが「新幹線」だ
- 北海道経済の将来を考えた時、産業の中心はどこかと言うと、「1次産業」「エネルギー」「観光」がキーワードになる
- 観光についてみると、これまではホテルなど宿泊施設への投資が中心だったが、今後においては、移動手段を含めたホテル以外のツールに投資することも必要ではないか
- 「新幹線」というツールは、北海道の姿を大きく変え、繋いでいく。更に今後は札幌延伸に向けた努力をしていかなければならない。北海道の産業全体を見渡し、具体的にどこに投資をしていくかを考えながら北海道経済の将来を考えていくべき
(4)パネルディスカッション
テーマ
地方創生に貢献する地域金融機関、そのあるべき姿
パネリスト
- 株式会社OcciGabi Winery 専務取締役 落 希一郎 氏
- 株式会社北海道銀行 営業推進部アグリビジネス推進室産業戦略部長 西山 泰正 氏
- 帯広信用金庫 常務執行役員地域経済振興部長 秋元 和夫 氏
コーディネーター
- 小樽商科大学大学院商学研究科 教授 齋藤 一朗 氏
議事概要
株式会社OcciGabi Winery・落 専務
- 本当の意味でのワインづくりに向け、これまで様々な活動を行ってきたが、沢山のワイナリーが集積するようなワインゾーンを作れないかと思い、北海道余市町に移住してきた
- 当社の経営理念は「ビジョン」と「ミッション」。明確な「空間軸」「時間軸」を持った将来展望や、地域に対する社会的な貢献、即ち「雇用の創出」が重要だ
- 事業というものは、生き物のように変容性や発展性を秘めているものと考えているが、金融機関からはその辺りの理解が得られにくい。事業立ち上げの際には、金融機関やファンドからも融資や出資を受けたが、金融機関に甘えることなく事業に取り組んでいきたい
- かつて携わったワイナリー事業でも、沢山の個人の方々が出資をしてくれた。先立つものは、「やる気」と「誠意」と「相手を巻き込む動き」。金融機関との付き合いでも、如何にして柔軟性を引き出し、当社に引き寄せていくことが大事かということに行き着いている
株式会社北海道銀行・西山部長(PDF形式:487KB)
- 当行では、「アグリビジネスファンド」を通じた6次産業化支援をはじめ、「農業経営アドバイザー」の有資格者を増やすなどして、農業分野への支援に積極的に取り組んできた
- 当行の農業分野における強みは、2次産業者や3次産業者とのかかわり合いが非常に強いということ。北海道の産品には、道内外を問わず非常に大きなニーズがあり、当行のアグリビジネス推進室が調整役となってマッチングに取り組んできた
- 今後においても、1次産業者の付加価値向上や、地域における雇用確保や資金循環の確保に向けたツールの一つとして当行のファンドを活用していきたい
- また、道内では、地方公共団体が中心となって6次産業化に取り組む動きもあることから、ファンドの活用などを通じて地方創生の思いを支えていきたい
帯広信金・秋元部長 (PDF形式:1.64MB)
小樽商大・齋藤教授
- 当金庫では、2009年4月に産業経済振興の専担部署として「地域経済振興部」を新設し、十勝の方々が気づかなかった視点から地域の資源と課題を浮き彫りにして、それぞれの活用と解決を実践するよう努めてきた
- そのような中、地域の「稼ぐ力」を強化するという視点から、十勝に根を張る「火の玉人材」を確保するため、道内金融機関などと協力して地域の創業塾「十勝イノベーションプログラム」を立ち上げ、新たなビジネスモデルの構築やビジネスプランの立ち上げを支援してきている
- 地方創生に向けた取組みにおいては、金融機関の果たす役割がますます大きくなると見込まれる中、金融機関の経営資源配分のあり方も課題の一つとなっており、関係する機関・団体や管内外で活動している十勝関係者等との一層の連携が重要になると考える
- 地域における「巻き込み力」を高め、地方創生の動きを大きなうねりとしていくために、地域金融機関として何をすべきかを不断に検討していきたい
小樽商大・齋藤教授
- 地域活性化に向けた様々な取組みが行われている中、地域金融機関においては、経営者の事業を成就させよういう意思を如何にして受け止め、個々の取組みに共感できるような組織風土を醸成するかが求められている
- また地域金融機関には、企業との密なるコミュニケーションを通じて、経営者の「志」や「ミッション」といったソフト情報を受容し、更にそれを「事業」というところにどう結び付け調和を図っていくかということが課題となっている
- 地域金融機関による事業性評価の前提には、地域活性化に向けた運動を、事業に対する「共感」をベースにして、周囲を巻き込みながら発展させていくことも必要ではないか
(以上)
本ページに関するお問い合わせ先
北海道財務局 理財部 金融監督第一課
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