大臣挨拶要旨(令和7年11月6日)
最終更新日:2025年11月10日
全国財務局長会議の開催に当たりまして、御挨拶申し上げます。
日本経済については、緩やかに回復しておりますが、潜在成長力は伸び悩み、米国関税措置に関する日米協議は合意には至ったものの世界経済にはまだ不透明感があります。こうした中、食料品を中心とした物価高が当面の景気下押しリスクとなっています。
これらを踏まえまして、高市総理から、生活の安全保障・物価高への対応、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現、防衛力と外交力の強化、この3つを柱とする「総合経済対策」を策定して、補正予算を提出することについて御指示があったところであり、与党とも十分連携し、党派を超えた議論も踏まえて、経済対策の取りまとめ作業を速やかに行ってまいります。
令和8年度予算、及び経済対策に基づく補正予算の編成においては、物価高への対応など重要課題への対応が求められており、難しいものになると考えております。こうした中、「責任ある積極財政」の考え方に基づく経済・財政運営を行い、経済・財政新生計画に基づき歳出・歳入両面の改革を推進し、経済再生と財政健全化との両立を図ってまいりたいと考えております。
地域経済につきましては、従来どおり、各財務局からの御報告を基に、管内経済情勢報告の結果として取りまとめ、今回の総括判断は「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」として、前回から判断を「据え置き」といたしました。
管内経済情勢報告は、各地域の経済動向を俯瞰的に把握することができる、非常に有益な報告であると考えております。
各財務局・財務事務所において、米国の関税措置による地域経済への影響を含め、地域の経済や産業の状況について、きめ細かな把握と分析をお願いいたします。
また、高市総理から「対日直接投資審査を高度化する枠組みの検討」を御指示いただいているとおり、現下の厳しい安全保障環境の中、対内直接投資を通じた技術流出の防止は非常に重要な政策課題となっております。経済安全保障の観点から、対内投資審査制度の実効性も向上させていく必要があり、財務局における活動は益々重要なものとなっております。引き続き、地方支分部局間で連携しつつ、地域企業へのアウトリーチ等を通じて、投資審査制度の周知と情報収集をお願いします。
最後に金融行政について申し上げます。
人口減少・少子高齢化が進行する中で、地域が持続的に発展していくためには、地域金融機関に対しては、有望なプロジェクトへの資金供給にとどまらず、地域事業者へのM&Aや事業承継、事業再生支援、地域に必要な事業・人材の呼び込み、地域企業のDX支援等を通じて、地域経済に貢献する「地域金融力」の更なる発揮が求められており、政府としてもこれを強力に推進する必要があると考えております。
その際には、こうした地域金融力の担い手として期待される地域金融機関等が、その役割を十分に発揮できるための環境整備もあわせて進める必要があります。具体的には、資本参加先の適切な経営管理と業務運営の確保等を含む資本参加制度や資金交付制度の期限延長・拡充などを検討してまいります。
現在、金融審議会において御議論いただいているところですが、それも踏まえ、今後、私の下で、関連施策をパッケージ化した「地域金融力強化プラン」を年内に策定する予定です。同プランを強力に推進していくためには、全財務局の皆様のお力が不可欠でございますので、御協力をよろしくお願いします。
また、国税の非対面・非現金等による納付方法であるキャッシュレス納付の利用拡大についても金融機関との接点を活かし、国税局と連携して周知や後押しをお願いします。
以上、様々申し上げましたが、これらの点を踏まえ、今後とも一層の努力をもって職務にあたっていただくようお願い申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。

