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大臣挨拶要旨(令和7年4月22日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

はじめに、日本経済は、緩やかに回復していますが、米国の通商政策等による不透明感がみられます。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっています。また、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに留意する必要があります。
 こうした中、国民の一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で、豊かさを実感できるよう、昨年からの賃上げの流れを拡大し、物価上昇を上回る賃上げを定着させていくため、省力化・デジタル化や成長分野への投資を促進すること等により、生産性や付加価値を高め、安定的に賃金や所得が増えていく環境を整えることが必要です。

令和7年度予算は、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするとともに、我が国が直面する構造的な変化に的確に対応していくための予算であり、衆参両院で充実した御審議をいただいた結果、先般、年度内に成立いたしました。
 国会審議では、衆議院・参議院の双方で予算修正が行われるという、史上初めての予算プロセスとなりました。衆議院においては、いわゆる高校無償化の先行実施や、基礎控除の特例の創設などが盛り込まれ、所要の予算修正が行われました。参議院においては、高額療養費制度について、見直し全体について実施を見合わせ、本年秋までに改めて方針を検討し、決定することとされたことを踏まえ、所要の予算修正が行われました。
 こうした議論の結果、令和7年度予算の成案を得られたことは、「熟議の国会」の一つの成果であると考えております。
 今後、令和7年度予算を速やかに実行に移し、昨年末に成立した令和6年度補正予算と併せて、最大限の効果を発揮させてまいります。
 国民の予算や財政に対する理解・関心を高めていくことは重要であると考えておりますので、各財務局におかれては、引き続き財政に関する広報を充実させていただきたいと思います。また、予算の更なる効率化、執行の適正化に向け、予算執行調査に精力的に取り組んでいただくよう、よろしくお願いします。

地域経済については、従来どおり、各財務局からの報告を基に、管内経済情勢報告の結果として取りまとめ、今回の総括判断は「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」として、前回から判断を「据え置き」といたしました。
 ただし、先ほど申し上げたとおり、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっています。
 先日、財務省において、米国の関税措置に関する財務省総合対策本部を、金融庁において、米国の関税措置に関する金融庁総合対策本部を、それぞれ設置いたしました。各本部において必要な検討を行い、関係省庁等と協力して、米国の関税措置に対する対応について万全を期すこととしたところです。
 これを受け、各財務局・財務事務所において、米国の関税措置による地域経済への影響を含め、地域の経済や産業の状況について、きめ細かな把握と分析を行っていただくとともに、民間金融機関における事業者の経営相談等の状況についても把握いただいたところ、足元では、資金繰りや地域経済への具体的な影響はまだあまり見えていない中で、今後の影響を懸念する声などが一定程度聞かれました。
 こうした状況を踏まえ、まずは本日、談話を発出し、

  1. 相談窓口の設置・運営等も通じた状況把握や、一層きめ細かい資金繰り支援の徹底を官民金融機関に要請するとともに、
  2. 貸付条件の変更等の状況に係る報告徴求・公表の頻度の強化や、
  3. 金融庁での専用相談ダイヤルの開設、

を行うことといたしました。
 皆様の迅速な御対応に感謝するとともに、談話の趣旨を踏まえ、引き続きしっかりと御対応をお願いします。

また、金融行政においては、貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の政策を引き続き推進してまいります。
 新NISAへの移行後、18歳以上の4人に1人が口座を保有するに至るなど、これまで一定の成果が見られますが、資産運用立国は、我が国の資金の流れを大胆に変えていく大きな改革であり、継続的に取組を発展させていく必要があります。
 このため、先月、新しい資本主義実現会議の下に、「資産運用立国推進分科会」が設置されました。今後、本分科会において、追加的な施策や既存の施策の改善・実質化に向けた御議論をいただき、政府として、本年10月のJapan Weeks 2025に向け、今後取り組むべき施策を取りまとめていきたいと考えております。

最後になりますが、財務省の組織内部に目を向ければ、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念の下、常に国民の視点に立って、高い価値を社会に提供できる組織風土をつくりあげていくことが重要です。そのため、私としても、財務局長の皆さんとともに、働き方改革を含め、職員が誇りを持って働ける環境づくりに取り組んでまいりますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。

以上、私の挨拶とさせていただきます。