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大臣挨拶要旨(令和6年8月6日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。 

 

はじめに、一連の大雨による災害で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。 

被災者の方々が一日も早く安心して生活ができるよう、引き続き関係省庁と連携し、適切に対応してまいります。 

 

令和6年も既に7月が経過しましたが、この、今般の大雨だけでなく、1月の能登半島地震や4月の豊後水道における最大震度6弱の地震、そして北海道から本州日本海側を襲った大雪など、激甚化・頻発化する自然災害が国民の皆様の暮らしを脅かしています。 

また、自然災害のみならず、ウクライナ侵略などを背景とした物価上昇やサプライチェーンの混乱など、経済情勢の著しい変化が日常生活や企業経営に影響を及ぼし続けています。 

 

政府の第一の役割は、こうした目の前の課題やリスクに適切に対応することで、国民の安心と安全を守ることにあります。 

これまでも経済対策やそれに基づく補正予算などにより、物価高騰対策や国土強靭化など様々な措置を講じてまいりましたが、引き続き経済・社会状況を踏まえつつ、適切に対応してまいります。 

 

また、足元では、金融市場において株価が大きく変動しておりますが、金融庁長官以下の会議を機動的に開くなど、市場動向などの把握・分析を実施し、関係機関との連携をとる体制を整えたところです。 

政府としては、今後、現状を冷静に判断するとともに、日本銀行とも連携しつつ、経済財政運営に万全を期してまいります。 

 

さらに、このような目の前の変化への対応と同時に、将来を見据えた力強い経済成長を実現していくことも重要な課題です。 

今年の春闘では33年ぶりの高い賃上げ率を達成し、本日公表された統計では実質賃金が1.1と27月ぶりにプラスに転換するなど着実に改善している姿が示されました。また、設備投資も100兆円を超え史上最高水準となっており、賃金・投資の面で日本経済には明るい兆しが見えています。 

政府としては、こうした前向きな動きを後押しし確かなものとすることで力強い成長につなげてまいりたいと考えております。 

具体的には、令和6年度予算及び税制改正で措置された、医療・介護をはじめとする現場で働く方々の処遇改善や賃上げ促進税制の強化、戦略分野 国内生産 促進税制の創設などを通じ物価上昇を上回る賃金上昇や、その原資ともなる生産性の向上に取り組んでまいります。 

また、金融面でも、先般の国会で成立した「事業性融資の推進等に関する法律」を踏まえながら、経営改善・再生支援に重点を置いた事業者支援を進めてまいります。 

 

先ほど申し上げた株価とともに我々が注視すべき重要な指標の一つに「金利」があります。 

先週の日銀の金融政策決定会合において、政策金利の0.25%程度への引上げと、長期国債買入れの減額計画が決定されました。こうした日銀における政策転換が金利、ひいては財政や経済与える影響について注意深く見ていく必要がありますが、仮に今後も金利が上昇し利払費が増加すれば、政策的経費が圧迫されるおそれがあります。利払費の増加を理由に、国民生活や地域経済に必要な事業が行き届かなくなることは避けなければなりません。 

したがって、これまで以上に気を引き締めて、財政健全化に取り組み、財政余力をしっかりと確保し続けることが重要であると考えております 

 

以上、財務省・金融庁の主な取組についてお話しした上で、最後に、財務局の皆様に申し上げます。 

 

地域経済については、従来どおり、各財務局からの報告を基に、管内経済情勢報告の結果として取りまとめ、今回の総括判断は「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」として、前回から判断を「据え置き」といたしました。 

管内経済情勢報告は、各地域の経済動向を俯瞰的に捉えることができ、財務省・金融庁にとって大変重要なツールの一つであると考えています。 

報告に当たっては、統計を用いた分析のほか、企業ヒアリング等による現場の生の声も判断材料とされており、各地域の関係者にとっても、この報告の有用性は高いのではないかと考えております。引き続き、きめ細かな実態把握を行っていただきたいと思います。 

 

また、近年は、地域の課題解決に向けたネットワーク作りや、学校のニーズに応じた財政教育など、地域連携の取組にも力を入れていると聞いております。 

財務局の業務は、それ自体が地域貢献の面を持つものですが、引き続き、これらの業務を通じて、地域の皆様に信用され、頼られる存在になってほしいと強くお願いしたいと思います。 

 

今年から一万円券の顔となった渋沢栄一も、信用の重要性を説き、また信用を構築するためには、「責任感念が強く、執着力があり、誠心誠意を以て事にたる」ことの大切さを述べています。 

財務局に限らず、地方支分部局は、国民との接点において仕事をしていることから、財務省・金融庁全体の信用と信頼を支える重要な役割を担っていると考えています。 

 

財務局の皆様におかれては、昨年に改定した「財務局の使命」の実践に向けて、引き続き、地元の関係者や本省庁の職員と連携し、強い責任感と誠心誠意をもって政策遂行に当たり、地域の期待に応えていただきたいと考えております。 

 

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。