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大臣挨拶要旨(令和6年2月1日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

 まずはじめに、令和6年能登半島地震によって亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。
 被災者の方々が一日も早く安心した生活ができるように、引き続き関係省庁と連携し、復旧・復興に全力で取り組んでまいる所存です。

 日本経済につきましては、昨年30年ぶりとなった高水準の賃上げや企業の意欲的な投資計画の策定など前向きな動きが見られております。
 こうした中、足元の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、民需主導の持続的な成長を実現していくことが重要です。そのため、先に成立した令和5年度補正予算を迅速かつ適切に執行するとともに、同補正予算と一体的に編成した令和6年度予算、そして令和6年度税制改正を着実に実行に移していく必要があります。

 日本の財政は、これまでの新型コロナウイルス感染症や物価高騰等への対応に係る累次の補正予算の編成等により、より一層厳しさを増しております。財政は国の信頼の礎であり、経済あっての財政という方針の下、財政健全化に取り組むことで中長期的な財政の持続可能性への信認を確保していかなければなりません。引き続き、「経済財政運営と改革の基本方針2023」等における2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革を着実に推進し、歳出構造の更なる平時化を進めてまいります。

 令和6年度予算は、歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取るための予算としております。
 具体的には、医療・福祉分野の現場で働く方々の処遇改善をはじめとした「物価に負けない賃上げの実現」に向けた取組の推進、「こども未来戦略」に基づく「加速化プラン」の迅速な実施、我が国周辺の厳しい安全保障環境を踏まえた防衛力の着実な強化など、我が国が直面する構造的な課題に的確に対応するものとしております。
 また、物価と賃金の好循環に向け、賃上げ促進の環境整備を含め、物価高対策に必要となる経費に予期せぬ不足が生じた際に機動的に対応するため、万全の備えとして、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費を1兆円措置しております。
 加えて、令和6年能登半島地震への対応として、令和6年度においても復旧・復興の段階などに応じた切れ目のない機動的な対応を確保するため、一般予備費について、前年度当初予算に対し、5千億円増額し、1兆円措置しております。
 同時に、「経済財政運営と改革の基本方針2023」等に基づき、社会保障関係費について、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるとともに、社会保障関係費以外について、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続しております。

 令和6年度税制改正につきましては、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行うこととしております。
 また、資本蓄積の推進や生産性の向上により、供給力を強化するため、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制を創設し、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化のための措置を講ずることとしております。
 加えて、グローバル化を踏まえてプラットフォーム課税の導入等を行うとともに、地域経済や中堅・中小企業の活性化等の観点から、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長等を行うこととしております。
 このほか、扶養控除等の見直しや防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、与党の税制改正大綱を踏まえ、閣議決定しております。

 地域経済については、管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年1月の全局の総括判断は「物価上昇や海外経済の減速等の影響がみられるものの、緩やかに回復しつつある」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれては、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただくとともに、地域の様々な方々との連携を深め、地域の発展に貢献していただきたいと思います。

 次に、金融行政について申し上げます。
 コロナ禍を経て、実質無利子・無担保融資の返済が本格化する中、資金繰り支援に注力した段階から、一歩先を見据えて、事業者の実情に応じた経営改善・事業再生支援等にも取り組むという新しい段階へと移行していくことが必要です。
 こうした観点から、経営改善・事業再生支援の本格化を推進するため、金融機関等による早め早めの対応を促すとともに、事業者に対するコンサルティング機能の強化を促していく必要があります。
 また、能登半島地震で被災された事業者等に対し、今後、復興・再建に向けた具体的な支援ニーズが出てくることになります。政府としては、地震の影響を受けている事業者等の支援に万全を期するべく、取り得るあらゆる施策を講じていきます。
 各財務局におかれては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、被災された方々に寄り添った対応を含め、事業者支援の徹底に向けた取組を促していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、財務省の組織内部に目を向ければ、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念の下、常に国民の視点に立って、高い価値を社会に提供できる組織風土をつくりあげていくことが重要です。
 本年も、地方支分部局を含めた財務省全体が一丸となり、着実に取組を進めてまいります。各財務局長におかれましても、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

 以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。