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大臣挨拶要旨(令和5年10月25日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、日本経済については、緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
 こうした状況も踏まえ、政府としては、足元の急激な物価高から国民生活を守り抜くとともに、地方・中堅中小企業を含めた持続的賃上げと地方の成長の実現や、成長力の強化・高度化に資する国内投資促進に加え、人口減少を乗り越え変化を力にする社会変革の起動・推進や、国民の安全・安心の確保のため、「総合経済対策」を策定し、速やかに実行してまいります。

令和6年度予算、及び経済対策に基づく補正予算の編成においては、足元の物価高騰への対応のほか、少子化対策の安定財源確保など山積する政策課題への対応が求められており、難しい編成になると考えております
 こうした中、「骨太方針2023」にもあるとおり、歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう取り組むことに加え、潜在成長率の引き上げや社会課題の解決に重点を置いたメリハリの効いた予算編成を行うことで、経済成長と財政健全化の両立にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

税制につきましては、10月1日、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要な仕組みとして、インボイス制度が導入されました。
 政府としては、制度の円滑な導入と定着に向け、周知・広報のほか、相談対応、税制上の特例措置や補助金による支援など、事業者の立場に立って様々な支援を行ってきたところです。
 引き続き各省庁とも連携して執行状況等をフォローアップし、把握された課題に対して必要な支援を実施してまいりたいと考えています。
 各財務局におかれましても、引き続き、制度の定着に向けて周知・広報にご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

地域経済については、管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年10月の全局の総括判断は「物価上昇や海外経済の減速等の影響がみられるものの、緩やかに回復しつつある」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれては、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただくとともに、地域の様々な方々との連携を深め、地域の発展に貢献していただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。
 コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある一方で、物価高騰や人手不足への対応など、依然として事業者にとって厳しい経営環境が続いており、これらに苦しむ事業者に対する支援が重要となっています。
 こうした中、足元では民間金融機関による実質無利子・無担保融資の返済が本格化し、今後、抜本的な再生事案を含め、支援ニーズが更に増加する可能性があります。このため、地域金融機関には、資金繰り支援にとどまらない、事業者の実情に応じた経営改善支援や事業再生支援等について、先延ばしすることなく取り組んでいただく必要があります。
 各財務局におかれては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、事業者支援の徹底に向けた取組を促していただきますよう、よろしくお願いいたします。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。