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大臣挨拶要旨(令和5年7月26日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、一連の大雨による災害で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 被災者の方々が一日も早く安心して生活ができるように、ライフラインの復旧や生活支援などに全力で取り組めるよう、引き続き関係省庁と連携し、適切に対応してまいります。

日本経済については、緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
 これを踏まえ、政府としては、先日閣議決定された骨太方針2023に基づき、30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取組を加速させてまいります。

日本の財政は、少子高齢化が進む中、社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的課題に直面しております。財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の「旗」を降ろすことなく、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革をしっかりと進めてまいります。

税制につきましては、6月30日に政府税制調査会で取りまとめられた答申も踏まえながら、経済成長と財政健全化の両立を図るとともに、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めてまいります。

地域経済については、管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年7月の全局の総括判断は「物価上昇や海外経済の減速等の影響がみられるものの、緩やかに回復しつつある」とし、前回から判断を上方修正しております。
 各財務局におかれては、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。
 コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある一方で、人手不足の影響など、厳しい状況に直面している事業者も多く存在しています。また、民間金融機関による実質無利子・無担保融資の返済が本格化する中、債務が増大した事業者に対する事業再生等を支援する必要性が高まってきています。こうした観点から、地域金融機関に対して、事業者に必要である抜本的な支援を先延ばしすることなく、事業者の実情に応じた支援を徹底することを促していく必要があります。
 また、地域金融機関が地域経済の回復・成長に貢献していくためには、金融機関自身が経営基盤を強化し、持続可能なビジネスモデルを確立することが重要です。金融機関を取り巻く環境の変化は非常に早いと言えます。地域金融機関の経営トップには、これまで以上に時間軸を意識して、果断な経営判断を行い、経営改革を進めていただく必要があります。
 各財務局におかれては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、今申し上げた事業者支援の徹底や経営改革に向けた取組を促していただきますよう、よろしくお願いいたします。

「財務省再生プロジェクト」について、本年6月に進捗報告を公表しました。「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という財務省の組織理念のもとに、この1年間、地方支分部局を含む全ての財務省職員が、自らの職場・組織のことを考え、良き伝統は守り、見直すべきは見直すといった意識で、主体性を持って組織風土改革に取り組み、職員一人一人が、より効率的にやりがいを持って、質の高い政策実現に邁進できる環境作りが進みつつあります。
 本年6月には、財務省の組織理念や「地域連携」の取組の発展を踏まえ、「財務局の使命」を改定しました。財務局が、地域の一員として、国民の皆様から期待され信頼される組織となるためには、新たな使命のもとに、常に国民の皆様の視点に立った高い価値を社会に提供できる組織風土を創り上げていく必要があります。各財務局の皆様におかれましても、引き続き御協力をお願いいたします。

最後になりますが、去る5月に新潟で開催されたG7では、関東財務局の皆様のお力添えのかいあって、無事成功裏に終えることができました。今後の国際会議開催の際も、各財務局の皆様の御協力のほどよろしくお願いいたします。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。