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大臣挨拶要旨(令和4年7月27日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、日本経済については、緩やかに持ち直しております。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的に金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や、原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があります。
 これを踏まえ、政府としては、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」を実行するとともに、「物価・賃金・生活総合対策本部」において、物価・景気の状況を把握し、予備費を機動的に活用しながら、状況に応じた迅速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組んでまいります。

日本の財政は、少子高齢化が進む中、社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的課題に直面しております。財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の「旗」を降ろすことなく、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革をしっかりと進めてまいります。

税制については、経済成長と財政健全化の両立を図るとともに、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めてまいります。応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止を図りつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的で、デジタル社会にふさわしい税制を構築し、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、税体系全般の見直しを推進します。

地域経済については、管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年7月の全局の総括判断は「供給面での制約や原材料価格高騰の影響が引き続きみられるものの、緩やかに持ち直している」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれては、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。

新型コロナの長期化やウクライナ情勢に伴う原油価格・物価高騰等の影響が懸念される中、地域金融機関においては、事業者支援に全力で取り組むことが重要です。
 具体的には、事業者の実情に応じ、事業者への資金繰り支援や、今後、実質無利子・無担保融資の返済が本格化していくことを見据え、経営改善・事業再生・事業転換支援等に取り組むことが期待されます。
 こうした中、政府としては、引き続き、地域金融機関による事業者支援の取組みをしっかりと後押ししていく必要があります。
 各財務局におかれては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、事業者支援に向けた適切な対応を促すとともに、地域の関係者との連携・協働を深化させ、実効性のある事業者支援態勢の構築・強化に努めていただきたいと思います。

最後になりますが、「財務省再生プロジェクト」について、本年6月に進捗報告を公表しました。この1年間、地方支分部局を含む全ての職員が、良き伝統は守り、見直すべきは見直すといった意識で、主体性を持って改革に取り組むことを重視し、職員一人一人がやりがいを持って、その能力を最大限発揮できる風通しのよい職場づくりにも取り組んでいます。

昨事務年度後半、残念ながら、過度な飲酒による非行事件などが立て続けに発生してしまいました。国民の皆様から期待され信頼される組織となるためには、綱紀の保持はもちろんのこと、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念を踏まえ、常に国民の視点に立って、高い価値を社会に提供できる組織風土をつくり上げることが重要です。各財務局の皆様におかれましても、引き続きご協力をよろしくお願い致します。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。