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大臣挨拶要旨(令和4年1月25日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、日本経済につきましては、新型コロナ感染症による厳しい状況から徐々に回復しつつありますが、オミクロン株の感染拡大に直面し、国民生活や経済への影響は依然として続いております。また、先行きにつきましては、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されますが、下振れリスクにも十分注意する必要があります。
 こうした中、政府としては、まずは、新型コロナ感染症対策に万全を期してまいります。また、この感染症による危機を乗り越え、「新しい資本主義」に向けて、「成長と分配の好循環」を実現していく必要があります。そのため、先に成立した令和3年度補正予算の速やかな執行を期すとともに、いわゆる「16か月予算」として同補正予算と一体的に編成した令和4年度予算、そして令和4年度税制改正を着実に実行に移していく必要があると考えております。

日本の財政は、少子高齢化が進む中、社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的課題に直面しております。財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を降ろすことなく、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等における2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革をしっかり進めてまいります。
 予算につきましては、まず、令和3年度補正予算による感染拡大防止策等を着実に進めるとともに、令和4年度予算においても、引き続き5兆円の新型コロナウイルス感染症対策予備費を措置し、予期せぬ状況変化に備えることとしております。次に、「新しい資本主義」の実現のため、成長戦略として、「科学技術立国」の観点から、過去最高の科学技術振興費を確保し、イノベーションを促進するとともに、「デジタル田園都市国家構想」の観点から、地方創生推進交付金等による支援を行うほか、「経済安全保障」の観点から、研究開発等を推進することとしております。また、分配戦略として、看護、介護、保育、幼児教育等の現場で働く方々の処遇改善や、人への投資を推進する施策等に取り組むこととしております。
 同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「経済財政運営と改革の基本方針2021」の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続しております。また、予算の単年度主義の弊害是正に取り組むなど、予算の質も向上させております。

令和4年度税制改正につきましては、「成長と分配の好循環」の実現に向けて、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から、賃上げに係る税制措置を抜本的に強化するとともに、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションを更に促進するための措置を講ずることとしております。また、カーボンニュートラルの実現に向けた観点等を踏まえ、住宅ローン控除等を見直すこととしております。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域の企業活動における従業員及び地域社会への配慮、社会的価値の提供について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年1月の全局の総括判断は「新型コロナウイルス感染症や、供給面での制約、原材料価格高騰の影響が引き続きみられるものの、緩やかに持ち直している」とし、前回から判断を上方修正しております。
 各財務局におかれましては、新型コロナの状況を含め、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。
 足もとではオミクロン株の感染拡大に直面する中、地域金融機関においては、引き続き事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援に取り組んでいくことが重要です。
 また、今後、新型コロナで大きく傷ついた日本の経済社会を立て直す上で、地域金融機関は、資金繰りにとどまらない経営課題を抱える事業者に対して、経営改善・事業再生・事業転換支援等に積極的に取り組んでいく必要があります。
 こうした中、政府としては、地域金融機関が、先に成立した補正予算に盛り込まれた措置も含め、各種支援策を有効に活用し、他の金融機関や支援機関と連携・協働しながら地域全体で事業者を支える態勢を構築できるよう、引き続き、関係省庁間の連携に万全を期してまいります。
 各財務局におかれましては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、適切な対応を促すとともに、各地域における経済産業局等の関係機関とも一層緊密に連携して、実効性のある事業者支援態勢の構築・強化に努めていただきたいと思います。

最後になりますが、財務省の組織内部に目を向ければ、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念を踏まえ、常に国民の視点に立って高い価値を社会に提供できる組織風土をつくりあげることが重要です。
 本年も、地方支分部局を含めた財務省全体が一丸となり、歩みを止めることなく着実に、取組を進めてまいります。
 各財務局長におかれましても、引き続き、地域の最前線で国民の信頼にこたえる行政を遂行していただくようお願いし、私の挨拶といたします。