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大臣挨拶要旨(令和3年8月3日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

日本経済の現況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増しております。
 政府としては、引き続き、ワクチン接種の迅速な実行、感染拡大の抑制を最優先に対策を徹底してまいります。さらに、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意しつつ、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促すことで、民需主導の成長軌道の実現につなげてまいります。

財政につきましては、足もとの新型コロナ対応を受けて、厳しさを増しております。また、新型コロナ以前から、少子高齢化の進行を背景に、社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的課題を抱えております。
 このような状況を踏まえて、本年6月に閣議決定された「骨太の方針2021」においては、2025年度のプライマリーバランス黒字化等の財政健全化目標は堅持したところであります。
 その上で、新型コロナが経済財政に与える影響がいまだ不透明であることを考慮し、本年度内に、その影響の検証を行い、その結果を踏まえ、目標年度を再確認することとしております。
 引き続き、経済再生と財政健全化の両立に向けて、歳出・歳入両面の改革に取り組んでまいります。

税制につきましては、少子高齢化、働き方・ライフコースの多様化、デジタル化・グローバル化や感染症の影響もあり、経済社会の構造変化が加速するなかで、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現するとともに、応能負担の強化等による再分配機能の向上を図りつつ経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般の見直し等を進めてまいります。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域における新型コロナによる企業活動への影響について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年7月の全局総括判断は「厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、持ち直しつつある」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれましては、感染拡大の影響を含め、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。
 足もとでは、東京都と沖縄県に加えて首都圏3県や大阪府が再び緊急事態宣言の対象区域に追加されるなど、感染症による厳しい環境が続く中、地域金融機関が、引き続き、地域の事業者に対する資金繰り支援に積極的に取り組んでいくことが重要です。
 また、今後は、ワクチン接種の広まりなどにより、経済活動が徐々に再開されていくことが期待されます。こうした中、様々な課題に直面する事業者の経営改善・事業再生・事業転換支援等を進めていくために、地域金融機関をはじめとした地域のステークホルダーが連携・協働し、実効的な事業者支援の態勢を構築していくことが重要です。
 さらに、こうした事業者支援を進め、地域経済の回復・成長に貢献していくためにも、地域金融機関が、経営改革を進め、経営基盤を強化し、持続可能なビジネスモデルを確立していくことが重要です。このため、金融庁としても、独禁法特例法の制定や資金交付制度の創設、銀行の業務範囲規制の緩和など様々な環境整備を行ってきたところです。経営基盤の強化に向けて、金融機関が取りうる選択肢は様々ではありますが、今後は、経営改革の実行フェーズとして、それぞれの金融機関に必要な経営改革を着実に進めていただく必要があります。
 各財務局におかれましては、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、適切な対応を促していただきますよう、お願いいたします。

最後になりますが、財務省の組織風土改革の取組につきまして、6月25日に進捗報告を公表いたしました。
 「財務省再生プロジェクト」が始まってから3年間、秋池参与のお力もお借りしながら、改革を進めてきました。特に、この1年間は、これまでに実施した取組を改良しながら継続すること、本省における様々な取組を地方支分部局とも共有することを重視し、地道な取組を積み重ねてまいりました。
 今後とも、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念を踏まえ、常に国民の視点に立って、高い価値を国民に提供できる組織風土をつくり上げていくことが重要と考えております。各財務局の皆様におかれましても引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。