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大臣挨拶要旨(令和3年4月28日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

日本経済の現況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられます。
 政府としては、引き続き、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」等を通じて、雇用と事業を支えながら感染症の拡大を防止するとともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換の実現を図り、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を進めてまいります。また、民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促すことで、経済の好循環を実現してまいります。

先月成立いたしました令和3年度予算につきましては、令和2年度第3次補正予算と合わせ、感染拡大防止に万全を期すとともに、デジタル社会・グリーン社会の実現など、中長期的な課題にも着実に対応するものとなっております。同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「新経済・財政再生計画」の目安を達成しております。本予算を迅速かつ着実に執行するとともに、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標等の達成に向けて、引き続き、歳出改革の取組を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。
 各財務局におかれましては、予算の更なる効率化に向け、予算執行調査に精力的に取り組んでいただきたいと思います。

令和3年度税制改正につきましては、先般成立した所得税法等の一部を改正する法律におきまして、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設するとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設けております。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置を創設しております。
 さらに、家計の暮らしと民需を下支えするため、住宅ローン控除の特例の延長等を行っております。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域における企業業績と雇用等の動向について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年4月の全局総括判断は「厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、持ち直しつつある」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれましては、感染拡大の影響を含め、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

金融面での支援につきましては、感染症の影響が長引く中、特に深刻な影響を受けている飲食・宿泊業等の事業の継続ができるよう、先般、政投銀等による、協調融資原則の一時停止や資本性劣後ローンの金利引下げなどの支援策を政府としてとりまとめております。金融機関がこうした支援策も活用して、事業者への支援を徹底できるよう、引き続き、関係省庁との連携に万全を期してまいります。
 各財務局におかれましては、継続的なモニタリングや対話の充実に取り組み、地域金融機関に対し適切な対応を促していただきますよう、お願いいたします。

また、金融機関が地域経済の回復・再生に一層貢献できるよう、金融グループの業務にデジタル化や地方創生などに資する業務を追加することや、事業の抜本的な見直しを行う地域銀行等への支援措置の創設などを盛り込んだ、「銀行法等の一部を改正する法律案」を今国会に提出しております。
 この法案には、日本の金融資本市場を国際金融センターの一つとして発展させるため、海外事業者の簡素な参入手続を創設する内容も含まれております。今後、金融行政の英語対応を進めるとともに、政府一体となって、金融資本市場の魅力向上や、ビジネス環境の整備に取り組んでまいります。
 各財務局におかれましては、先日開設した「拠点開設サポートオフィス」と積極的に連携いただき、各地域での取組を進めていただきたいと考えております。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。