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大臣挨拶要旨(令和3年1月28日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、日本経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあります。令和2年度第1次補正予算及び第2次補正予算の政策効果等もあり、持ち直しの動きがみられますが、感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があります。
 このような状況の下、昨年12月8日に、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を閣議決定いたしました。総合経済対策を通じて、雇用と事業を支えながら感染症の拡大を防止するとともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図り、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を進めてまいります。
 感染症に関する緊急事態宣言が発出されております。今後も感染状況や経済・国民生活への影響を注意深く見極め、引き続き、感染症対策予備費を含めた累次の補正予算、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算の着実な執行により、適切に対応してまいりたいと考えております。
 日本の財政は、少子高齢化に伴う構造的な課題にも直面しております。「経済財政運営と改革の基本方針2020」等を踏まえ、2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、引き続き、これまでの歳出改革の取組を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。

令和3年度予算は、令和2年度第3次補正予算と合わせ、感染症の影響を受けている国民の命と生活を守るため、感染拡大防止に万全を期すとともに、将来を切り拓くため、中長期的な課題を見据えて着実に対応を進めていく予算としております。
 具体的には、感染症危機管理体制や保健所体制の整備等によって感染拡大防止に万全を期すとともに、予期せぬ状況変化への備えとして、5兆円の感染症対策予備費を措置することとしております。また、デジタル社会・グリーン社会の実現や、全世代型社会保障の構築など、中長期的な課題にもしっかり対応するものとしております。
 同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「新経済・財政再生計画」の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続しております。

令和3年度税制改正につきましては、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設するとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設けることとしております。あわせて、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置を創設するほか、家計の暮らしと民需を下支えするため、住宅ローン控除の特例の延長等を行うこととしております。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた企業等の取組について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年1月の全局総括判断は「厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、持ち直しつつある」とし、表現変更をした上で、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれましては、感染拡大の影響を含め、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。

緊急事態宣言の発出など、感染症による厳しい環境が続く中、実質無利子・無担保融資や資本性劣後ローン等も活用した、事業者に対する資金繰り支援の徹底や、本業支援の積極的な対応を図ってまいります。
 また、金融機関が地域経済の回復・再生に一層貢献できるよう、業務範囲規制等の緩和や、事業の抜本的な見直しを行う地域銀行等への支援措置の創設に取り組んでいきます。
 各財務局におかれましては、継続的なモニタリングや対話の充実に取り組み、地域金融機関に対し適切な対応を促して頂きますよう、お願いいたします。

また、日本の金融資本市場を国際金融センターの一つとして発展させるため、海外から金融事業者・高度外国人材を呼び込む環境の構築などを戦略的に進めていきます。その取組みの一環として、新規の海外の資産運用会社等の参入を促進するため、今月12日に、金融庁・財務局合同の「拠点開設サポートオフィス」を開設いたしました。同オフィスにおいて英語によりワンストップで対応することにより、登録の迅速化や事業者の利便性向上を図りたいと考えております。
 各財務局におかれましては、ぜひ積極的に同オフィスと連携いただき、各地域の取組を進めていただきたいと考えております。

最後になりますが、財務省の組織内部に目を向ければ、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念を踏まえ、常に国民の視点に立って、高い価値を国民に提供できる組織風土を、つくり上げていくことが重要であると考えております。
 こうした活動は、不断に取り組んでいかなければならないものであり、本年も、地方支分部局を含めた財務省全体が一丸となって進めてまいります。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。