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大臣挨拶要旨(令和2年8月4日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まず始めに、今般の令和2年7月豪雨によって亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 被災者の方々が、一日も早く安心した生活ができるように、ライフラインの復旧や生活支援などに全力で取り組めるよう、引き続き関係省庁と連携し、適切に対応してまいります。

日本経済の現況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、このところ持ち直しの動きがみられます。また、先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されております。

今般の危機にあたっては、「経済再生なくして財政健全化なし」との認識の下、かつてない規模の財政出動により雇用と事業を守り抜くこととし、事業規模約234兆円の一連の対策を策定しました。また、ほぼ全税目を対象とした納税猶予の特例を含む税制上の措置を創設しております。

今後の財政運営につきましては、これらの対策により今回の危機からいち早く脱出することを目指しつつ、成長力の強化や持続的な財政構造の構築をはじめ様々な改革に真剣に取り組み、経済再生と財政健全化の両立を実現してまいります。

税制につきましても、急速な少子高齢化や働き方の変化等、経済社会の構造が大きく変化する中、持続的な経済成長を維持・促進し、経済社会を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般にわたる見直しを進めてまいります。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域における新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響とその対応について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年7月の全局総括判断は「厳しい状況にあるものの、足下では下げ止まり、一部で持ち直しの動きがみられる」とし、前回から判断を上方修正しております。
 各財務局におかれましては、引き続き、地域の経済状況について、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が内外経済に甚大な影響をもたらす中、民間金融機関に対して、累次にわたり、事業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、事業者の業況等についてきめ細かく実態を把握し、万全の対応を取るよう要請してきました。また、将来を見据えての先手の対応として、金融機関に対する国の資本参加制度である金融機能強化法の見直しを行うなど、金融が実体経済をしっかりと下支えできるよう、金融庁・財務局が連携し全力で取り組んできたところです。

地域金融機関につきましては、今後、事業者の資金繰り支援のほか、経営改善・事業再生支援も含め、事業者の支援と地域経済の発展に果たす役割が一層重要となります。そのためにも、地域金融機関自身が、持続可能なビジネスモデルを構築することで、将来にわたって財務の健全性を維持しつつ、地域における金融仲介機能を発揮していけるよう、引き続き財務局と連携し、継続的なモニタリングや対話の充実に取り組み、地域金融機関の対応を促してまいります。

各財務局におかれましても、地域経済の要として、各地域における事業者の経営改善・事業再生等に向けた課題・実情の把握と、これに応じた支援策の円滑な実施に、関係機関と連携して力強く取り組んで頂きますよう、お願いいたします。

最後になりますが、財務省再生に向けた取組につきまして、6月23日に進捗報告を公表いたしました。
 一昨年に財務省再生プロジェクトが始まってからこれまでの2年間、秋池参与のお力を借りながら、財務省の再生に向けた様々な取組を進めてきました。
 例えば、昨年、明確化・明文化した財務省の組織理念の浸透・実践に向けて、組織理念を各自の職務・職場にあてはめて考える機会を確保するための少人数の意見交換会を、財務局においても実施しました。
 今後ともこうした取組を継続・進化させ、高い価値を社会に提供できる組織風土を創り上げるため、各財務局の皆様におかれましても引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。