適格機関投資家等特例業務届出者に対する行政処分について(必要な届出書を提出していない業者)
平成29年1月31日
東海財務局
東海財務局
- S Financial Estate合同会社(愛知県大府市、法人番号8180003012612。以下「当社」という。)については、以下の金融商品取引法の一部を改正する法律(平成27年法律第32号。以下「改正金商法」といい、また、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)を「金商法」といい、改正金商法施行前の金商法を「旧法」という。)に違反する事実(下記(1))が認められた。
また、当局が、改正金商法施行日以降、当社に対して金商法第63条の6の規定に基づき報告徴取命令を行った結果、当社から提出された報告書において、以下の金商法に違反する事実等(下記(2)及び(3))が認められた。
(1)改正金商法で提出が義務付けられている届出書を提出していない状況
当社は、改正金商法附則第3条第1項の規定に基づき、施行日から起算して6か月以内に、金商法第63条第2項各号に掲げる事項等を記載した書面等(以下「追加届出書」という。)を当局に提出しなければならないにもかかわらず、追加届出書を提出していない状況は、改正金商法附則第3条第1項に違反するものと認められる。
(2)無登録で投資運用業を行っている状況
当社が組成する「S.F.S匿名組合2号」(以下「当社ファンド」という。)については、有限会社A(以下「A社」という。)の発行する社債への投資を対象事業としているが、適格機関投資家の出資を受けていないことが判明したため(無登録投資運用業)、平成28年5月24日付で警告書を発出した。
しかしながら、当社は是正することなく、適格機関投資家の出資のないままに運用を継続しており、当社の上記行為は、金商法第28条第4項に規定する「投資運用業」に該当し、当社が同法第29条に基づく登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。
(3)投資者保護上問題のある業務運営
1)投資先への不適切な資金拠出
当社ファンドは、当社代表者が従業員となっているA社の発行する社債への投資を対象事業としているが、両者間で社債の発行・取得等の契約が交わされていないため、これまで利息等は一切支払われず、償還時期も明確となっていない。
また、当社は、平成24年8月から平成27年3月までの間、二十数回にわたり、少なくとも6,310万円の資金をA社代表者の個人口座に送金するなどしているが、A社の平成27年11月期の決算書には、社債の計上はなく、A社代表者からの長期預り金として2,307万円が計上されているのみであり、少なくとも4,000万円余が使途不明となっている。
2)一部出資者への不公平な配当
当社は、少なくとも17名と認められる出資者のうち、特定の出資者8名にのみ、複数回にわたり計634万円の配当金を支払っており、こうした取扱いは出資者間の公平性に欠ける行為と認められる。
3)ファンド財産の不適切な管理
ファンド財産の管理について、当社の平成25年4月期の決算書によると、ファンド業務に関係のない、旅費交通費71千円、交際費247千円、燃料費(ガソリン代)274千円を支出しているほか、使途不明の出金が約200万円認められるなど、不適切なものとなっている。
上記1)から3)について、当社はこれまで何ら改善を図っておらず、こうした状況は投資者保護上重大な問題があると認められる。
- このため、本日、当社に対し、下記(1)については金商法第63条の5第3項の規定に基づき、下記(2)については同条第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
記
(1)業務廃止命令
適格機関投資家等特例業務(旧法特例業務届出者については、「旧法適格機関投資家等特例投資運用業務」をいう。以下同じ。)に係る全ての業務を廃止すること。
(2)業務改善命令- 1.適格機関投資家等特例業務に関して関与した全てのファンド(以下「ファンド」という。)について、ファンド持分を取得した全ての出資者に対し、行政処分の事実及び理由について説明を行うこと。
- 2.ファンド財産の運用・管理の状況を早急に把握し、ファンド出資者に対し、当該状況その他必要な事項の説明を行うこと。
- 3.ファンド出資者の意向を踏まえ、ファンド財産の返還等に関する方針を速やかに策定し、実施すること。
- 4.ファンドの出資者間の公平に配慮しつつ、出資者保護に万全の措置を講ずること。
- 5.上記1.から4.までの対応・実施状況について、完了までの間、書面により随時報告すること。
本ページに関するお問い合わせ先
東海財務局 証券監督課 電話:052‐951‐2498