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公共工事に係る談合情報対応マニュアル

平成14年7月1日財会第1695号

大臣官房会計課長から各部局長あて

改正:平15.8.8財会第2011号

第1 一般原則
 
  1. 情報の確認

     入札に付そうとする工事について入札談合に関する情報(以下「談合情報」という。)があった場合には、当該情報の提供者の身元、氏名等を確認のうえ、直ちに契約担当官等(会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3第1項に規定する契約担当官等をいう。以下同じ。)に通報すること。
     また、入札執行責任者等は情報提供者が報道機関である場合には、報道活動に支障のない範囲で情報の出所を明らかにするよう要請すること。
     なお、新聞等の報道により談合情報を把握した場合にも、契約担当官等へ通報するものとする。
     
  2. 報道機関との対応

     談合情報を契約担当官等が把握した以降において、報道機関等から発注者としての対応についての説明を求められた場合には、広報事務担当者が対応すること。
     また、談合情報については、報道機関等から求められた場合に限り、公正取引委員会へ通知している旨を明らかにすることとするが、公正取引委員会が行う審査の妨げにならないよう留意し、発注者側から積極的に談合情報を公表することは避けること。
     なお、必要に応じて広報事務担当者のほか、部局長(財務省所管会計事務取扱規則(昭和43年大蔵省訓令第1号)第2条第3項に規定する部局長をいう。以下同じ。)又は契約担当官等の指示により入札執行責任者等が併せて対応することができる。
     
第2 具体的な対応

 談合情報があった場合には、原則として、次に従い対応すること。
 なお、詳細な手順は、第3に従い行うこと。
 
  1. 入札執行前に談合情報を把握した場合

    (1) 公正取引委員会への通知

     部局長は、談合情報の提供があった旨を直ちに公正取引委員会へ別紙第1号様式により通知すること。
     なお、談合の追加情報、入札の取止決定及び入札の無効決定があった場合には逐次かつ速やかに公正取引委員会に通知すること。

    (2) 事情聴取

     契約担当官等は事情聴取を行う必要があると判断した場合は、入札に参加しようとする者(以下「入札参加者」という。)全員(原則、契約を締結する権限を有する者)に対して、入札までの時間及び発注の遅れにより生じる影響を考慮しつつ、入札執行の前日までに行うこと。
     なお、談合情報の提供があった日と入札執行の日に時間的余裕がない場合は、入札開始時刻若しくは入札執行の日を繰り下げることとし、入札を延期する場合には、公表可能な範囲での情報(談合情報の提供を受けた事実)を入札参加業者に伝達すること。
     また、部局長は聴取結果について、事情聴取書を作成し、当該聴取書の写しを公正取引委員会に送付すること。

    (3) 談合の事実があったと認められる証拠を得た場合の対応

     契約担当官等は、事情聴取の結果、明らかに談合の事実があったと認められる証拠を得た場合には、入札の執行を延期するか若しくは取り止めるものとすること。
     また、部局長は、その旨を速やかに公正取引委員会へ通知すること。
     入札の執行を延期した場合、入札書が提出されていたときは、それらを保管することとして、その後に入札の執行を取り止めた場合、公正取引委員会への通報と併せてそれらの写しを提出すること。

    (4) 談合の事実があったと認められない場合の対応
     
    • 契約担当官等は、事情聴取の結果、談合の事実があったと認められない場合には、全ての入札参加者から誓約書を提出させるとともに、入札執行後談合の事実が明らかと認められる場合には入札を無効とする旨の注意を促した後に入札を行うこと。
       また、部局長は、誓約書の写しを公正取引委員会へ送付すること。
       
    • この場合、全ての入札参加者に対し、第1回の入札に際し工事費内訳書を提出するように要請すること。
       ただし、工事費内訳書の提出を求めることとしていない入札である場合において、入札日において事情聴取を行うなどあらかじめ工事費内訳書の提示を要請する時間的余裕がないときは、発注の遅れによる影響及び工事費内訳書のチェックの必要性を考慮したうえで、工事費内訳書のチェックは行わずに入札を執行するか、又は工事費内訳書の提出を要請の上、入札日を延期して入札を執行するかのいずれかにより対応すること。
       
    • 入札には、積算担当官(当該工事の積算内容を把握している職員(積算を外部に委託している場合には積算業務受託責任者を含む。))又は補助者が立会い、工事費内訳書等を入念にチェックすること。
       
    • 工事費内訳書のチェックにおいて、明らかに談合の事実があったと認められる証拠を得た場合には、前記(3)の対応により対応すること。
       
    • 部局長は、入札終了後に、入札状況調書(任意の様式とし、入札件名、入札年月日、入札執行場所、入札執行責任者、入札者名、予定価格、入札金額等の記載のあるものをいう。以下同じ。)の写しを公正取引委員会へ送付すること。
       
    (5) 財務省本省及び同一地区内各部局への連絡

     部局長は(1)から(4)までの対応をとった場合、逐次かつ速やかに大臣官房会計課長へ連絡すること。
     なお、同一地区の各部局長へも談合情報を連絡し、同一地区内の他の部局が当該談合の疑いのある業者と契約を締結している事実等について情報収集を行うこと。

    (6) その他留意点

     入札執行の日に入札に参加するために入札会場に集まった者のうち、事情聴取を行っていない者を対象として前記(2)から(5)に従い対応すること。
     
  2. 入札執行後に談合情報を把握した場合

     入札執行後に談合情報があった場合には、入札後においては入札結果等を公表しており、落札者及び落札金額は既に閲覧に供されていることに留意しつつ、以下の手続きによることが適切か否かを判断すること。

    (1) 契約締結の前に談合情報を把握した場合の取扱い
     
    • 公正取引委員会への通知の方法

       入札執行後に談合に関する情報があった場合には、直ちに公正取引委員会に別紙第1号様式により通報し、併せて入札状況調書の写しを送付すること。なお、追加談合情報又は入札の無効決定等があった場合には逐次かつ速やかに公正取引委員会に通報すること。
       
    • 事情聴取

       契約担当官等が事情聴取を行う必要があると判断した場合は、入札を行った者全員に対して速やかに事情聴取を行い、聴取結果について事情聴取書を作成し、部局長が、当該書面の写しを公正取引委員会へ送付すること。
       
    • 明らかに談合の事実があったと認められる証拠を得た場合の対応

       事情聴取の結果、明らかに談合の事実があったと認められる証拠を得た場合には、入札に関する条件に違反した入札として、当該入札を無効とすること。
       また、部局長はその旨を入札契約適正化法第10条に基づき、公正取引委員会へ通知すること。
       
    • 談合の事実があったと認められない場合の対応

       事情聴取の結果、契約担当官等は談合の事実があったと認められない場合には、入札を行った者(全員)から誓約書を提出させたうえで、契約を締結すること。
       また、部局長は誓約書(写し)及び入札状況調書(写し)を公正取引委員会へ送付すること。
       
    • 本省への連絡

       aからdまでの対応をした場合は、各対応の段階において大臣官房会計課監査係まで連絡をすること。
       
    (2) 契約締結後の場合
     
    • 公正取引委員会への通知

       部局長は、談合情報があった旨を直ちに公正取引委員会へ別紙第1号様式により通知し、併せて入札状況調書の写しを送付すること。
       なお、追加談合情報等があった場合には逐次かつ速やかに公正取引委員会へ通報すること。
       
    • 事情聴取

       契約担当官等が事情聴取を行う必要があると判断した場合は、入札を行った者全員に対して速やかに事情調査を行い、聴取結果について、事情聴取書を作成すること。
       また、部局長は、当該書面の写しを公正取引委員会へ送付すること。
       なお、事情聴取の結果、談合の事実が認められる証拠を得た場合には、着工工事の進捗状況等を考慮して、契約を解除するか否かを判断すること。
       
    • 本省及び同一地区の他部局への連絡

       部局長は、a及びbの対応をとった場合は、各段階において速やかに大臣官房会計課長へ連絡すること。
       また、同一地区内の他の部局に対しても談合情報を連絡し、当該談合の疑いのある業者との契約の締結の有無について確認すること。
     
第3 個別手続の手順等

 第2に定める事情聴取等の手続においては、次に掲げる事項に留意して行うこと。
 
  1. 報告書

     契約担当官等は、談合情報に係る通報を受けた場合には、情報の内容を別紙第1号様式の報告書にまとめること。
     
  2. 公正取引委員会への通知等

    (1) 公正取引委員会への通知は、別紙第2号の1様式により部局長が行うこと。

    (2) 公正取引委員会の窓口は、公正取引委員会各地方事務所(支所)審査課(又は審査第1課)である。また、各地方事務所の管轄区域に注意すること。
     なお、関東地方には地方事務所が置かれていないため、窓口は、公正取引委員会事務総局審査局情報管理室である。

    (3) その後の調査結果に関する公正取引委員会への通知は、別紙第2号の2様式 を使用することとし、事情聴取から入札までの手続等を引き続いて行う場合又は事情聴取した全ての業者が談合の疑いを否定した場合には、これらを入札終了後まとめて送付すること。
     なお、追加談合情報、入札の取止決定及び入札の無効決定があった場合は公正取引委員会への通知に併せて、手続の各段階において事情聴取書及び工事費内訳書、入札書の写し等関係書類の写しを送付すること。
     また、通知の内容について公正取引委員会から問い合わせがあることを予想し、担当者は提出した資料の範囲内で的確な対応ができるよう内容について整理しておくこと。

    (4) 公正取引委員会への通知の後に、公正取引委員会より協力要請があった場合は、可能な限り協力すること。
     
  3. 本省及び同一地区の他部局への連絡

    (1) 本省及び同一地区の他部局への連絡は、部局長が行うこと。

    (2) 本省及び同一地区の他部局への連絡は、2(3)により通知等を行った写しを送付すること。

    (3) 本省へは、手続の各段階で事情聴取書、誓約書、入札状況調書の写し等を送付するものとするが、事情聴取から入札までの手続等を引き続いて行う場合には、これらを入札終了後にまとめて送付することができる。
     
  4. 事情聴取の方法等

    (1) 事情聴取は、複数の職員により行うこと。

    (2) 事情聴取は入札参加者全員を集合させて、あらかじめ、別紙第3号様式を参考とした事情聴取項目を通知したうえ、1社毎に面談室に呼出し、聴取りを行うこと。

    (3) 聴取結果については、別紙第3号様式を参考に事情聴取書を作成すること。
     
  5. 誓約書の提出等

    (1) 誓約書については、別紙第4号様式を参考に事情聴取の対象者から自主的に提出させること。

    (2) 「入札執行後談合の事実が明らかと認められた場合には入札を無効とする旨」の注意を促すこと。
     
  6. 工事費内訳書のチェック

     工事費内訳書の提出に当たっては、入札に際し、積算担当官が、工事費内訳書の提出を求め、談合の形跡がないかを入念にチェックした後に開札すること。
     なお、事情聴取、工事費内訳書のチェックを迅速に行う必要がある場合は、事情聴取と工事費内訳書のチェックを並行して実施することができる。
     
  7. 報道機関との対応方法

     第1 2報道機関との対応と同様に取扱うこと。
     
  8. 建設コンサルタント業務等の入札談合情報への対応

     本通達の規定は、建設コンサルタント業務等の入札に係る談合情報について準用する。
     
第4 公正取引委員会に談合の情報を提供するときの留意事項
 
  1. 談合情報の提供にあたっての留意事項

     公正取引委員会への談合情報の提供にあたっては、入札執行の前後に不審点が認められる入札及び新聞記事により談合の疑いがあると報道された入札について、発注機関として把握している過去の事例を考察し、入札談合の疑いがあると判断するときには2公正取引委員会が審査活動を進めるための留意事項を踏まえたうえで、判断するものとする。

    (1) 公正取引委員会から通知の要請があった情報
     
    • 当該発注機関が談合情報を受けた日時
       
    • 工事名
       
    • 入札(予定日)
       
    • 情報提供者
       
    • 通報を受けた者(発注機関の担当者)
       
    • 情報手段(電話、書面等)
       
    • 情報内容
       
    • 談合情報に対する対応の概要
       
    • (入札を実施済の場合)入札結果等
       
    (2) (1)以外に特に提供の要請がある談合情報
     
    • 当該入札に関する情報(事実を詳細に伝達すること。)
       
    • 各部局が過去の事例から把握している情報等により存在が予想される談合ルール及び談合方法に関する情報
       
    • 当該物件についての公開情報の有無、(ある場合には)公開場所、当該物件についての年間発注額等当該物件に関する情報
       
  2. 公正取引委員会の審査活動に資するための留意事項

    (1) 一般的には、公正取引委員会へ談合情報を提供している旨の公表は差支えないが、個別事案については、公正取引委員会に情報提供の前後に関わらず談合の事実については、報道機関を含め部外秘とすること。

    (2) 入札参加業者から入札談合を行わない旨の誓約書を徴取する場合には単なる誓約に止めず、契約担当官等が必要と認める場合には予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第71条に規定する措置を講じることを記載した誓約書を徴取することができる。

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