株券等の大量保有の状況等に関する開示制度(5%ルール)の概要について
【1】提出の概要
上場株券等を一定の基準を超えて保有する場合は、大量保有報告書の提出が必要となります。
以下、大量保有報告書について、その概要を説明します。
注意
ここに記載している概要は、特例報告(金融機関等が対象)を除く、一般報告を対象に記載しています。
また、あくまで概要であるので、詳細は法令等を確認してください。なお、不明な点はご照会ください。
(凡例) 法:金融商品取引法、施行令:金融商品取引法施行令、府令:株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令
1.大量保有報告書〔法第27条の23第1項〕
2.報告書の対象となる株券等の範囲〔法第27条の23第1項及び第2項、施行令第14条の4、施行令第14条の4の2、施行令第14条の5の2、府令第1条の2〕
- 大量保有者が報告しなければならない株券等の発行者の範囲:金融商品取引所の上場会社
- 株券等の範囲
- 株券
- 新株予約権証券
- 新株予約権付社債券
- 対象有価証券カバードワラント
- 株券預託証券
- 株券関連預託証券
- 対象有価証券償還社債
- 投資証券等
- 株券信託受益証券
- 株券関連信託受益証券
- 新投資口予約権証券等
- 他社株等転換株券
3.提出義務者〔法第27条の23第3項〕
報告書の提出主体を「保有者」といい、下記1から3のとおり分類して規定されています。
下記1から3までのそれぞれの立場における保有株券等の数を合計して株券等保有割合を計算します。この結果、株券等保有割合が5%を超えている者を「大量保有者」といい、報告書の提出義務を負うこととなります。
- 法第27条の23第3項本文 該当
- 自己又は他人の名義をもって株券等を所有する者
- 売買その他の契約に基づき株券等の引渡請求権を有する者、その他これに準ずる者〔施行令第14条の6〕
- 法第27条の23第3項第一号 該当
- 金銭の信託契約等によって株券等の発行者の株主として議決権その他の権利を行使することができる権限を有する者又は当該議決権その他の権利の行使について指図を行うことができる権限を有する者(下であって当する者を除く)であって、当該発行者の事業活動を支配する目的を有する者
- 法第27条の23第3項第二号 該当
- 投資一任契約その他の契約又は法律の規定に基づき、株券等に投資をするのに必要な権限を有する者
4.株券等保有割合〔法第27条の23第4項〕
「自己保有分の株式数及び潜在株式数」(※)に「共同保有者分の株式数及び潜在株式数」を加えた数(保有者及び共同保有者の間で引渡請求権その他の政令で定める権利が存在するものを除く)を、「発行済株式総数」と「自己及び共同保有者の保有分の潜在株式数」の合計の数で除して求めます。(共同保有者については下記5.参照)
(※)「自己保有分の株式数及び潜在株式数」を算出するにあたり、下記事項にご注意ください。
- 発行者が保有する自己株式は除きます。
- 信用取引により譲渡した株券等の数を控除します。
- 潜在株式数とは、新株予約権証券等について、その権利の行使によって取得できる株式の数をいいます。〔府令第5条〕
5.共同保有者〔法第27条の23第5項及び第6項〕
共同保有者がいる場合には、共同保有者の株券等の保有分を合算し株券等保有割合を計算します。共同保有者の定義は下記1、2のとおりです。
- 実質共同保有者〔法第27条の23第5項〕 共同して株券等を取得し、譲渡し、又は議決権その他の権利の行使等を行うことを合意している者。(書面での合意の有無等、合意の形態の如何にかかわらない)
- みなし共同保有者〔法第27条の23第6項、施行令第14条の7〕 1の合意がない場合でも、下記の関係にある場合においては、共同保有者とみなす。ただし、内国法人の発行する株券等については、単体株券等保有割合が0.1%以下である場合等には、みなし共同保有者から除外される。〔府令第6条〕。
- 夫婦の関係
- 支配株主(50%超の議決権を有している者)と被支配会社の関係
- 支配株主を同じくする被支配会社同士の関係
- 財務諸表等規則第8条第3項に規定する子会社(組合に限る)と親会社の関係
- その他(施行令第14条の7参照)
6.変更報告書〔法第27条の25第1項〕
大量保有報告書の提出後、株券等保有割合が1%以上増減した場合その他大量保有報告書に記載すべき重要な事項の変更として政令で定めるものがあった場合は、変更報告書の提出が必要となります。
- 重要な事項の変更については、施行令第14条の7の2を参照
- 変更報告書の提出に当たっては、原則として、大量保有報告書に記載した事項のすべてを提出義務発生日の現況に基づいて記載(第一号様式の記載上の注意の(1)のd参照)
- 保有株券等の増減を伴わない場合は、株券等保有割合が1%以上増減した場合であっても変更報告書の提出は不要であるが、その後、保有株券等の増減があった時点で保有割合を算定し変更報告書の提出の要否を判断
7.短期大量譲渡〔法第27条の25第2項〕
株券等保有割合が減少したことにより変更報告書を提出する場合で、短期間に大量の株券等を譲渡したものとして以下の基準に該当する場合は、「譲渡の相手方及び対価に関する事項(報告義務発生日の前60日間(報告義務発生日を含む。以下同じ。)に譲渡を受けた株券等が発行済株式等総数等(※)の1%未満である者については、対価に関する事項に限る。)」を追加して記載した変更報告書の提出が必要になります。なお、この場合の変更報告書は第一号様式の「第2提出者に関する事項(5)当該株券等の発行者の発行する株券等に関する最近60日間の取得又は処分の状況」に代えて第二号様式により記載することとなります〔府令第10条〕。
(※)「発行済株式等総数」と「自己及び共同保有者の保有分の潜在株券等の数」の合計
- 当該変更報告書の報告義務発生日における株券等保有割合が、当該変更報告書に係る大量保有報告書又は他の変更報告書に記載された又は記載すべきであった株券等保有割合のうち、(1)当該報告義務発生日の前60日間を計算の基礎とするもの、及び(2)当該報告義務発生日の61日前の日以前の日で当該61日前の日に最も近い日を計算の基礎とするもの、における最高の株券等保有割合の2分の1未満となり、かつ、当該最高の株券等保有割合から5%を超えて減少した場合(ただし、報告義務発生日の前60日間に株券等を譲渡したことにより減少した株券等保有割合の合計が、当該最高の株券等保有割合の2分の1以下である場合又は5%以下である場合を除く。)〔施行令第14条の8第1項〕
8.訂正報告書〔法第27条の25第3項〕
既に提出された大量保有報告書若しくは変更報告書を訂正する場合に提出が必要になります。
- 記載すべき事項は、第一号様式の記載上の注意の(1)のe参照
9.特例報告〔法第27条の26〕
10.報告書の提出
- 提出期限〔法第27条の23第1項、法第27条の25第1項〕
- 大量保有報告書及び変更報告書の提出は、報告義務発生日の翌日から5日以内(土曜日、日曜日、祝日等を除いてカウント)
- 提出先〔府令第19条〕
- 提出者の住所又は居所(法人については本店所在地)を管轄する財務(支)局
- 非居住者については関東財務局
- 提出方法
- 「金融商品取引法に基づく電子開示システム(EDINET)」による提出が義務化されています。
- 初めて提出される方は、事前に提出先の財務局へ手続きが必要です。
- 詳しくは、EDINET「開示書類等提出者のサイト」掲載の操作ガイドをご覧ください。
11.報告書の提出様式
(1)共同保有者がいない場合
報告書の種類 | 提出様式 |
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大量保有報告書 | 第一号様式 |
変更報告書 | 第一号様式 |
短期大量譲渡の場合 | 第一号様式及び第二号様式 |
- 第一号様式の第2-1-(7)-3は株券等の取得資金である旨を明らかにしない借入金がある場合のみ必要。(※以下同じ)
- 短期大量譲渡の場合、第一号様式の第2-1-(5)に代えて第二号様式により記載。(※以下同じ)
(2)共同保有者がいる場合
報告書の種類 | 提出様式 |
---|---|
大量保有報告書 | 第一号様式 |
変更報告書 | 第一号様式 |
短期大量譲渡の場合 | 第一号様式及び第二号様式 |
- 第一号様式の第2において提出者、第一号様式の第3において提出者以外の共同保有者各々全員分を記載した上で、第一号様式の第4で合算記載する。
報告書の種類 | 提出様式 |
---|---|
大量保有報告書 | 第一号様式 |
変更報告書 | 第一号様式 |
短期大量譲渡の場合 | 第一号様式及び第二号様式 |
- 第一号様式の第2において提出者及び共同保有者各々全員分を記載した上で、第一号様式の第4で合算記載する。
- 連名で提出する場合、共同保有者の委任状を添付する。
12.添付書類
- 取引の媒介、取次ぎ又は代理を行う者の名称、所在地及び連絡先を記載した書面〔府令第2条第2項・第8条第2項〕
- 大量保有報告書・変更報告書には、添付書類として、提出者のために取引の媒介、取次ぎ又は代理を行う者の名称、所在地及び連絡先を記載した書面を添付する必要があります(法第34条に規定する金融商品取引業者等は除く)。
ただし、変更報告書の提出にあたっては、その書面が、当該変更報告書に係る大量保有報告書に添付された書面又は当該変更報告書の直前に提出された変更報告書(当該大量保有報告書に係るものに限る。)に添付された添付書面と同一の内容である場合には、この限りではありません。
- 住所又は生年月日を記載した書面〔第一号様式、記載上の注意(3)d、(9)c、f〕
- 提出者又は共同保有者が個人である場合で、大量保有報告書・変更報告書における住所の記載を市区町村名までの記載とする場合又は生年月日の記載を省略する場合は、その住所又は生年月日を記載した書面を報告書に添付する必要があります。
13.写しの送付〔法第27条の27、法第27条の28第3項、法27条の30の6第1項及び第3項〕
【2】報告書の縦覧
なお、報告書の縦覧期間は提出されてから5年間です。
東北財務局における縦覧
東北財務局理財部理財課
仙台市青葉区本町3-3-1 仙台合同庁舎B棟6階
縦覧時間
9時から12時、13時から17時15分まで(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)
本ページに関するお問い合わせ先
東北財務局理財部理財課
電話:022-263-1111(内線:3052)
所在地 〒980-8436 仙台市青葉区本町3丁目3-1 仙台合同庁舎B棟5階