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大熊本証券株式会社に対する行政処分について

平成28年6月14日
九州財務局


1.大熊本証券株式会社(本店:熊本県熊本市、法人番号7330001002724)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の法令違反の事実が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(平成28年6月7日付)。

 

(1)「中小企業資金繰支援債券」について

WADATSUMI BENEFIT LIMITED(以下「WBL社」という。)は、平成25年2月にケイマン諸島に設立され、中小企業の売掛債権を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、「中小企業資金繰支援債券」との名称の社債(以下「WBL債」という。)を発行し、資金を調達している。WBL債の発行残高は、平成27年11月末現在、合計で約5.7億円(投資者数は約120者)となっている。
当社は、アーツ証券株式会社(東京都中央区、代表取締役 川崎正、平成28年1月29日登録取消し。以下「アーツ証券」という。)から紹介・助言・支援等を受け、平成25年8月から、WBL債の販売を一般投資家等の顧客に対して行っている。
当社によるWBL債の販売残高は、平成28年3月末現在、合計で約0.8億円(投資者数は約20者)となっている。
WBL社は、WBL債の発行当初より、買い取った売掛債権の残高が社債発行残高に比して僅少な状態が継続するとともに、平成26年9月以降、買い取った売掛債権について回収遅延が発生するようになった。その結果、同27年11月末現在、売掛債権買取残高は約2.4億円にすぎず、そのうち約1.2億円を直ちに回収することが困難になっている。
当社は、WBL債の発行当初から上記のWBL社の財務状況の実態を認識していた。しかしながら、当社は、WBL債の販売のために作成・使用した勧誘資料等において、「裏付資産」については「本債券発行により調達した資金を基に売掛債権の取得を行います」などと記載するほか、顧客に対し、回収遅延が発生した売掛債権について全額回収できる見込みであると説明し、WBL債の販売を行った。
当該勧誘は、WBL社において、売掛債権の買取り又はその回収可能性等に現に問題が生じているにもかかわらず、顧客に対し、当該問題が生じていないとの誤解を与える表示をしたものである。

 

(2)「ASAP ALPHA NOTE」について

ASAP ALPHA(以下「ASAP社」という。)は、平成25年3月にケイマン諸島に設立され、米国に所在する不動産を「収益の根源」とするとして、「ASAP ALPHA NOTE」との名称の社債(以下「ASAP債」という。)を発行し、資金を調達している。 そして、ASAP社は、同社子会社の発行する社債Aを取得し、同子会社は、米国に所在する不動産を取得し、賃料収入を得るとする会社(米国LLC)の発行する社債Bを取得している。
ASAP債の発行残高は、平成27年11月末現在、合計で約49億円(投資者数は約560者)となっている。
当社は、アーツ証券から紹介・助言・支援等を受け、平成26年12月から、ASAP債の販売を一般投資家等の顧客に対して行っている。
当社によるASAP債の販売残高は、平成28年3月末現在、合計で約2億円(投資者数は約20者)となっている。
しかしながら、上記LLCについては、決算書類が作成されておらず、財務状況等の実態が不明である。当社も、九州財務局の検査に対し、上記LLCの実態を的確に説明できない。
当社は、上記LLCの実態を的確に把握していないにもかかわらず、ASAP債について、「収益の根源は本スキームを通じて保有される米国不動産に関連付けられたもの」と記載した勧誘資料等を作成・使用することにより、販売証券会社である当社が上記LLCの実態を的確に把握しているかのような誤解を与える表示をし、顧客に対し、その販売を行った。

当社の上記(1)及び(2)の行為は、それぞれ、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

2.以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

 

業務改善命令

 

(1) 顧客に対し、今回の行政処分の内容を十分に説明し、適切な対応を行うこと。
(2) 「中小企業資金繰支援債券」及び「ASAP ALPHA NOTE」について、他の販売証券会社とも連携し、必要な対応をとること。
(3) 金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を整備するなど、本件に係る再発防止策を策定し、着実に実施すること。
(4) 本件に係る責任の所在の明確化を図ること。
(5) 上記の対応・実施状況について平成28年7月13日までに書面で報告するとともに、以降、そのすべてが完了するまでの間、随時書面で報告すること。

本ページに関するお問い合わせ先

九州財務局 理財部 金融監督第3課
電話:096-353-6351(内線:3242)

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