ページ本文

「第4回新潟県内信用金庫・信用組合等若手渉外職員意見交換会」を開催しました

 関東財務局新潟財務事務所では、「渉外活動における課題」等をテーマに、信金中央金庫関東営業第2部、全国信用協同組合連合会新潟支店の後援のもと、新潟県信用金庫協会、新潟県信用組合協会との共催により、「第4回新潟県内信用金庫・信用組合等若手渉外職員意見交換会」を開催しました。
 

1.日時

 令和元年11月22日(金曜)13時15分から17時

2.会場

 新潟美咲合同庁舎2号館 4階会議室(新潟市中央区美咲町1-2-1)

3.参加機関・参加者

新潟信用金庫、長岡信用金庫、三条信用金庫、新発田信用金庫、柏崎信用金庫、上越信用金庫、新井信用金庫、村上信用金庫、加茂信用金庫、新潟縣信用組合、興栄信用組合、新栄信用組合、さくらの街信用組合、協栄信用組合、三條信用組合、巻信用組合、新潟大栄信用組合、塩沢信用組合、糸魚川信用組合、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫の若手渉外職員等38名
 
信金中央金庫関東営業第2部、全国信用協同組合連合会新潟支店、新潟県信用金庫協会、新潟県信用組合協会、関東財務局新潟財務事務所

4.テーマ

 下記の6つのテーマから参加者が希望のテーマを選び、グループに分かれ意見交換を行いました。
  • 効率的な渉外活動について
  • 融資提案へのつなげ方
  • 事業性評価、取引先の経営課題への対応について
  • 事業承継の取組み方
  • これからの渉外活動への課題
  • 渉外職員と内勤職員との連携について

5.結果概要

1)開会挨拶(新潟財務事務所 山岸所長)

 地域金融機関を取り巻く環境は、低金利環境の継続や人口減少、高齢化の進展等により年々厳しさを増しており、地域金融機関は、地域企業の真の経営課題を的確に把握し、その解決に資する方策及び実行に必要なアドバイスや、資金使途に応じた適切なファイナンスの提供等を通じて地域企業の生産性向上を図り、もって地域経済の発展に貢献していくことが求められている。またそのことが地域金融機関自身にとっても継続的な経営基盤を確保する上で重要であり、そのためにも顧客に接する渉外職員がその主役となる。
 本会において、実際に県内各地で渉外活動を行う若手職員が一堂に会し、信金・信組の業態を超えて自由闊達に意見交換を行うとともに、参加者の交流を図ることを通じ、明日からの業務に少しでも役立てていただければ幸いである。
 

2)意見交換

 参加者は渉外活動にまつわるテーマごとにグループに分かれ、各テーマの具体的な課題からその原因を洗い出し、分析することで解決案を見つけ出しました。最後に各班から話し合ったテーマについての発表を行いました。
 
『効率的な渉外活動について』
 「時間が確保できていない」という課題に対し、「作業量や速度の把握ができていない」、「個々のレベルにあっていない業務量」、「集金に時間を取られる」等の原因が挙げられました。それらを分析すると、「知識や経験の不足」、「1人で仕事を抱え込む」、「スケジュール管理ができていない」ことが見えてきたため、解決案として「自己研鑽」、「上司への相談」、「顧客の理解を得たうえでの集金日の集約を含めたスケジュール管理」が挙げられました。
 
『融資提案へのつなげ方』
 「会話の進め方やタイミングといった資金ニーズの引き出し方がつかめていない」という課題に対し、「営業に役立てられる情報が少ない」という原因が挙げられました。分析をした結果、「会話や観察から情報を引き出せていない」ことや、「引き出した情報の蓄積が不十分」ということが分かったので、そこから「興味をもって会話すること」、「ペーパーやタブレット端末に情報を蓄積する」という解決案が挙げられました。
 
『事業性評価、取引先の経営課題への対応について』
 「取引先に事業性評価を望む人と望まない人がおり、事業性評価への協力が得られない」という課題に対し、「時間がかかる」、「メリットが分かりにくい」、「危機感が少ない」といった原因が挙げられました。これらを分析すると「取引先と金融機関の課題が違う」こと、「決算書の内容を詳しく知らない人もいる」ということが分かったため、そこから「金融機関から必要性を説明し、顧客に意見を伝え、共有することで経営課題を見つけていく」という解決案が挙げられました。
 
『事業承継の取組み方』
 事業承継を行うにあたり、「担当者の知識が不足している」、「信頼関係の構築が不十分」、「必要性を理解してもらえていない」といった課題が挙がり、それぞれに対し「専門性の高さ」、「顧客との温度差」、「顧客に事業承継のスケジュール感がないため他人ごとになってしまう」等の原因が挙げられました。そこから分析すると「専門部署に依存してしまっている」、「担当者が短期的な結果を求めてしまう」、「今すぐ行わなければならないほど困っていない」ことが見えてきたため、「担当者が興味・関心を持って取り組む」、「長期的な視点をもって顧客と付き合う」、「イメージを共有し、意識喚起を行う」といった解決案が挙げられました。
 
『これからの渉外活動への課題』
 「新規開拓ができない」、「若年層の取引が少ない」という課題に対し、「集金などのサービスに手間を取られている」、「知名度が低くPR不足」といった原因が挙げられました。それらを分析すると「訪問件数が多く人手不足」、「接点が少ない」、「給与振込口座が指定されていない」といった具体的な問題点が見えてきたため、そこから「集金日の集約や訪問回数の見直しを行う」、「ゆりかご営業や電話セールス、職域セールスの実施」、「地域行事への積極的な参加によるPR」といった解決案が挙げられました。
 
『渉外職員と内勤職員との連携について』
 渉外職員と内勤職員がお互いに「なぜ私がやらなければならないのか」「なぜ仕事の内容が分からないのか」といった意識があり、意思の疎通ができていないという課題があり、「内勤職員の意識・知識が乏しい」、「お互いの業務を知らない」といった原因が挙げられました。それらを分析し、「古い考え方からくる男女の格差や体制が整っていない」ということが見えてきたため、解決案として「お互いの仕事内容を知ることで気持ちを理解する」、「若年のうちにジョブローテーションを行いすべての業務を経験する」、「女性渉外だけの交流の場を設ける」といった案が挙げられました。
 

意見交換の様子

発表の様子

アドバイザーからの講評

上越信用金庫 取引先支援部 林部長
 個人・事業性ともに市場に劇的な変化が起こっている中、本日の意見交換のテーマは時代にマッチしており、良い意見交換の場となったと感じる。我々の仕事は相手が人であるので、こうすれば上手くいくというようなやり方はない。だからこそ皆さんには一生懸命悩んで、自分なりのストライクゾーンを作っていただきたい。お客様との信頼関係を築くことが最も重要であり、そこからお客様の課題を見いだせたなら、我々の仕事は殆ど完結している。たくさん挑戦し、失敗し、学んで欲しい。日本の現状を考えると、我々は新たな方法を模索しないといけない局面にあるが、皆さんの感覚で、自信をもって取組んでいただきたい。
 
協栄信用組合 小中川支店 小柳支店長
 我々は目まぐるしく変化していく現状にがむしゃらにしがみついていかなければならない。私も営業をしていた時は皆さんと同じような悩みを持っていたが、常に意識していたことはお客様に喜んでもらいたいということだった。お客様に興味を持ち分からないことは聞く、調べる、の繰り返しであった。最終的にお客様が契約する決め手は人柄である。様々な人との出会いを大切に、日々の自己研鑽をかかさず、社会人としてのマナーをきちんと身に着け、日々の生活で信頼される人間性を培っていって欲しい。できるかできないかではなく、やるのかやらないのかである。挑戦し、失敗して、反省を繰り返すことが成長に繋がる。
 
日本政策金融公庫 国民生活事業信越地区統轄室 鎌田室長
 私は24年の勤務のうち20年営業をやってきたが、営業に正解はない。金融機関を取り巻く環境は変わってきているので、普段から動向を見て、地域を知り、お客様に喜んでいただくために何ができるかを考えよう。やり方はなんでも良いので、お客様の欲しい商品をお客様に喜んでいただける方法で提案しよう。一度の訪問で契約に繋がるようなことはない。金融機関の一番の武器はお客様と接している皆さんである。AIがいくら発展しようとも、お客様との接点を持つことは皆さんにしかできない。日本各地で働いてきたが、私の地元でもある新潟勤務になった際は、皆さんが少しでもいい結果を出せる環境を作れるよう一緒に努力したい。
 
商工組合中央金庫 新潟支店 嶋田次長
 本日の意見交換会でアドバイザーを担当した立場から、事業性評価が持つ意味について考えてみると、我々の使命は一つ一つの会社の発展を通じた地域経済の発展に貢献することであり、そのためには資金が必要である。我々の仕事はその資金を安定的に供給することであるが、どうしても短期間で担当者が代わってしまう。そこで、個々の会社に対するノウハウや知識を体系的に引継ぐ方法として事業性評価があると私は考えている。金融機関の課題として、個々人で事業性評価を行う目的や考え方が違うことがあるので、それを統一していかなければならない。また、お客様に対して事業性評価の持つ意味は、課題やヴィジョンを我々と共有するためのツールであるので、大いに活用し、伴走支援を続けて欲しい。我々の仕事は人を相手にしているので、そのなかで楽しく人間関係を築こう。

3)上越信用金庫 取引先支援部 林部長による講演「地域金融機関のこれからの企業支援について」

以下の3点についてご講演いただきました。

【信頼を築く「面談力」とは】
 継続的な面談が成り立つには、良好な人間関係に加え、ビジネス上の信頼関係が必要である。ふとした相談にお答えする、あるいはお客様の関心事や問題意識に耳を傾け共有し、その解決に伴走支援していくことで「案件化」へ発展していく。「相手の心に寄り添い、課題や問題を解決したい」という姿勢をもって交わされる会話が信頼関係を築く「面談力」となり、我々金融機関が交渉相手から「相談相手」に変わる。
 
【地域金融機関における信頼関係の構築とは】
 事業性評価を基にした信頼関係構築のために「成長可能性」と「持続可能性」の2つの視点を持つこと。
 「成長可能性」を判断するには、事業素質面の評価(定性)を行う。サプライチェーン、バリューチェーン、事業領域、取扱商品やサービス、SWOT分析による見える化等から事業内容を理解しよう。
 「持続可能性」は将来のキャッシュフローの確保見通し(定量)により判断する。資金調達と運用状況から資金繰りが安定していること、また一定のキャッシュフローが確保できることを確認したうえで、資金運用表等の各種財務データから将来の収支表を作成する。これを基に顧客と将来に向けた意見交換を実施し、キャッシュフローを予想することで持続可能性を確保する。
 プロセス・コンサルティングを強化して地域から共感を得て、ブランディング化を進めることが、当金庫の目指すビジネスモデルである。
 
【本業支援の具体的取組み事例】
 当金庫は産学金の連携支援への取組みとして、平成24年11月に信州大学繊維学部と連携協定を締結、これまでに取引先22社に対して連携支援を実施。主に商品開発支援を中心に、現在12社に継続支援を展開している。
 具体的な取組として、お灸用のモグサを製造する企業と共に、製造時に廃棄されるヨモギの葉を再利用したよもぎ茶の商品化、販売を行った事例、認知症抑制に効果が期待されるヤマブシダケを利用した新商品(そば・蒲鉾)の開発を行った事例、味噌を製造する企業と、上越市の補助金も活用しながら、味噌床に水中スピーカーを埋め込んでクラシック等を流し、まろやかで風味の強い製品の開発を行った事例をご紹介いただいた。
 

4)本会に参加しての感想

  • 他信金、信組の普段の活動の様子、どういった方法で情報収集、融資提案につなげているかという話が聞けて参考になった。
  • 他信金信組の同年代の渉外担当者と情報共有する有意義な場となった。課題や悩み等は業態が異なっていても同じようなものが多く、今後の活動に活かしていきたいと思える意見をたくさん吸収することが出来た。
  • 上越信用金庫の林部長の講演においては、同金庫の先進的な取り組みについて理解することができた。特に事業性評価シートの構成や大学との連携スキームについては、今後業務に活かして取り組みたいと感じた。

挨拶をする新潟財務事務所 山岸所長

講評をする上越信用金庫 林取引先支援部長

講評をする協栄信用組合 小柳支店長

講評をする日本政策金融公庫 鎌田統轄室長

講評をする商工組合中央金庫 嶋田次長

本ページに関するお問い合わせ先

関東財務局新潟財務事務所理財課

電話:025-281-7504(直)

PDFファイルをご覧いただくにはAdobe Acrobat Reader(無償)が必要です。
ダウンロードした後インストールしてください。

Get Adobe Acrobat Reader