「魚沼地域金融懇談会」を開催しました
1.日時
平成30年9月4日(火曜)15時から18時
2.会場
「ほてる木の芽坂」コンベンションホール(新潟県南魚沼市)
3.出席者
魚沼地域(魚沼市、南魚沼市、十日町市、津南町、湯沢町)に所在する地域金融機関(第四銀行、北越銀行、大光銀行、長岡信用金庫、新潟縣信用組合、塩沢信用組合)の全営業店(30店舗)の支店長・支店長代理クラス及び本部担当者、新潟県事業承継ネットワーク、新潟県事業引継ぎ支援センター、新潟県中小企業再生支援協議会、関東財務局新潟財務事務所(順不同)
4.結果概要
1)開会挨拶(新潟財務事務所 斉藤所長)
また、本年6月に構築された新潟県事業承継ネットワークが目指している「オール地域」での連携体制をこの地域で確立するため、まずは本会で地元金融機関同士の連携体制を構築するという目的もある。
地元金融機関同士の情報の共有化が図れないがために、この地域から雇用が失われ、経済的損失が生じてしまうことがないよう、この地域の事業承継を円滑に進めていくために、本会でどのようなことを情報交換あるいは協議する場として考えられるかについて、建設的な意見や提案をお願いしたい。
2)基調講演
「海図なき時代の金融とは 計測できない世界を考える」と題して、今後の金融機関の役割などについて講演された。
3)意見交換
(1)取組紹介
平成29年に実施した事業承継診断の結果、後継者がいないと回答した県内の事業者は約半数。これまで事業承継はナーバスな問題とされていたが、これからは金融機関から事業者に事業承継の話を投げ掛けていただき、専門家や事業引継ぎ支援センターに取り継いでいただきたい。
新潟県中小企業再生支援協議会 統括責任者 矢能 幹久 氏
事業承継は、経営者の納得感がないといくら専門家が間に入っても円滑に進まないため、経営者の本音を聞き出して提案していくことが必要。また、資産超過先の事業承継は取り組みやすいが、債務超過先であっても債務超過解消の可能性があり、利益計上している先は事業承継に取り組むことができる。事業再生とは、一言で言えば経営者がその気になって取り組むことであり、この部分が整わないと何も進まない。
地域の企業を支えることが金融機関の大きな役割。我々のような機関を利用しながら、価値のある事業を私的整理で整えて継続できるようサポートしていただきたい。
(2)主な意見・提案
- 支援件数を重ねるごとにノウハウは蓄積される。よって、各金融機関が取組事例を発表することによって、全体のスキルアップを図っていけるのではないか。
- 営業店現場には必ずしも事業承継のプロを配置できていない。よって、地域で中小企業基盤整備機構等による勉強会や実践的な研修会などを行っていくことも一案。
- 営業店は余力で事業承継支援をやらざるを得ない現状。ここをどう変えていくかが課題。
- 営業店現場では事業承継をどうしても後回しにしがちであるため、事業承継が重要であることを営業店の末端まで同じ意識レベルで考えていくことが大切。よって、他金融機関の営業店レベルの担当者が集まった中で、ワーク形式により本音で意見交換できれば、刺激になり、モチベーションアップにもつながり、地域全体として事業承継の機運が盛り上がっていくのではないか。
- 自前で事業承継支援に取り組めている先は氷山の一角。よって、自前で支援に取り組めていない先を中心に、各金融機関が連携し支援していくことが大事。
- 金融機関の商業ベースにならざるを得ない部分が、相談者に負担を強いてしまうことや、M&Aが深まらない要因にもなっている。よって、各金融機関が連携する中で、経営者ファーストの考えを最優先に活動すべき。
- 金融機関間の利害関係をどう解決していくかが、情報交換が活発になっていくかどうかの重大なポイント。よって、事業承継が地域全体の課題であることを統一することや、このネットワークの中で表彰制度を創設することにより、情報交換が活発になるのではないか。
- 意見交換を続けることによって、金融機関同士の距離を縮めることも必要。また、事業承継に当たっては、サブ行(メイン行)がメイン行(サブ行)を応援しなければならないケースもあると思うので、協力体制でやっていかなければならない。
- 従業員数5名から10名程度の事業者では、借入金過多・債務超過で廃業しようにもできず、経営者の高齢化が進んでいる先が多い。よって、事業承継は、経営改善・事業再生支援も併せて取り組む必要がある。更には創業支援も大切。
[支援を受ける側に対して]
- プッシュ型の支援を行うため、地元自治体との連携により、事業承継セミナーやM&Aセミナーを開催することも一案。
- 多くの企業は、社内承継のための後継者教育に手が届いていない。よって、地域で各金融機関が知見を持ち寄って支援していくことも一案。
[情報交換・共有に関して]
- M&Aの一次情報(ノンネーム)を互いに交換できれば理想。
- 既に様々な情報共有のためのプラットホームがあるため、情報共有に当たっては「魚沼地域ならでは」のものを出していければよい。また、これを作ることによって地域でワンストップ対応できるものが形作られればよい。
- 情報共有に当たっては秘密保持が一番の課題。
- 簡単に情報共有することにより、取引先が傷付いたり、ブランド力が低下することも考えられるため、地域で情報共有する場合はどういったルールが必要か、十分に検討する必要がある。
- 金融機関同士の情報交換は、取引先の利害関係もあって困難。よって、公的機関である事業引継ぎ支援センターが核となり、エリア担当者を配置したうえで、必要な情報を必要な金融機関に提供する方式が最も適切ではないか。
新潟県事業承継ネットワーク 事務局長 畠山 満 氏
情報交換や後継者教育の機会を作るなど、ご意見やご要望があったことに関しては全面的に協力したい。また、事業引継ぎ支援センターが中に入ってコーディネートしてくれた方が良いということであれば、当センターをうまく活用していただきたい。
講演をする共同通信社 記者 橋本 卓典 氏
説明をする 新潟県事業承継ネットワーク 事務局長 畠山 満 氏
説明をする新潟県中小企業再生支援協議会 統括責任者 矢能 幹久 氏
挨拶をする新潟財務事務所 斉藤所長
懇談会の様子
照会先
関東財務局新潟財務事務所理財課
電話:025-281-7504(直)
電話:025-281-7504(直)