事業承継支援に関する意見交換会を開催しました
最終更新日:2019年11月29日
昨今、経営者の高年齢化や後継者不在等を背景に事業所数の減少が続くなど、中小企業の事業承継問題が大きな課題となっています。
このため、関東財務局長野財務事務所において、各機関で支援に携わる担当者にお集まりいただき、事業承継支援など地域経済の持続性維持や発展のために必要な支援のポイントや課題をともに考えて、連携強化を図ることを目的に、事業承継支援に関する意見交換会「中小企業の課題解決[会社の明日を考える]」を開催しました。
このため、関東財務局長野財務事務所において、各機関で支援に携わる担当者にお集まりいただき、事業承継支援など地域経済の持続性維持や発展のために必要な支援のポイントや課題をともに考えて、連携強化を図ることを目的に、事業承継支援に関する意見交換会「中小企業の課題解決[会社の明日を考える]」を開催しました。
1.実施日
令和元年9月27日(金曜) 14時から17時40分
2.会場
長野財務事務所(長野第2合同庁舎)
3.テーマ
中小企業の課題解決[会社の明日を考える]
4.出席団体
長野県、長野県中小企業振興センター、長野県商工会議所連合会、長野県商工会連合会、長野県中小企業団体中央会、長野県経営者協会、関東信越税理士会長野支部連合会、日本公認会計士協会東京会長野県会、長野県弁護士会、長野県中小企業診断協会、八十二銀行、長野銀行、長野信用金庫、松本信用金庫、上田信用金庫、諏訪信用金庫、飯田信用金庫、アルプス中央信用金庫、長野県信用組合、長野県信用保証協会、日本政策金融公庫長野支店、関東経済産業局、中小企業基盤整備機構、関東財務局長野財務事務所 計24団体(順不同)
5.結果概要
1)開会挨拶
長野財務事務所長 矢島 一郎から開会挨拶
本年8月金融庁にて「実践と方針」「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」が公表された。そこでは、企業の経営課題を的確に把握し、その解決に資するアドバイス等を行い企業に付加価値を提供することは、持続可能なビジネスモデルの確保に必要であるとともに、将来的な地域経済の発展のために重要であるとしている。事業承継問題は地域経済の持続性の問題と捉えることもできる。これらを踏まえ、当事務所として金融機関との対話を行ってまいりたい。
また、かかる支援については、金融機関を含む関係者の連携が重要である。本日の会議の表題を「会社の明日を考える」としている。様々な立場で取り組みをされている皆様が忌憚のない意見交換を行うことで、地域全体の明日を考えていけるよう、実りのある会になることを期待する。
また、かかる支援については、金融機関を含む関係者の連携が重要である。本日の会議の表題を「会社の明日を考える」としている。様々な立場で取り組みをされている皆様が忌憚のない意見交換を行うことで、地域全体の明日を考えていけるよう、実りのある会になることを期待する。
2)基調講演「未来の地域の礎をつくる取り組みとしての事業承継」
講師:合同会社ゆわく 代表 大山 雅己氏
(中小企業基盤整備機構 事業承継コーディネーター)
事業承継を考える上で見えてくるのは、バリューチェーン(商品製造や商品加工、出荷配送、顧客への販売など、一連の事業活動を価値(Value)と連鎖(Chain)によって捉える活動)の重要性である。例えば、製造業であれば製造に必要な機械がなければ製品は作れない。食品加工業であれば原料がなければ加工が出来ない。中小零細企業ひとつひとつに地域や産業に対して果たしている役割・機能があり、これは、地域の産業や中核企業、コネクターハブ企業をも支えていることを意味する。バリューチェーンのプロセス上にある企業がひとつでも欠けてしまうと、バリューチェーンが目詰まり・切断され、結果的には地域住民や中堅大企業、地域全体にも影響を及ぼすことになる。
しかし、多くの中小零細企業は、自らが事業承継の課題を抱えていることを認識できていない。または、誰にも相談をしていないことがほとんどである。事業承継は決して他人事ではなく、身近な課題であることを認識しなければならない。バリューチェーンの切断を防ぐためにも、地域の中小零細企業の事業を改めて捉え直し、事業承継を考えていく必要がある。
事業承継の課題というのは、従来は税務や法務の課題だと認識されていたが、現在においては、経営理念や事業に対する思い・強みが、後継者にしっかりと受け継がれていけるかという点が重要になる。そうした課題を認識するために必要なのは、専門的な知識よりも、過去からこれまでを振り返り、世の中の変化を知り、自身の企業の将来あるべき姿について考えるための「対話」である。「対話」により目に見えてこなかった強みや魅力、解決すべき問題が浮き彫りになり、現在の姿とあるべき姿との間にギャップがあることを認識することができる。このギャップを埋めるための取り組みを個々の企業が行っていくことが、ひいては地域の未来を支えることに繋がる。
事業承継について考えることは、要は「地域」を考えるということである。金融機関や商工団体においては、営業所や地域担当者をはじめとして、地域の中小零細企業が自身の課題を認識できるよう声掛けを行い、事業者とともに課題に取組んでいただきたい。そして、どうやったら県内の各事業者が未来に目を向けて助け合っていけるのか、これからの会社や地域の未来について何が課題になるのか、課題解決のために何ができるのかを、個々の金融機関や商工団体だけではなく、地域全体で考え取組んでいきたい。
(中小企業基盤整備機構 事業承継コーディネーター)
事業承継を考える上で見えてくるのは、バリューチェーン(商品製造や商品加工、出荷配送、顧客への販売など、一連の事業活動を価値(Value)と連鎖(Chain)によって捉える活動)の重要性である。例えば、製造業であれば製造に必要な機械がなければ製品は作れない。食品加工業であれば原料がなければ加工が出来ない。中小零細企業ひとつひとつに地域や産業に対して果たしている役割・機能があり、これは、地域の産業や中核企業、コネクターハブ企業をも支えていることを意味する。バリューチェーンのプロセス上にある企業がひとつでも欠けてしまうと、バリューチェーンが目詰まり・切断され、結果的には地域住民や中堅大企業、地域全体にも影響を及ぼすことになる。
しかし、多くの中小零細企業は、自らが事業承継の課題を抱えていることを認識できていない。または、誰にも相談をしていないことがほとんどである。事業承継は決して他人事ではなく、身近な課題であることを認識しなければならない。バリューチェーンの切断を防ぐためにも、地域の中小零細企業の事業を改めて捉え直し、事業承継を考えていく必要がある。
事業承継の課題というのは、従来は税務や法務の課題だと認識されていたが、現在においては、経営理念や事業に対する思い・強みが、後継者にしっかりと受け継がれていけるかという点が重要になる。そうした課題を認識するために必要なのは、専門的な知識よりも、過去からこれまでを振り返り、世の中の変化を知り、自身の企業の将来あるべき姿について考えるための「対話」である。「対話」により目に見えてこなかった強みや魅力、解決すべき問題が浮き彫りになり、現在の姿とあるべき姿との間にギャップがあることを認識することができる。このギャップを埋めるための取り組みを個々の企業が行っていくことが、ひいては地域の未来を支えることに繋がる。
事業承継について考えることは、要は「地域」を考えるということである。金融機関や商工団体においては、営業所や地域担当者をはじめとして、地域の中小零細企業が自身の課題を認識できるよう声掛けを行い、事業者とともに課題に取組んでいただきたい。そして、どうやったら県内の各事業者が未来に目を向けて助け合っていけるのか、これからの会社や地域の未来について何が課題になるのか、課題解決のために何ができるのかを、個々の金融機関や商工団体だけではなく、地域全体で考え取組んでいきたい。
3)各団体からの説明
1.長野県中小企業振興センターによる説明
(長野県事業承継コーディネーター 箱山 淳一氏)
県内の企業数が減少する中で、事業承継支援は地域経済の持続性や発展のために必要な施策の一つ。経済産業省では、29年度からの10年間を集中期間として事業承継支援に取組むこととしており、気付きの提供やマッチング支援、また承継後の支援策等も創設している。
長野県においては、昨年度事業承継ネットワークを構築し、事業承継診断を実施する体制を構築してきたが、今年度はコーディネーターも4名に増員し、前捌き相談体制と支援体制の強化に取組むこととしている。
事業承継支援は金融機関や関係機関の皆さんの力を借りて取り組まなければ前に進まない事業であるため、経営支援の一環として取組んでいただきたい。
(長野県事業承継コーディネーター 箱山 淳一氏)
県内の企業数が減少する中で、事業承継支援は地域経済の持続性や発展のために必要な施策の一つ。経済産業省では、29年度からの10年間を集中期間として事業承継支援に取組むこととしており、気付きの提供やマッチング支援、また承継後の支援策等も創設している。
長野県においては、昨年度事業承継ネットワークを構築し、事業承継診断を実施する体制を構築してきたが、今年度はコーディネーターも4名に増員し、前捌き相談体制と支援体制の強化に取組むこととしている。
事業承継支援は金融機関や関係機関の皆さんの力を借りて取り組まなければ前に進まない事業であるため、経営支援の一環として取組んでいただきたい。
2.中小企業基盤整備機構による説明
(関東本部連携支援部連携推進課 課長代理 井上 謙之介氏)
地域支援機関が事業承継支援を行えるよう、当機構の事業承継コーディネーターによる、支援体制の構築のサポートを行ってきたが、本年度から、これまで以上により深く地域に根差した活動を実施するため、1都10県別に担当チームを発足させ、ワンストップで対応する体制を構築。
今後は担当チームが中心となり、地域の皆様に当機構の支援メニューの提供や皆様のニーズをお聞きするための活動を通して、より一層、地域の支援機関と連携した支援を実施していきたい。
(関東本部連携支援部連携推進課 課長代理 井上 謙之介氏)
地域支援機関が事業承継支援を行えるよう、当機構の事業承継コーディネーターによる、支援体制の構築のサポートを行ってきたが、本年度から、これまで以上により深く地域に根差した活動を実施するため、1都10県別に担当チームを発足させ、ワンストップで対応する体制を構築。
今後は担当チームが中心となり、地域の皆様に当機構の支援メニューの提供や皆様のニーズをお聞きするための活動を通して、より一層、地域の支援機関と連携した支援を実施していきたい。
3.関東経済産業局による説明
(関東経済産業局中小企業金融課 経営承継専門官 木村 悠紀氏)
令和2年度の概算要求のポイントとして、第三者承継、第二創業・ベンチャー型事業承継、経営資源引継ぎ型の創業への支援重点化を通じ、事業承継・創業を後押ししていく。
また、後継者が経営者保証を理由に躊躇することなく、円滑に事業承継を進める観点から、事業承継時の経営者保証解除に向けた支援を強化していく。
(関東経済産業局中小企業金融課 経営承継専門官 木村 悠紀氏)
令和2年度の概算要求のポイントとして、第三者承継、第二創業・ベンチャー型事業承継、経営資源引継ぎ型の創業への支援重点化を通じ、事業承継・創業を後押ししていく。
また、後継者が経営者保証を理由に躊躇することなく、円滑に事業承継を進める観点から、事業承継時の経営者保証解除に向けた支援を強化していく。
4)グループディスカッション
ディスカッション後は各グループで発表を行いました。発表者と主な発表内容は以下のとおり。
発表者
日本政策金融公庫長野支店 荒井 清氏、長野信用金庫 丸山 直也氏、長野銀行 北村 俊広氏
各グループからの発表内容
- 金融機関としての本業支援を行いながら、事業性評価を行い深掘りしていくこと、更に、黒字廃業に対しては支援策等の周知を行っていくことが必要。そのためには、行政や金融機関、商工会、専門家がスクラムを組み、柔軟なプラットホームを作っていく必要がある。
- 情報が集まらず一人で悩む企業も多いため、金融機関に集まる情報を生かし、様々な情報を適切に提供し気づきを与えていくこと。方向性を一緒に考えてあげるような取組みに力を入れるべき。
- 支援ツールはたくさんあるが、それぞれが単体で終わってしまっているため、それらがひとつのコースメニューとして提供できるような仕組みを作り、効率良くお客様に寄り添っていくべき。
- 最後まで面倒を見てくれる専門家というものが不足している。費用も発生する部分であるため、出口のプラットホームというものを強化していくことが課題。
- 事業承継についての話は例え親族間で話し合いをしていたとしても、金融機関の前ではなかなか打ち明けられることがないため、金融機関が事業承継のお手伝いをするのは難しい面もある。
- 現場で働く金融機関職員においては、事業性評価が逆に「かせ」となり未来の地域の礎を創るためのアイディアが発表できない、意見が通らないということが課題として感じている。
- お客様とコミュニケーションをとる機会が減っているため、直接お会いして対話したい。
- 魅力的な地域とは、平均年齢が若くバイタリティのある企業が多い元気な地域のことではないか。地元の人間がいかに定着していくかということが重要になるため、小学校など若いうちから地元企業の紹介をしたり、大学生向けに地元企業間のマッチングを行うなどしたりすることが重要。
- 地域の活性化のためには地域に仕事が必要であるため、創業支援にも力を入れていきたいと考える一方で、この分野においては経済合理性に合わないことが多い。そのため、金融機関と行政機関が連携して今回のような会を開くことが重要。
- 県内には様々な問題があるものの県一律の問題ではなく、地域ごとに特色があるため、まずは地域を深く研究・深掘りし、地域に合わせた商品開発を行っていく必要。
(遠藤氏)
(宮澤氏)
(土岐氏)
(荒井氏)
(丸山氏)
(北村氏)
5)総括
合同会社ゆわく 代表 大山 雅己氏から総括
グループディスカッションのテーマは壮大で意見交換をするのに苦労されていたが、今回の意見交換を皮切りに事業承継というものをより身近に感じられればと思う。
様々な立場がある中でその立場を完全にフラットにするというのは難しいところもあるとは思うが、共に同じ方向を向きながら自由に意見を出し合うことで、長野の未来について地域全体で考えていってほしい。
本ページに関するお問い合わせ先
関東財務局長野財務事務所理財課
電話:026-234-5125(直)