「事業承継支援に係る意見交換会」（福井県）の開催（令和5年6月6日）

5．議事概要

　近畿経済産業局及び福井県から事業承継に係る国・県の施策の説明、福井県内の各関係機関から業務説明、事例紹介を行った後、事業承継支援における課題等について意見交換を行いました。

　意見交換での主な発言及び回答は以下のとおり。

（1）経営者が事業承継について早い段階での準備の必要性を理解していないこと、後継者不在の経営者が廃業を選択してしまう状況もみられること、後継者不在の企業の把握が十分ではないことなどから支援を進めるのが難しい。

• 事業承継は、後継者教育の準備に要する期間を考慮すると、5年から10年ほどの準備期間が必要であるため、経営者が概ね60 歳に達した頃には事業承継の準備に取りかかる必要。そのためには、経営者に事業承継の必要性を早いうちから認識してもらう必要があり、経営者との日頃からの対話が重要。事業承継の方向性等の整理を目的に事業承継診断シートを作成しており、経営者との対話の際には参考にしていただきたい。 

• 事業承継の流れをまとめた動画や事業承継対策の種類と進め方等を紹介する電子ブックなど各種ツールを用意して、経営者に対して事業承継の啓発・普及に取り組んでいるほか、後継者としてのマインド・スキルを身につけるための経営後継者研修を実施。顧問税理士、金融機関、商工会議所の経営相談員など日頃から経営者とコミュニケーションを取っている皆様方から、事業承継への理解を進めるために、これらのツールをご紹介いただきたい。

• 融資の相談時等に事業承継診断を行い、事業承継の重要性を認識していただいている。また、事業の譲渡・譲受希望に関する情報を全国ベースで収集した上で、事業承継マッチング支援も行っている。事業承継は経営者の悩みの1つであり、深度ある対話を行いながら、徐々に事業承継について理解を深めていくことが経営者にとって有用。

• 後継者がいない県内企業の情報を、サーチファンド運営事業者を介して経営者を目指す全国の人材（サーチャー）に提供する取組を行っているが、情報提供可能な企業の掘り起こしが進んでいないため、県内企業への本取組の周知と、企業情報提供の案内・提案をお願いしたい。

（2）事業承継支援に取り組んでいる金融機関等において、専門的な知識やノウハウが必要とされるところ、どのように強化していくべきか。

• 支援機関や金融機関向けに、事業者支援マニュアルを作成しているほか、講習会や支援者会議などの勉強会を開催しているので、ノウハウ蓄積・スキル向上にご活用いただきたい。

（3）事業承継について、税理士はどのように関わっていけばよいか。

• 最近、中小零細企業のスモールM＆Aの案件が増えてきており、税理士が果たす役割は、事業承継税制の活用、企業価値評価、財務デューデリジェンス、統合コンサルティングなど幅広いため、引き続き、連携していただきたい。