道南経済レポート第121号(令和6年2月発行)
概況
住宅建設は前年を下回る。生産活動は横ばいの状況にある。
一方、個人消費は持ち直しつつあるほか、観光は持ち直している。
また、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつある。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
(1)大型小売店等売上高
食料品スーパーの売上高は、物価上昇の影響がみられるものの、中食需要は好調を維持していることから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、天候要因等によりレジャー用品や暖房用品が増加したものの、新型コロナ5類移行に伴いDIY用品が減少したことなどから、前年を下回っている。
家電販売は、夏を見据えたエアコンのほか、携帯電話の買替え需要がみられ、引き続き好調となっている。
(2)乗用車販売
2.観光
持ち直している
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要の高まりや海外からの直行便の再開などから、持ち直している。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
3.住宅建設
前年を下回る
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、貸家は前年を上回っているものの、持家及び分譲住宅が前年を下回っており、全体では前年を下回っている。
4.公共事業
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、家電向け、自動車向けともに需要が減少しており、低調となっている。
セメントは、道内向けの出荷は底堅い状況となっているものの、道外向けの出荷が減少している。
生コンクリートは、民需は動きが弱く減少しているものの、官需は北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心に増加している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、国内向け、海外向けともに需要が堅調に推移している。
珍味加工は、海水温上昇などの影響により国産のスルメイカは不漁で仕入価格が上昇する中、土産物店や北海道物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
6.雇用情勢
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも前年を下回っている。
8.企業倒産
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数及び負債総額は前年を下回っている。
ヒアリング先からのコメント
個人消費
- 新型コロナの5類移行に伴う外出機会の増加に加え、12月からの寒さによる防寒のため、コートなど単価の高い冬物衣料の売行きが良かった。 (大型小売店)
- 顧客のニーズに対応するため、冷凍食品やデリカ・ベーカリーコーナーを改装したところ、売上が増加した。 (食料品スーパー)
- 10から11月にかけて気温が高かったこともあって、秋冬のキャンプ用品の需要を掘り起こすことができたことから、レジャー用品の売上が増加した。 (ホームセンター)
- 管内のエアコン普及率が低かったことから、昨年の猛暑により、夏を見据えたエアコンの設置需要がみられた。 (家電量販店)
- 部品供給制約により大量に積みあがっていた受注残の解消が進んだことで、今期の登録台数は前年を大幅に上回った。 (自動車販売店)
観光
- コロナ禍で落ち込んだ観光需要の反動増が引き続きみられ、新千歳空港から函館空港へと乗り継ぐ海外客数は増加傾向にある。 (交通機関)
- 今期は前年同期と比較して、全国旅行支援の補助内容が縮小したものの、主に道外客の宿泊予約で早期に客室が埋まった。 (宿泊施設)
生産活動
- 海水温上昇などの影響によりスルメイカは記録的不漁で、魚体も小さく加工に向くものも少ないなか、仕入単価は過去最高を更新しており、原料確保に苦労している。 (食料品製造業者)
- 不漁で原料価格が上昇するなか、物価上昇や円安の影響で、調味料や包装材などすべての価格が上昇し、最低賃金の引き上げも加わったが、他社との競争もあり上昇分すべてを販売価格に転嫁できていない。 (食料品製造業者)
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