道南経済レポート第124号(令和6年11月発行)
概況
住宅建設は前年を下回る。生産活動は横ばいの状況にある。
一方、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつあるほか、個人消費は持ち直しつつある。
また、観光は回復しつつある。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
(1)大型小売店等売上高
大型小売店の売上高は、昨年の大型催事の反動により雑貨等の販売額が減少したことから、前年を下回っているものの、堅調に推移している。
食料品スーパーの売上高は、物価上昇の影響がみられるものの、中食需要は引き続き好調を維持していることなどから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、エアコンなどの夏物家電は昨年の品薄による反動増があったものの、レジャー用品やペット用品が減少したことから、前年を下回っている。
家電販売は、携帯電話が増加したものの、昨年の猛暑で大きく需要があったエアコンや白物家電(冷蔵庫や洗濯機)の反動減があり、全体として弱い動きがみられる。
(2)乗用車販売
2.観光
回復しつつある
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要が順調となっていることから、回復しつつある。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
3.住宅建設
前年を下回る
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、貸家は前年を上回っているほか、持家は前年と同数となっているものの、分譲住宅は前年を下回っており、全体では前年を下回っている。
4.公共事業
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、自動車向けは底堅く、家電向けは一部の部品で増加している。
セメントは、国内向けの出荷は底堅い状況となっているほか、海外向けの出荷は増加している。
生コンクリートは、民需は動きが弱く減少しているものの、官需は北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心に増加している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、海外向けは需要が減少しているものの、国内向けは一部で需要が増加している。
珍味加工は、海水温上昇などの影響により国産のスルメイカは不漁で仕入価格が上昇する中、土産物店や北海道物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
6.雇用情勢
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも前年を下回っている。
8.企業倒産
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数は前年を下回っている。
ヒアリング先からのコメント
個人消費
- 本格的に外出機会が増加し、関連商品の売上は伸びたが、昨年の大型催事の反動により雑貨等の販売額が減少した。 (大型小売店)
- 即食傾向が引き続きみられる中、外食やコンビニと比較して割安感があることから、好調を維持している。 (食料品スーパー)
- 昨年の品薄の影響による反動増がみられたエアコンやポータブルクーラーが好調であったほか、毛虫の大量発生の影響による殺虫剤の売上が増加した。 (ホームセンター)
- 昨年の猛暑による需要増の反動で、エアコンを中心に売上が減少している。 (家電量販店)
- 大手自動車メーカーによる認証不正問題により、購入見送りや納車遅れが生じたことにより、今期の新車登録台数は減少した。 (一般社団法人)
観光
- 航空券価格を前年より上昇させたにもかかわらず、函館を舞台とした映画の効果による観光需要の高まりや、円安基調下における海外客の消費力の高さにより、需要は全く落ちなかった。 (交通機関)
- 函館を舞台とした映画の効果により、ファミリー層の利用者数が大幅に増加したことに伴って、今期の中学生以下のチケット販売枚数は増加した。 (観光施設)
生産活動
- 物価上昇や値上げによる内容量の減少に伴い、嗜好品である珍味の販売は減少していることから、生産量を落として操業せざるを得ない。 (食品製造業者)
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