道南経済レポート第125号(令和7年2月発行)
概況
住宅建設は前年を下回る。生産活動は横ばいの状況にある。
一方、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつあるほか、個人消費は持ち直しつつある。
また、観光は回復しつつある。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
(1)大型小売店等売上高
大型小売店の売上高は、気温が高目に推移したことから季節の衣料品が減少したほか、物価上昇やお歳暮離れから飲食料品も減少したことから、前年を下回っている。
食料品スーパーの売上高は、米の売上増加や中食需要が引き続き好調であることなどから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、防犯用品が好調である一方、例年に比べ気温が高目に推移したことから暖房機器や除雪用品の出足が鈍く、前年を下回っている。
家電販売は、エアコン等において前年の猛暑による反動減の影響が残ったことなどから、全体として弱い動きがみられる。
(2)乗用車販売
2.観光
回復しつつある
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要が順調となっていることから、回復しつつある。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
3.住宅建設
前年を下回る
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、持家及び分譲住宅は前年を上回っているものの、貸家は前年を下回っており、全体では前年を下回っている。
4.公共事業
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、自動車向けは底堅いものの、家電向けは減少している。
セメントは、国内向けの出荷は底堅い状況となっているほか、海外向けの出荷は増加している。
生コンクリートは、民需は動きが弱く減少しているものの、官需は北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心に増加している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、国内向け、海外向けともに需要が減少している。
珍味加工は、海水温上昇などの影響により国産のスルメイカは不漁で仕入価格が上昇する中、土産物店や北海道物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
6.雇用情勢
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも前年を下回っている。
8.企業倒産
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数及び負債総額は前年を下回っている。
ヒアリング先からのコメント
個人消費
- 10月は気温が高く推移したことから季節の衣料品の売上が減少したほか、物価高騰やお歳暮離れから飲食料品の売上も減少した。 (大型小売店)
- 米やその代わりとなるパックご飯やパスタなどの売上が好調であった。 (食料品スーパー)
- 防犯意識の高まりから、防犯用品は好調であったが、10月は気温が高い日が続いたことから、暖房機器や除雪用品の動き出しが遅かった。 (ホームセンター)
- 前年の猛暑による需要増の反動で、エアコンを中心に売上が減少した。 (家電量販店)
- 一部メーカーによる10月末からの生産停止の影響で、軽乗用車の新車届出台数が大きく落ち込んでいる。 (一般社団法人)
観光
- 国内ツアーにおいて、定年後の年配層の利用が平日を中心に増加しており、休日との繁閑差の解消につながっている。 (宿泊施設)
- 中国人観光客は、コロナ禍後もALPS処理水問題などによる利用低調が続いていたが、令和6年に入り回復傾向となっている。 (観光施設)
生産活動
- スルメイカは不漁が続いている中、これまで漁を行っていた函館の中型イカ釣り船が令和6年は出漁しなかった影響で、函館市場の冷凍スルメイカ取扱量は落ち込み、原料の確保に苦労した。 (食料品製造業者)
- 不漁はスルメイカ以外にも、タコやツブなどの国産原料に限らず、海外産のアメリカオオアカイカなど多岐にわたっており、販売価格に見合った原料の確保に苦労している。 (食料品製造業者)
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