道南経済レポート第128号(令和7年11月発行)
概況
住宅建設は弱含んでいる。生産活動は横ばいの状況にある。
一方、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつあるほか、個人消費は持ち直しつつある。
また、観光は回復している。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
持ち直しつつある
(1)主要小売店売上高
大型小売店の売上高は、天候不良による来店控えのほか、節約志向により衣料品の売上が減少したことなどから、前年を下回っている。
食料品スーパーの売上高は、節約志向がみられるものの米や即食簡便な弁当・総菜などが堅調であったことから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、空調・季節家電や熱中症対策商品等が好調である一方、節約志向に伴う購入点数の減少により、前年を下回っている。
家電販売は、パソコンや携帯電話の買替需要により、全体としては順調となっている。
(2)乗用車販売
乗用車販売(新車登録届出台数)は、人気車種の販売が堅調であることから、前年を上回っている。
ヒアリング先からのコメント
- 節約志向により全体的に衣料品の売上は低調であることに加え、お盆明け以降の気温が高い影響で秋物の動きが鈍い。(大型小売店)
- 米をはじめとする食料品の販売価格が上昇したことで節約志向が高まっている一方、ハレの日やイベントでは惜しみなく出費する動きがみられる。(食料品スーパー)
- 猛暑の影響で冷房や空調服などが好調。一方、物価上昇のため「ついで買い」が控えられている。(ホームセンター)
- 『函館市プレミアム商品券』の効果もあり、従来よりも高機能な商品への買替の動きがみられる。(家電量販店)
- 高性能な車両に人気が集まっており、今後も需要が先細ることはないと思われる。(自動車販売店)
2.観光
回復している
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要が堅調となっていることから、回復している。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
ヒアリング先からのコメント
- 函館を舞台とした映画の効果の反動減により、利用者数は減少したが、観光需要が落ち込んだという印象はない。(交通機関)
- 函館市が映画の舞台となったことやメディアで特集されたことによって観光地としての知名度、ブランド力が定着してきたと考えている。(宿泊施設)
- 海外客の増加要因としては、引き続き台湾客が好調なことに加え、中国客と韓国客が大きく増加したことが挙げられる。(観光施設)
3.住宅建設
弱含んでいる
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、持家、貸家及び分譲住宅はいずれも前年を下回っており、弱含んでいる。
4.公共事業
前払金保証請負金額は前年を上回る
公共工事を前払金保証請負金額(令和7年度第2四半期までの年度累計)でみると、国、北海道、市町及び独立行政法人等はいずれも前年を上回っている。
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、自動車向けは底堅いものの、家電向けは減少している。
セメントは、道内、道外及び海外向けの出荷は底堅い状況となっている。
生コンクリートは、北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心とする官需は減少しているものの、民需は増加している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、国内向けの需要は低調であるものの、海外向けの需要は順調である。
珍味加工は、海水温上昇による資源減少や物価高などの影響により仕入価格が上昇する中、土産物店や物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
ヒアリング先からのコメント
- 国内ではイカが獲れるようになってきたが、一過性のものとなる可能性もあり、先行きは不透明であることから、機械設備の更新には繋がっていない。(一般機械)
- 販売価格の値上げによりスーパーや通信販売での販売量が減少していることに伴い、生産量も減少している。(食料品製造)
- 海水温上昇による生息域の縮小・捕食生物の増加等の影響で、加工向きの大きく身が厚いイカが減少している。(食料品製造)
6.雇用情勢
緩やかに持ち直しつつある
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向け貸出金残高は前年を下回る
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも前年を下回っている。
なお、個人向けは前年を上回り、地公体向けは前年を下回っている。
8.企業倒産
件数は前年を上回る
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数は前年を上回り、負債総額及び1件当たり負債額は前年を下回る。
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