道南経済レポート第126号(令和7年5月発行)
概況
住宅建設は一進一退の状況にある。生産活動は横ばいの状況にある。
一方、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつあるほか、個人消費は持ち直しつつある。
また、観光は回復している。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
持ち直しつつある
(1)大型小売店等売上高
大型小売店の売上高は、暖冬や物価上昇による節約志向により衣料品が減少したことなどから、前年を下回っている。
食料品スーパーの売上高は、米や野菜に加えて、即食簡便な総菜やパックご飯などが好調であったことから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、暖冬により暖房機器や防寒用品が不調であり、前年を下回っている。
家電販売は、エアコンの反動減や、暖冬により暖房機器の売上が減少したことから、全体として弱い動きがみられる。
(2)乗用車販売
乗用車販売(新車登録届出台数)は、認証不正の影響が緩和しつつあることから、前年を上回っている。
2.観光
回復している
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要が好調となっていることから、回復している。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
3.住宅建設
一進一退の状況にある
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、持家及び分譲住宅は前年を上回っているものの、貸家は前年を下回っており、一進一退の状況にある。
4.公共事業
前払金保証請負金額は前年を上回る
公共工事を前払金保証請負金額(年度累計)でみると、国及び市町は前年を下回っているものの、北海道及び独立行政法人等が前年を上回っていることから、全体では前年を上回っている。
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、自動車向けは底堅いものの、家電向けは減少している。
セメントは、国内向けの出荷は底堅い状況となっているほか、海外向けの出荷は増加している。
生コンクリートは、民需は動きが弱く減少しているものの、官需は北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心に増加している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、海外向けの需要は減少しているものの、国内向けの需要は増加している。
珍味加工は、海水温上昇などの影響により国産のスルメイカは不漁で仕入価格が上昇する中、土産物店や北海道物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
6.雇用情勢
緩やかに持ち直しつつある
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向け貸出金残高は前年を下回る
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも 前年を下回っている。
なお、個人向けは前年を上回り、地公体向けは前年を下回っている。
8.企業倒産
件数は前年を下回る
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数は前年を下回っている。
なお、負債総額及び1件当たり負債額は前年を上回っている。
ヒアリング先からのコメント
個人消費
- 買換えサイクルの短い衣料品は、PB商品のような安価な商品が選ばれる傾向にある。 (大型小売店)
- 米の単価は上がったが、買い上げ点数は落ち込まなかった。 (食料品スーパー)
- 節約志向から日用消耗品をより安く販売している量販店に需要がとられている。 (ホームセンター)
- 昨年は夏を見据えたエアコンの需要があったが、今年は反動減が大きかった。 (家電量販店)
-
認証不正の影響により、前年同期に新車登録台数が大きく減少していた車種において、今期は反動増がみられた。 (一般社団法人)
観光
- 新千歳空港における中国直行便数の増加に伴い、春節休暇期間における中国客の利用が増加した。 (交通機関)
- 宿泊価格を引き上げたが、円安基調による海外客の好調さに加えて、国内のビジネス客も堅調に推移したことで、宿泊人数は増加した。 (宿泊施設)
- 新幹線を利用した国内の団体ツアー旅行客が増加傾向にある。 (観光施設)
生産活動
- 世界的なイカの不漁により、各国取り合いの状況で原材料価格が上昇し円安基調も加わり、原材料高は続いている。 (食料品製造業者)
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