道南経済レポート第127号(令和7年8月発行)
概況
生産活動は横ばいの状況にある。住宅建設は一進一退の状況にある。
一方、雇用情勢は緩やかに持ち直しつつあるほか、個人消費は持ち直しつつある。
また、観光は回復している。
このように、管内経済は持ち直している。
1.個人消費
持ち直しつつある
(1)主要小売店売上高
大型小売店の売上高は、天候不順や物価上昇による節約志向により衣料品が減少したことなどから、前年を下回っている。
食料品スーパーの売上高は、米に加えて、即食簡便な弁当や総菜などが好調であったことから、前年を上回っている。
ホームセンターの売上高は、天候不順により空調・季節家電や園芸用品が不調であったことから、前年を下回っている。
家電販売は、エアコンの売上が前年の反動減などにより減少したことから、全体として弱い動きがみられる。
(2)乗用車販売
乗用車販売(新車登録届出台数)は、認証不正の影響が緩和しつつあることから、前年を上回っている。
2.観光
回復している
函館圏の入込客数※1、主要宿泊施設宿泊者数及び主要観光施設利用者数は、観光需要が好調となっていることから、回復している。
※1:フェリー(青森から函館便)、JR(新青森から新函館北斗)、航空機(函館空港着便)利用者数を、「函館圏の入込客数」と表現した。
3.住宅建設
一進一退の状況にある
新設住宅着工戸数(函館市、北斗市)をみると、持家、貸家及び分譲住宅はいずれも前年を下回っており、一進一退の状況にある。
4.公共事業
前払金保証請負金額は前年を上回る
公共工事を前払金保証請負金額(令和7年度第1四半期)でみると、北海道は前年を下回っているものの、国、市町及び独立行政法人等が前年を上回っていることから、全体では前年を上回っている。
5.生産活動
横ばいの状況にある
電子部品は、自動車向けは底堅いものの、家電向けは減少している。
セメントは、道内及び海外向けの出荷は底堅いものの、道外向けの出荷は減少している。
生コンクリートは、官需は北海道新幹線の延伸工事向けの出荷を中心に増加しているものの、民需は動きが弱く減少している。
造船は、総じてみると安定した操業となっている。
一般機械は、海外向けの需要は減少しているものの、国内向けの需要は堅調である。
珍味加工は、海水温上昇などの影響により国産のスルメイカ等が不漁で仕入価格が上昇する中、土産物店や物産展における需要は堅調なものの、食料品スーパーや通信販売を利用した需要は販売価格の上昇などから減少しており、全体では低調となっている。
6.雇用情勢
緩やかに持ち直しつつある
雇用情勢は、有効求人倍率(常用)の水準に大きな変化がみられないことから、緩やかに持ち直しつつある。
7.金融
事業者向け貸出金残高は前年を下回る
事業者向けの貸出金残高をみると、設備資金及び運転資金は、いずれも前年を下回っている。
なお、個人向けは前年を上回り、地公体向けは前年を下回っている。
8.企業倒産
前年を上回る
企業倒産(負債総額1千万円以上)をみると、件数、負債総額及び1件当たり負債額はいずれも前年を上回っている。
ヒアリング先からのコメント
個人消費
- 買替サイクルの短い衣料品(肌着)は、比較的安価な商品が選ばれる傾向にある。(大型小売店)
- 米は高くても購入されるほか、まとめ買いや買い回りの動きが継続。また、即食や調理が手軽な商品への需要が高まっている。(食料品スーパー)
- 4月の気温が低く、エアコンや扇風機といった空調関係や、レジャー用品が低調。(ホームセンター)
- パソコンの買替需要がみられるほか、生活必需品となっている商品は多少高価格でも購入される動きがみられる。(家電量販店)
- 希望車種の受注再開まで新車購入を見送る動きが多く、今後も暫くは需要が先細ることはないと思われる。(自動車販売店)
観光
-
今期全体では宿泊者数は前年並み。函館を舞台とした映画の効果の反動減があると思われたが、宿泊者数はそこまで減らなかった。(宿泊施設)
-
台湾からの直行便数が減少したにもかかわらず、旅行客数は前年並み。他経路を利用して函館を訪れる観光客が増加したと思われる。(観光施設)
生産活動
- 世界的なイカの不漁により、各国取り合いの状況で原材料価格が上昇し、円安基調も加わり、原材料高は続いている。(食料品製造)
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