「しんきん・しんくみ向けの事業者支援推進セミナー」を開催しました(令和7年2月)
最終更新日:2025年6月26日
東北財務局では、東北6県の信用金庫・信用組合・関係機関等を対象に、「しんきん・しんくみ向けの事業者支援推進セミナー[支援人材育成の課題と、その解決に向けて]」を開催しました。
開催目的
新型コロナが5類感染症に移行し、社会経済活動の正常化が進みつつある一方、物価高騰や人手不足等の影響により、依然厳しい状況にある事業者が数多く存在している中、地域金融機関には多様なニーズに応じた事業者支援が求められているところです。
本セミナーは、東北管内外の支援ノウハウや支援人材の育成に資する取組事例を幅広く共有するとともに、成果・課題等について議論することを通じて、信用金庫・信用組合の実務担当者が、事業者に寄り添いながらきめ細かな支援の推進に取組み、東北6県における事業者支援が一層進展することを期待して開催したものです(今回で3回目の開催)。
開催概要
1.開催日時
令和7年2月13日(木曜日)13時30分から15時40分まで
2.開催方法
対面・オンライン併用形式
3.参加者
東北6県の信用金庫・信用組合・関係機関の実務担当者等 約200名
4.主催
東北財務局
開催結果
1.開会挨拶
東北財務局 理財部長 須田 渉
2.取組事例の紹介
東信用組合(東京都墨田区)
[説明概要]
- 「お客さまの相談相手になる」こと、「金融支援と課題解決支援を行う」ことを当組合の価値であると定義し、事業者支援を現場職員に促す経営ビジョン“多様な人々が集まり働き続け住み続けられる街づくりに貢献する”を作成。
- 墨田区(行政)と地域金融機関による支援ネットワーク「HANDS(ハンズ)」への参画により、組織・業態を超えた連携による経営支援(ビジネスマッチング等)を実施。
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自組織外の異なる文化や常識に接することが職員の成長に繋がっているとともに、事業者の立場に立った経営支援は「経営者体験」そのものであり、今後の信金・信組の経営を支えていく経営者人材の育成にも繋がるのではないか。
3.「業種別支援の着眼点」に関するアンケートの結果
金融庁監督局銀行第二課地域金融企画室
[説明概要]
- 金融庁が地域金融機関を対象として実施したアンケートの結果により、事業者支援の取組において「経営者との対話力」、「経営課題の把握能力」等のスキル面や、「業務時間の確保」、「業務の効率化」等の態勢面が課題となっていることが判明したところ。
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「業種別支援の着眼点」は、2023年3月の公表以降、掲載業種を毎年度拡充しているほか、金融庁ホームページにおいて編集可能な様式で公表している。各機関の知見やノウハウを組み合わせて、初動対応や事業者との対話のきっかけとしてぜひ活用いただきたい。
4.パネルディスカッション(初企画)
- 金融庁のアンケート結果も踏まえ、「①職員のスキル向上」、「②事業者支援を推進するための態勢整備」をテーマとし、管内外の金融機関をパネリストとして迎え、それぞれの取組事例の共有や成果・課題等についてのディスカッションを実施しました。
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「コロナ禍を経て地域に身近な存在である信金・信組の事業者支援はますます注目されており、存在意義を高めるチャンス」、「組織全体で事業者支援に対して同じ想いを持つことや、スキルをいかに共有・還元できるかが大切」といった前向きで活発な意見交換が行われました。
[パネリスト取組事例]
- 新庄信用金庫(山形県新庄市):女性店舗による事業者支援と人材育成
職員のマルチタスク化を目的に女性職員のみで運営する店舗を設置したことをきっかけに、女性渉外担当者の育成や、女性ならではの目線・ホスピタリティによる事業者支援に取り組んでいる事例。
- 秋田県信用組合(秋田県秋田市):外部機関への派遣や組織への還元による人材育成
RIAS(東北大学地域イノベーションアドバイザー塾)や中小企業活性化協議会等への職員派遣に継続的に取り組むことで、事業者目線での実践的な支援能力向上につながり、派遣後も本部・営業店において情報共有を図ることで組織全体での事業者支援に繋がっている事例。
- 松本信用金庫(長野県松本市):「業種別支援の着眼点」を踏まえたオリジナルテキストの活用
「業種別支援の着眼点」に当金庫担当者の実体験を反映させたオリジナルテキストを作成し、内部研修で活用することで、経験の浅い若手職員にも一歩踏み込んだ事業者支援を定着させることに取り組んでいる事例。
5.閉会挨拶
東北財務局 金融監督官 佐藤 牧夫
本セミナーを振り返って
本セミナーに関するアンケートを実施したところ、参加者から以下の感想や意見が寄せられました。
アンケートで寄せられた主な感想・意見
- 人材育成していく上でも外部機関や専門家との連携は不可欠であることを学んだ。専門家等外部機関の取組内容を学び、顧客に適切な支援をしていく必要があると感じた。(金融機関)
- それぞれの金融機関の独自の取組を、パネルディスカッション形式により深く知ることができ、非常に参考になった。共通しているのは、どの金融機関も地域のため、地域の経営者のために、経営者の目線で問題を考えているということであり、特別なことをするというよりは、これまでの取組を深化させているように感じた。(支援機関)
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事業者の課題解決支援を重視した業績評価など、職員のモチベーション向上に繋がる成功例や、若手職員に対する動機付け、研修事例について今後のセミナーでお聞きしたい。(金融機関)
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個人事業主は後継者不足により廃業を選択肢に入れている取引先もあり、事業承継・M&Aに関するスキルアップも必要だと感じていることから、今後のセミナーで取り扱ってほしい。(金融機関)
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事業者におけるDX化が遅れており、都会地との格差も拡大する一方。デジタル人材の確保・育成についてもテーマとして取り扱ってほしい。(金融機関)
東北財務局としては、東北6県の信用金庫・信用組合による事業者支援の一層の進展が図られるよう、金融機関のニーズや要望を踏まえ、今後も継続した取組みを実施してまいります。
本ページに関するお問い合わせ先
東北財務局 理財部 金融監督第二課
電話:022-263-1111(内線:3096・3143)