地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー
最終更新日:2024年3月22日
株式会社 第一精工舎
株式会社 第一精工舎は、大阪府に所在する世の中のプラスチック使用量を減らすことを目指すプラスチックメーカーです。プラスチック材を最大80%まで目的の素材と混合できる「フリーブレンド工法」をコア技術として、プラスチック削減と廃材活用によりCO₂削減に取り組む同社の石田 恭彦 代表取締役に話を伺いました。
プラスチックをつなぎ材として利用することでプラスチック使用量を削減する
ー 脱炭素に資する本事業に取り組まれた経緯についてお聞かせください。
私はもともと大手のプラスチック原料メーカーに勤めていたのですが、そこでプラスチックの相溶性(複数の物質を混合した時に分離せずに混ざり合う性質)に着目し、プラスチックをつなぎ材のように利用して他の物質と混ぜて成形することで、プラスチックの使用量を減らすという発想を持ちました。当時大量にプラスチックを販売して収益を上げていた勤務先では事業化ができず、自ら会社を立ち上げたのが始まりです。
しかし、プラスチックの使用そのものを否定しているわけではありません。むしろプラスチックという素材が有する高機能を活かしつつ、他の原材料の良さを引き出すことを重視しています。
まず、陶器の廃棄物の処理に困っていた事業者のもとで、プラスチックを30%、陶器を70%の割合で、プラスチックの性質を持ちながら陶器の質感も備えるプラスチックを作りました。以降、弊社の独自技術「フリーブレンド工法」に加え、素材の配合についても、一つ一つ特許を取りながら、間伐材や金属等を混ぜたプラスチックについても開発していきました。ここ数年で木粉や卵の殻を利用できないかという相談も増えてきており、最近では、全国各地の地域の特産物から出る廃棄物をプラスチックに再利用する事業にも取り組んでいます。
地域金融機関を中心に地域の事業者と地産廃材の循環に取り組む
ー 脱炭素の取組と地域金融機関の関わりについてお聞かせください。
この事業は、まずその地域の事業者や役所等に弊社が出向き、地産廃材(籾殻、貝殻、桃の種など)を調べて見つけるところから始まります。次に、一緒に取り組んでくれる地域のプレーヤーや、製品にした際の販売先などの出口を見つけることが地域で資源を循環させる際のポイントなのですが、ここで地域金融機関にサポートしていただくことが多いです。例えば、地域商社や高校、ホームセンター、スーパーなどを紹介してもらったり、人事交流や取引がある関係先との商談を仲介してもらったこともあります。
地域金融機関と一緒に事業を進める上で、金融機関の組織内に一貫したポリシーがあるかどうかが大事だと感じています。
現在、紀陽銀行にも協力していただき、和歌山県で梅干しの種を再利用したプラスチック製品の開発を考えています。紀陽銀行の頭取とお話をした際、「銀行で大量に排出しているシュレッダーの紙ゴミを再利用して、ボールペンを作って各支店に置けないか」と、まずは銀行自身が実際にやってみようという姿勢を見せていただいたところに惹かれました。支店長もいつでも電話で相談に応じてくださいますし、何よりこの取組に対して一緒になってわくわくしてくれていることが嬉しいです。
地域のプレーヤーと取り組む際に地域金融機関のネットワークは不可欠
ー 脱炭素に向けて地域金融機関に期待することをお聞かせください。
原料を見つけるところから原料化、製造、販売までの一連を各地域のプレーヤーと共に取り組むため、地域との関係性作りは重要です。ここで地域金融機関が仲介していただけるとスムーズに進むことが多く、お願いしたい役割の一つです。また、「フリーブレンド工法」は弊社の独自技術であることから、タッグを組んだ地域の事業者には設備を導入していただく必要があるので、ここでも地域金融機関のサポートが必要です。弊社は大阪府に所在する事業者ですが、新しい地域へ事業展開する際には、地域に根差した地域金融機関は事業展開の心強いパートナーになると思っています。
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