地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー
最終更新日:2024年3月22日
山陽製紙 株式会社
山陽製紙 株式会社はクレープ紙製造のほか自社ブランド商品の企画販売、小ロットで対応可能な強みを生かしたオーダーメイド再生紙の製造にも取り組む大阪府に所在する事業者です。
不用になったコピー用紙を回収し再生紙製品としてアップサイクルする古紙循環サービス「PELP!」を展開する同社の原田 六次郎 代表取締役と原田 千秋 専務取締役に話を伺いました。
環境に配慮しないと生き残れないという危機感からのはじまり
ー 環境配慮や脱炭素に取り組まれた経緯についてお聞かせください。
きっかけは2007年に設立50周年を迎えた時に、次の100周年までの事業継続を意識したことです。当時、クレープ紙事業は需要減少等でなんとか事業を維持しているような状態でした。
「現状のままでは継続は難しい」と感じ、社員と一緒にどのような会社を目指すのかを考えたところ、電気・ガス・水を大量に使う製紙会社は、環境に配慮しないと生き残れないという結論に至りました。
このため、経営理念を「紙創りを通してお客様と喜びを共有し、環境に配慮した循環型社会に貢献します」に刷新し、エコアクション21や中小企業版SBTの取得、重油ボイラーのガスボイラーへの更新、再エネ電力への切り替えなどを実行してきました。
また、徐々に社内の環境への意識も高くなり、今ではほとんどの従業員が自らエコ検定やCSR検定を取得していますし、最近では経営理念に共感して入社を希望する方も増えてきています。
転機となったリブランディングを支えた地域金融機関、取組の共感者を拡げるサポートも
ー 取組にあたって地域金融機関とどのように協力していらっしゃるかお聞かせください。
2012年に「PELP!」の前身となるサービス「カミデコ」を始めます。当初はなかなかお客様の共感を得られませんでしたが諦めませんでした。想いを伝える方法を考え2018年に「PELP!」にリブランディングしたところ、これが功を奏し徐々に共感していただけるようになり、会員企業も増えていきました。
リブランディングには資金が必要になりましたが、古くから付き合いがあった池田泉州銀行には、資金面含め事業内容について何度も話を聞いていただきました。このバックアップがあったおかげで思い切って取り組めたと思っています。
他にも同行がスポンサーを務めるラジオ番組に出演させていただけたことはPRになりましたし、企画やデザインの専門人材を紹介いただけたことで、ブランドHPや資料、パンフレットなどで弊社の想いを上手く形にできるようになりました。
銀行内でも弊社の取組を広く知っていただいており、脱炭素に意識を向けている取引先をご紹介いただき、共同開発やサービスの利用に繋がった例もあります。また、経済産業省の補助金の活用も提案いただきました。当初は補助の要件が弊社にあてはまるのか分からず活用は考えていなかったのですが、申請までの道筋を一緒に考えていただけたことで採択に至り、設備やITシステムを導入して新しい事業に挑戦することができました。
地域金融機関とはお金の付き合いという感覚は、もう古い
ー 今後の脱炭素の取組と、その際に、地域金融機関に期待することについてお聞かせください。
昔は金融機関とはお金の付き合いという感覚がありましたが、身近な地域金融機関との関係はそれだけではなく、様々な面で支援いただいています。特に支店長には頻繁に訪問いただいており、支援策等の情報を案内していただいているところです。
今後取り組みたいこととしては、周辺の自然環境の恵みを受けながら地域で長く事業をしているので、地域の市民や企業と環境に配慮した取組ができればと考えています。その際は地域の情報を多く持っている地域金融機関には、地域とのパイプ役になってもらい一緒に取り組んでいただけたらと思います。
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