地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー
最終更新日:2024年3月22日
兵庫県信用組合 理事長 橋爪 秀明
兵庫県全域を営業基盤とし、長年に亘り環境への取組を実施しながら、格別の想いで中小事業者の支援に取り組まれている、兵庫県信用組合 橋爪 秀明 理事長に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。
脱炭素を推進し、県内の中小事業者の企業価値を向上させたい
ー 脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。
京都議定書の理念に共感し、当組合ではチームマイナス6%、チャレンジ25キャンペーン、Fun To Shareなど様々な温室効果ガス削減の取組に参加してきました。
そういった流れの中で、2015年の国連によるSDGs宣言をきっかけに、当組合でも、脱炭素やSDGsに向けた取組をさらに推進していこうということで、2020年3月にSDGs宣言を行っています。
中小事業者が国内企業の99%を占めるなか、大企業だけがどんどん脱炭素の取組を進めても、中小事業者が付いていかなければサプライチェーンを維持できません。また、若い世代が脱炭素に取り組んでいない事業者に向ける目も厳しくなってきていますので、人材を確保するという意味でもしっかりと対応していく必要がある等、今や脱炭素は中小事業者にとって無視することのできない課題となっています。
当組合は、もともと地元の地場産業事業者の資金繰り支援を目的に設立したという経緯があります。現在でも融資残高の9割近くが事業性融資となっており、県内全域の様々な業種の中小事業者とお取引させていただいているのが強みですので、取引先の皆様が脱炭素の流れに取り残されることが無いよう、情報提供や課題解決に向けた提案を行いながら、県内の中小事業者の企業価値向上のお手伝いに取り組んでいきたいと考えております。
外部支援機関と連携し、取引先にとって最適の脱炭素施策を提案する
ー 地域金融機関としての脱炭素支援策についてお聞かせください。
脱炭素に関する情報は世の中に溢れていますが、中小事業者がすぐに活用できるものは多くありません。経営者の皆様は様々な不安を抱えておられますが、日頃から身近に接している我々であれば、取引先の状況に応じた活きた情報をお伝えし、コーディネーターのような役割を果たせると考えています。
例えば、県のSDGs推進宣言事業・認証事業を一つのきっかけとして、事業者への情報提供や認証申請の支援等を行っていますが、脱炭素に取り組む必要性をきちんとご説明すると、多くの事業者がその必要性に気付かれます。SDGs宣言をする事業者はどんどん増えてきている状況ですので、事業者への情報提供には引き続き取り組んでいく必要があると考えています。
また、EVやLED照明には金利優遇のある「けんしんSDGsサポートローン」をご提案していますし、工場の照明器具に課題を抱えている取引先に省エネ技術を持つ取引先を紹介し、ビジネスマッチングに成功した事例もあります。
当組合は、金融支援、非金融支援、地域活性化の三本柱で取引先の支援に取り組んでいますが、担当部署間の横の連携を徹底していますし、兵庫県中小企業団体中央会やひょうご産業活性化センター等とも積極的に連携しながら、取引先にとって最適の脱炭素支援策をご提案することに拘っています。
取引先の夢を一緒にデザインし、課題解決に伴走する
ー 職員の皆様に対して、期待を込めたメッセージをお願いします。
脱炭素に向けた取組は、すぐに良い結果が出るわけではありません。それでも、職員の皆様には、取引先の企業価値を高めるために、地域の繁栄のために、非常に高い意識を持って粘り強く取り組んでもらっていると感じています。
時代は「競争」から「協調」に変わりました。経営者には必ず夢がありますので、たくさん話を聞きながら一緒に将来のデザインを描いてみてください。そこに向かうために何をすれば良いのか、どんな方法があるのかを職員一人一人が考え、取引先のニーズに応えていけば必ず課題解決に繋がっていきます。地味な道のりですが、そこに金融機関としての真の面白みがありますし、取引先と共に我々も発展していくことができるのです。
一人でも多くの方に、「兵庫県信用組合は地域に無くてはならない金融機関」と感じていただけるよう、これからも役職員が一丸となって取り組んでいきましょう。
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