地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー
最終更新日:2024年3月22日
大阪協栄信用組合 理事長 船曳 真吾
「業務効率化・合理化」を軸に、先進的で他に類を見ない取組を進める、大阪協栄信用組合 船曳 真吾 理事長に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。
現場目線の業務の効率化が脱炭素に繋がる
ー 脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。
現場目線で業務の無駄を省き、生産性を向上させることを目指したところ、結果的に脱炭素に繋がっていたというのが現実です。例えば、当組合のペーパーレス化は、単に紙を無くすことを目的にしたのではなく、キャビネットに書類を取りに行かなくても良い、稟議書に印鑑を押さなくても良い、いつでもどこでもオンラインで仕事が完結できる、といったことを目指してきたものです。現在では多くの業務がオンライン化され、ペーパーレスも順調に進んできていると自負しております。その結果として、紙資源の削減という脱炭素に繋がっています。
また、渉外活動では、コロナ禍を契機に全営業店でテレビ会議ができる環境を整備しました。現在は本支店間に留まらず、渉外担当者がお客様と自由にテレビ会議で営業を行うようになっています。これも防疫策を取りつつ生産性を下げないことを目的に導入したものであり、決して脱炭素のためにオンライン営業へ誘導したわけではありません。しかし結果的には社用車や公共交通機関の使用頻度は低下し、店外営業を伴わない渉外活動にシフトしてきておりますので、排出ガスの削減といった脱炭素に繋がっていると言えるかもしれません。
このように、端緒は小さなものであっても、取組自体を目的化せずに業務の効率化に真摯に取り組んでいくことで、脱炭素の推進も図れるものと考えております。先例に囚われることなく、これからも効率化に取り組んでいきたいと思います。
組合員様の立場に立って効率化を模索し、メリットとなる取組を提案する
ー 地域金融機関としての脱炭素支援策についてお聞かせください。
脱炭素に取り組むことによって、エネルギー効率や企業イメージの向上といった付加価値が生まれます。これらは結果的に企業収益に貢献するものです。ただ、中小零細企業にとっては、やはり目の前の収益が先決であって、脱炭素への取組は直ちに企業収益として見え辛い分、少し重たい課題となり、現実味が薄いというのが実情です。
それでも、地域金融機関は、大手金融機関とは異なる独自の金融サービスを提供する使命があり、この使命を効率化・合理化していてはいけないと意識しています。計量化された統計的なデータだけでは見えない組合員様の強みや想いに耳を傾け、組合員様のメリットとなる取組を提案していくことが、脱炭素の取組においても求められていると考えています。
もともとは組合内部の取組として始めたペーパーレス化ですが、組合員様の立場に立って効率化の手法を模索することで、組合員様も巻き込んだ形での取組を行っています。当初は反発の多かった出資証券や本人確認資料のペーパーレス化も、コストや手間が省けて便利なものだと気付かれた方はご納得されておられますし、資源やエネルギーの節約にもなります。たかだか紙一枚ですが、徐々に紙への嫌悪感が生まれて結果的に脱炭素に繋がる取組になっています。
効率化の取組に終わりはない、現場をよく知る営業店からの声に期待
ー 職員の皆様に対して、期待を込めたメッセージをお願いします。
当組合の強みは、本部が営業店の下支えとなって業務の効率化を進めている点です。時間や人手には限りがあるからこそ、業務の効率化は組合員様のためになります。そして、そういった取組が結果として脱炭素を推進していくことにもなっています。
効率化の取組に終わりはありません。これまでも小さな取組を積み重ねてきましたが、まだまだ改善の余地があるはずです。営業店の皆様は、困っていることや疑問に思うことなど何でも構いませんので本部に声を届けてください。そして本部の皆様は営業店からの声をしっかりと受け止めて、実現に向けて知恵を絞ってください。
組合員様からは、「大阪協栄信用組合はいつも他の信用組合とは違う取組をしている」というお言葉をよくいただきます。現場をよく知る営業店の声から、皆があっと驚くような取組が生まれることを期待しています。
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