地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー
最終更新日:2024年3月22日
奈良信用金庫 理事長 菊澤 竜一
脱炭素社会の実現を経営課題と捉え、地域一体で脱炭素の取組を展望する 奈良信用金庫 菊澤 竜一 理事長に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。
脱炭素への取組は揺らぐことのない土台作りから
ー 脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。
これからの時代、右肩上がりの成長を続けていくことは厳しいと感じています。一定の水準を維持するためには、どういうものをキーワードに経営をやっていく必要があるか、その答えの一つがSDGsであり、脱炭素であると考えています。
脱炭素は、事業規模・業態に関わらずあらゆる事業者が事業を継続していくための不可避な取組であり、地球の環境を守るということに対して、経営陣を含めた全職員が積極的に取り組んでいくことが求められると考えています。
脱炭素を含めたSDGsへの取組を推進していくにあたって、まずは当金庫として揺らぐことのない土台を作るとともに職員のマインドを育てていく必要があると考えていましたので、2023年6月の理事長就任後、縦割り構造を脱した若手中心のSDGsプロジェクトチームを始動させました。今まさにこのチームが中心となり、当金庫の具体的な取組だけではなく、取引先へのSDGsの浸透や支援策等について、取引先を交えて検討を重ねています。
そして、このチームが導き出した方向性を中期経営計画に盛り込むなど、当金庫の方針として明確に打ち出すことによって、脱炭素への取組を一層加速させていきたいと考えています。
脱炭素への取組は経営そのもの、地域のステークホルダーの皆様と協力体制を敷いて取組を進める
ー 現在注力している、取引先や地域に対する脱炭素支援策についてお聞かせください。
脱炭素の取組は、部署単位で取り組むと、その部署の業務としてやらされているという意識を持ってしまい継続しないため、経営そのものとして捉えて取組を進めていく必要があります。また、当金庫だけの孤軍奮闘では太刀打ちできないため、個々の事業者が問題意識を持ち、分野を超えて如何に協調していくかが、大きなカギを握っていると考えています。
そのため、当金庫では、ならしん経営者倶楽部に加盟いただいている取引先等と一緒に脱炭素への取組について真剣に考え、それぞれの取引先が支援し合える関係の構築に取り組んでいます。決して人任せにするのではなく、当金庫が率先してまず動くことを前提に、一緒になって取り組むことによって、お互いに刺激し合い、脱炭素の取組への意識を高め合っていくことができます。
当金庫の職員はもとより、取引先や地元住民の方々など、様々なステークホルダーの皆様とコミュニケーションを図り、巻き込みながら、いずれは奈良県の北部地域で地球環境を守る一番大きな集団となり取組を推進させていきたいです。
一人一人が経営者の意識を持って、スモールエクセレントバンクを目指しましょう
ー 職員の皆様に対して、期待を込めたメッセージをお願いします。
皆様自身やご家族、地域の方々の将来を真剣に考え、脱炭素を皆様の業務と有機的に連動させるような仕組みを考えて実践して欲しいです。ただ、一人で取り組む必要はありません。皆様の「行動をしたい」という想いをどんどん経営層に伝えてください。そして、「行動したい」という熱量を全て実践してほしい。
そのためにも、職員自らが能動的に目標を決めて、目標達成のために自分自身の行動をどう変えていくかを考えるというプロセスを重視し、自分で決めたことをやり切る責任感を持つ職員をきちんと評価できる人事評価制度に変えました。結果が全てではありませんので、まずはチャレンジをすることから始めてみてください。
また、地域のお役に立つことに貪欲に取り組んで欲しいです。職員の皆様が信念を持ってぶれることなく進む姿は、ヒトの心を動かすことに繋がります。当金庫は、地域に根差した金融機関ですので、業容の拡大を求めるのではなく、スモールエクセレントバンクになることを目指しています。アンテナを高く持ち、一人一人が経営者というプロフェッショナル人材としてこれからも成長していきましょう。
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