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地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

株式会社 滋賀銀行 取締役頭取 久保田 真也

滋賀銀行取締役頭取

 

 従来から環境への問題意識を持ち、国内の地域銀行で初めてサステナビリティ・リンク・ローンを提供するなど、先駆的に脱炭素の取組を推進されている、株式会社 滋賀銀行  久保田 真也 取締役頭取に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。

 

琵琶湖は未来からの預かりもの。「三方よし」の精神で、環境問題に向き合う


ー脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。
 取組の背景としては、まずは近江商人の「三方よし」のDNAが経営の原点にあることです。お客様との取引だけでなく、従来から地域に貢献するという意識があり、その意識が、今日でいうところの脱炭素やSDGsの取組へと繋がっているんだと思います。

 琵琶湖の存在も非常に大きいです。琵琶湖は「未来からの預かりもの」であり、生物多様性の観点からも、琵琶湖の近くに本店を置く金融機関として、この「預かりもの」をしっかりと守っていかなくてはと考えています。

 また、県民の環境意識の高さも取組の背景にあると思います。1970年代の話ですが、生活排水の影響で琵琶湖に赤潮が発生する事態になりました。その頃は、環境よりも経済成長という時代でしたが、危機感を抱いた地域の方々が琵琶湖を守ろうと、自主的に赤潮発生の原因の一つである合成洗剤の使用を止め、粉石けんを使おうという「石けん運動」を行いました。このように、県民性として当時から環境への意識が高く、今もその意識は強く根付いています。
 「DNA・琵琶湖・県民性」の三つを背景に、当行では1990年代後半から経営に環境問題を組み込む「環境経営」への取組を進めてきました。当時、環境問題への取組はボランティア的要素が強かったのですが、それだけでは持続可能性の課題が生じるので、当行にとっても、お客様にとっても、必ずビジネスチャンスに繋がるんだという考えで、本業のビジネスに落とし込むことを意識しています。

行政や事業者、個人のお客様まで巻き込んで地域全体で取り組んでいく


ー 現在注力している、取引先や地域に対する脱炭素支援策についてお聞かせください。
 まず前提として、脱炭素への取組は当行だけでどうにかできるものではなく、行政や事業者、個人のお客様まで巻き込んで、地域全体で取り組んでいく必要があると考えています。
 行政との連携では、滋賀県と協定を結び、2021年からCO₂削減目標に特化したサステナビリティ・リンク・ローンを提供しているほか、2022年に湖南市が環境省の「第二回脱炭素先行地域」に選定された際には共同提案者として参画しました。湖南市、滋賀県、地域のエネルギー会社と協力し、市内事業者への脱炭素経営の啓発や計画策定、資金面でプロジェクトをサポートしています。
 取引先に向けては、まずは自らの事業活動でどれだけのCO₂を排出しているかを把握してもらうところから始めようということで、CO₂排出量管理ソフト「未来よしサポート」を日立製作所と共同開発し、2023年1月から提供を開始しています。脱炭素に取り組むきっかけがなかなか無い中小の事業者に対して、こういったツールも活用しながら、地域へ横展開をしていき、脱炭素への意識を徐々に浸透させていきたいと考えています。
 個人向けでは、住宅への創エネ・蓄エネ設備の設置を後押しする「スーパー住宅ローン未来よし」の取扱いを2023年4月に開始しました。当商品を通じて個人の方に対してメリットを提供することで脱炭素の取組を促し、地域の脱炭素を支援しています。

地域での横の連携を進めながら、皆が自分事として考えて、「未来の当たり前」を今作る


ー 地域に対して、期待を込めたメッセージをお願いします。
 滋賀県は、脱炭素に向けたポテンシャルを秘めている地域です。当行は地域銀行として地域を支えていくことが本分ですので、「顧客の課題を発見するためには何が必要か」、「“未来の当たり前”に向けてどのように今着手するか」を、絶えず、自分事として考えていくことが重要です。
 このため、創立90周年の企画として、地域の課題解決に向けたビジネスコンテストを開催しました。そういったなかから生まれた新しいアイデアや取組に共感いただける方を増やしながら、地域での横の連携を進めていくことが非常に大事だと考えています。
 当行では、脱炭素をビジネスチャンスと捉えて前向きに取り組んでまいります。そして、地球環境という「預かりもの」を、より美しい姿で未来に返せるよう、地域の皆様と取り組んでいきたいと思います。
 

株式会社滋賀銀行頭取

 

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本ページに関するお問い合わせ先

近畿財務局 総務部 総務課 地域連携推進係

住所:〒540-8550 大阪市中央区大手前4-1-76

電話番号:06-6949-6390

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