竹松証券株式会社に対する行政処分について
平成28年6月17日
北陸財務局
- 竹松証券株式会社(本店:石川県金沢市、法人番号4220001004081)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の法令違反の事実が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(平成28年6月10日付)。
金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
株式会社メディケアインベストメント(東京都千代田区、代表取締役 池川一臣、金融商品取引業の登録はない。以下「MCI社」、「池川代表」という。)は、診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、「ナーシングケア債」との名称の社債(以下「MCI債」という。)を発行し、資金を調達している。
MCI債の発行残高は、平成28年3月末現在、約62億円となっており、そのうち野畑証券株式会社が約59億円、IS証券株式会社が約2億円を販売している。
また、MCI社は、TMファンド1号株式会社及び上光メディカルファンド株式会社(以下、それぞれ「TM社」、「JM社」という。)をそれぞれ設立し、運営を行っている。
両社(代表取締役はいずれも池川代表)は、診療報酬債権等を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、TM社においては「ナースケア債」との、JM社においては「メディカルナース債」との各名称の社債(以下、それぞれ「TM債」、「JM債」という。)を発行し、資金を調達している。
TM債及びJM債の発行残高は、平成28年3月末現在、それぞれ約7億円、約22億円となっており、それぞれ当社、上光証券株式会社が販売している。
MCI債、TM債及びJM債の実態を検証したところ、以下の事実が認められた。
MCI社、TM社及びJM社の間で、随意に資金の貸借や診療報酬債権等の売買が行われているなど、当該3社は渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている。
こうした中、MCI社によるTM社からの回収困難な介護給付費債権の買取り(TM債の投資者の損失リスクをMCI債の投資者に転嫁)、TM債の償還資金の捻出のためのTM社からMCI社やJM社への診療報酬債権等の売却等が行われている。
なお、平成28年3月末現在、TM社は債務超過状態となっている。
当社は、TM債の販売に当たって、商品内容や発行会社等の審査を実質的にはほとんど行っておらず、販売を開始した後も事後的なモニタリングをほとんど行っていないことから、上記のTM債の実態をほとんど把握していない。この結果、当社によるTM債の販売について、以下の問題が認められた。
- 上記実態に関し、当社は、販売用資料等において、MCI社、TM社及びJM社が渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている実態に一切言及せず、TM社が単独で診療報酬債権等の買取業務の運営を行っているかのような誤解を与える表示を行った。
- また、上記実態にもかかわらず、当社は、販売用資料等において、TM社の信用リスクについて抽象的な記載しかせず、TM社の財務状況等に問題が生じていないかのような誤解を与える表示を行った。
- さらに、当社は、TM債の元利金の支払いについて、TM社が発行する債券であるにもかかわらず、契約締結前交付書面に「元利金の支払いは支払基金等からの支払を源泉としており、現行の医療・介護保険制度に対して日本国政府の公約は大きく安全性の高い金融商品」であると記載し、顧客に対し、あたかもTM債が社会保険診療報酬支払基金等と同等のリスクしかないかのような誤解を与える表示を行った。
当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
- 上記実態に関し、当社は、販売用資料等において、MCI社、TM社及びJM社が渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている実態に一切言及せず、TM社が単独で診療報酬債権等の買取業務の運営を行っているかのような誤解を与える表示を行った。
- 以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
業務改善命令- 顧客に対し、今回の行政処分の内容を十分に説明し、適切な対応を行うこと。
- 本件及び平成28年2月26日付の業務改善命令に係る法令違反行為を踏まえた上で、改めて金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を整備するなど、再発防止策を策定し、着実に実施すること。
- 本件に係る責任の所在の明確化を図ること。
- 上記の対応・実施状況について、平成28年7月19日までに書面で報告するとともに、以降、そのすべてが完了するまでの間、随時書面で報告すること。
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北陸財務局 理財部 金融監督第三課
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