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令和3年6月11日にオンライン「青函みらい会議」を開催しました! 函館財務事務所

令和3年6月11日に、函館財務事務所と青森財務事務所の共催で、青函両地域の持続的な発展を考える「青函みらい会議」を開催いたしました。会議では青森・函館あわせて4人の有識者と「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録に向け、機運を高めることを目的とし、縄文時代から学ぶSDGsと地方創生-Withコロナの青函みらい像ーというテーマのもとパネルディスカッションを行いました。
 

1.開催日時

 

  • 令和3年6月11日 14時30分から16時
  • オンライン開催(CiscoWebex)

 

2.テーマ

 

 縄文時代から学ぶSDGsと地方創生-Withコロナの青函みらい像-

 

3.パネリスト(五十音順)

 

  • 北海道教育大学函館校 准教授 奥平 理 氏
  • 青森大学 教授 櫛引 素夫 氏
  • 函館教育委員会生涯学習部文化財課兼世界遺産登録推進室 主査(学芸員) 福田 裕二 氏
  • 青森商工会議所 会頭 若井 敬一郎 氏

 

4.パネルディスカッションの内容

 

奥平 理 准教授

 専門は観光学・地理学。観光学の観点からSDGs及び北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に決まった後の課題や必要な取組についてお話をいただいた。

 

  • 続けることをメインとするSDGsという観点から考えると、観光客へ縄文時代が1万年以上続いたことをアピールすることが必要。また縄文人の「高い精神性」をアピールするのも良いと思う。高い精神性や独自の文化を持っていたことは土偶から窺うことができ、各遺跡の土偶の違いを見る人に考えてもらったり、子供に塗り絵を通して考えてもらうことも有効。いかにコストを下げ、遺跡を守り、人を呼び込めるかという観点で考える必要がある。
  • 縄文遺跡群を観光に活かしていくためには、交通手段とプロモーションについて考えることが必要。縄文遺跡同士が離れているので、どのように遺跡同士の距離を近づけていくかといった二次交通の問題が生じる。また、青函地域には、アジア圏からの旅行者が多いが、縄文文化と違うキリスト教に基づいた精神世界をもっている欧米人が縄文遺跡に興味を示すと思われるため、欧米圏へのプロモーションが重要。その次に、欧米圏の観光客が増加した場合どう対応するかが課題となるだろう。

 

  • 縄文を通じた地域活性化のために、17の遺跡が一体となり、「縄文フェスティバル」を開催するのはどうか。予算確保のためには、クラウドファンディングを活用するのも良いだろう。また、私が作成に携わっている日本人向けの「北東北・北海道縄文遺跡ガイドブック」を多言語化したり、SNSを活用するなど、地道な情報発信を継続することが重要である。

 

  • 持続可能な観光という観点では、マスツーリズム(団体旅行)は環境負荷が大きい。環境保護と観光の併存のため、UNWTO(世界観光機関)が観光目的の国立公園と保護地域の開発のためのガイドラインを示している。現在では環境保護活動を継続させるための資金源として観光事業が用いられ、持続可能な観光が行われている。

 

櫛引 素夫 教授

 専門は地理学(整備新幹線や人口問題)。新幹線の研究を通して青函地域を見てきた経験から、青函地域の持続的な発展についてお話をいただいた。

 

  • 縄文時代の1万年という時間を考えると、長きにわたり平和だったとは考えづらく、時期によって気候の変化もあり、時には困難な時代もあったはずだ。そうした中でも、長期にわたり縄文人が生き抜いてきたということを見直すべき。彼らが自然のあらゆる要素を活用することで生き抜いてきたことを考えると、現代人がコロナ時代を生き抜くための共通点や学びがある。

 

  • 日本全体で人口減少が構造的な問題になっているが、25万から30万都市で1番人口減少が進んでいるのが函館市と青森市。人口が減っていく社会の中で、どのように社会を再デザインしていくか考えると、新幹線は、単に経済的合理的な要素を持つだけではなく、安心の装置という機能を持つ。こうした観点で考えると、活路が見えてくるかもしれない。

 

  • 市町村同士のつながりを強化することも重要。例えばJRによる青函連携イベントの一つである青函ディスティネーションキャンペーンを行っても、観光客の増加という効果は限定的だったが、多くの市町村にとって、他市町村と繋がり直す機会となり、互いに学びながら新しい地域づくりを目指すことが可能となったという声が挙がっている。

 

  • ワクチンを打ち終わったシニアの方に、「昭和の暮らしと縄文」というテーマで縄文を売り込むのはどうか。一方、コロナ禍で人の移動は制限されていることから、マイクロツーリズムという観点も有用。つまり、まずは近場を観光し、地元を再発見してもらうことを着実にやっていく必要がある。さらに、VRのようなIT技術を用いて遺跡を楽しむといった方法もあり、はこだて未来大学で研究が進められている。

 

福田 裕二 主査

 遺跡の発掘調査や史跡の保存などを行う学芸員。その経験から、縄文文化の特徴、縄文文化とSDGsの関係についてお話をいただいた。

 

  • 縄文文化は、狩猟・漁労・採集による長期間にわたる定住生活の達成実現をした社会で、1万年以上にもわたって持続したという点において、世界的にも稀有な文化。陸上には白神山地の豊かな自然が広がっているため、生物多様な環境があり、海では寒流と暖流が混じり合うエリアのため海洋資源にも非常に恵まれていた。年間を通して豊かな資源を活用できたことが、長期間の定住に繋がったのではないか。

 

  • 津軽海峡を越えた当時の交易・交流は丸木舟を使った航海がメイン。効率的に様々なものを運べるため、活発な交易や人の動きがあったのではないか。単純に物が移動するだけではなく、人が来てそこに住む、そこで結婚するということもあったはずだ。

 

  • 高度成長期以降使い捨ての文化・習慣が身に付いていることや、海洋プラスチック問題などゴミ問題も恒常化していることが、人類だけではなく様々な生態系に悪影響を及ぼしている。縄文人には「ものを大切にする」という精神が根付いていて、貝塚や遺構からもそれを読み取ることができる。我々がどのような行動を起こせば諸問題が無くなるのか、環境に良い影響を与えていくためどういった行動をとるべきかを考えると、現代人も大いに縄文人に学ぶ点がある。

 

若井 敬一郎 会頭

 ボランティア組織「三内丸山応援隊」などで世界遺産登録に関わってきた経験や、青函地域のビジネスの展望についてお話をいただいた。 

 

  • 当時、縄文人は定住していないと考えられていたが、「三内丸山遺跡」の発見で定住していたことが分かった。このことを広めるため、「三内丸山応援隊」というボランティア組織を作り、遺跡の保存や活用、ガイド、縄文時代の生活体験学習、ミュージアムショップ作りを行い、三内丸山の魅力を伝え、日本国内で広めるという活動を行った。

 

  • 2006年には「世界遺産を目指す会」が青森で発足し、企業や一般の方の支援のもと活動を行ってきた。さらに、県内全ての遺跡にボランティア組織が作られ、縄文遺跡と住民との関わりを作ることができた。登録の運びとなったのは、官民一体となって、遺跡に対して誇りを持ち、様々な取り組みを行ってきたことにあると思う。

 

  • 青函両会議所では、人的交流を積極的に行っており、北海道新幹線開通を契機として、2013年から青函の企業を結びつけ、商品開発や技術提携を行うことを目的とした「青函パートナーシップ連携事業」を行っている。2019年までに、青函連携商品が15品生まれている。青森では、函館の乳製品を活用することが多く、青森にはカシスやリンゴといった様々な特産品があるので、函館の事業者にも活用してほしい。

 

  • 世界遺産登録を契機に、多くの観光客が訪れると思う。それに対応するため、観光コースや旅行商品を街の特性を生かしつつ作ることが必要。大切なのは、17遺跡が連携し、訪れた方に対し、より良いサービスを作り出すことである。

本ページに関するお問い合わせ先

函館財務事務所総務課
電話番号:0138-47-8445

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