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株式会社G.S.Tに対する検査結果について

平成28年8月2日
福岡財務支局

  1. 検査結果
     福岡財務支局長が株式会社G.S.T(福岡市博多区、法人番号9290001066210、代表取締役 暁林 応材(あけばやし えいさい)、資本金1億円、常勤役職員4名、適格機関投資家等特例業務届出者、金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、福岡財務支局長は、当社に対して検査結果の通知を行った。

     

  2. 事実関係
     当社は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを業務執行者とするインクリース・社債ファンド(出資総額5830万円、出資者数30名。以下「1号ファンド」という。)及びインクリース・社債ファンド2号(出資総額1800万円、出資者数5名。以下「2号ファンド」という。)の2本の民法上の任意組合(以下「本件2ファンド」という。)を組成し、本件2ファンドの組合契約に基づく権利(以下「ファンド持分」という。)の取得勧誘を行い、出資金を国内外の会社の社債で運用していた。
     今回検査において、当社の業務運営状況等を検証したところ、下記のとおり、当社の業務運営には、投資者保護上重大な問題があることが認められた。

     

    (1)無登録で第二種金融商品取引業及び投資運用業を行っている状況
     当社は、2号ファンドを組成する際に、A氏に対し適格機関投資家の紹介を依頼したところ、B投資事業有限責任組合(以下「B組合」という。)の無限責任組合員である株式会社C(以下「C社」という。)の紹介を受け、B組合が適格機関投資家として出資(以下「適格機関投資家出資」という。)したとしている。
     B組合からの適格機関投資家出資に先立ち、当社は、C社に対しコンサルティング報酬名目で、適格機関投資家出資相当額を超える額の金銭を支払った。そして、当該報酬の支払い後、B組合は2号ファンドに対し、適格機関投資家出資を行ったとしている。
     しかしながら、当社は、C社との間でコンサルティング契約等の締結を行ったことや、C社からコンサルティング等を受けた事実はないことから、当該コンサルティングは実態がないものであると認められる。
     したがって、B組合からの出資金は、実際に同組合が出資した実態がなく、同組合からの適格機関投資家出資がなされているかのような外観を仮装したものに過ぎず、適格機関投資家出資とは到底評価し得ないものであり、当該ファンドは、平成27年法律第32号による改正前の金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第1項第1号及び第2号に規定する特例業務の要件を満たしていない。
     上記の状況の下、当社は、平成27年9月から、一般投資家に対して2号ファンド持分の取得勧誘を行うとともに、出資金を外国籍の法人D(以下「D社」という。)の社債で運用していた。

      当社が行った上記の行為は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」及び同条第4項に規定する「投資運用業」に該当し、当社が同法第29条に基づく登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。

     

    (2)投資者保護上問題のある業務運営
     当社は、本件2ファンドについて、以下の内容を記載した勧誘資料を用いて、一般投資家に対し取得勧誘を行った。
     ア 1号ファンドについては、ファンドのスキームに極めて安全性にすぐれた実績と経験があるD社による外国為替証拠金取引(以下「FX」という。)が組み込まれており、また、1号ファンドの出資金と同額の資金をD社が当該FX口座へ出資し、共同で運用することにより、出資者のリスクがヘッジされる。
     イ 2号ファンドについては、D社の社債による運用を行うこととし、D社はFXによる運用で毎年安定的に収益を上げている。
     しかしながら、当社は、1号ファンドについて、D社が当該ファンド出資金と同額の出資を行い共同で運用していることや、本件2ファンドについて、出資先がFXによる運用を行っていることの証跡を入手しておらず、明示できない。
     
     当社の上記の状況は、D社による共同出資及びファンド出資金のFXによる運用の状況など、一般投資家がファンドへの出資を決定するにあたり重要な要素に関する勧誘資料における記載内容が事実に基づいたものであるか否かを確認しないまま、当該勧誘資料を使用しており、投資者保護上問題のある業務運営であると認められる。


(参考条文)

〇 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合にる。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)
  イからハ(略)
二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為
 (以下、略)

(注)当該条文は、平成28年3月1日に施行された平成27年法律第32号による改正前のものである。

 

本ページに関するお問い合わせ先

 福岡財務支局 証券取引等監視官 電話:092-411-7281(内線3231、3330)

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